「新しい仲間を加えてみない?」
家賃を受け取った後、ふとフランがそんなことを言い出す。
「もう知ってると思うけれど、デモンは強大よ。いつまでも二人だけでは対処しきれないわ」
確かに…でも。
「でも?」
賞金稼ぎの人たち、だいたい2人1組じゃない?
「ああ…それはね」
フラン曰く、メンバーを補充すると契約料がかかるのだと言う。常に金策に悩む彼らにとっては、二人が最大戦力なのだろう。…ん?
「なあに?」
それってつまり、僕から契約料取りたいってことでは…
「そ、そう言うわけじゃないわよっ!何よもう、誰も彼も人を守銭奴みたいに…」
まぁ契約料がかかるのは事実らしい。マイコとも相談してメンバー追加を検討すると告げると「それがいいわね」と頷いて、その場を後にした。
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「よ、よろしくお願いしますっ」
フランに契約料を支払い、3人目のメンバーを迎え入れる。
「ビアンカっていいます。クラスはヒーラーですっ」
前回、マルスとの戦いでの苦戦の要因は、傷を負った際の回復に回す手が足らなかったことだ。呪文を使うにしてもアイテムを駆使するにしても、攻撃の手を緩めざるを得ない。
僕とマイコとで相談した結果、癒し手は必須だと言う結論に達した…というわけだ。
「…リーダー」
なに?
「この子かわいい。部屋に持ち帰っていい?」
ダメです。
「えー」
真顔でビアンカにしがみいて抗議するマイコの姿はなんかシュールだ。
「あ、あとで遊びに行きますから…」
「約束」
…ま、まあ仲良くなるのはいいことだ。
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ビアンカを加えた3人で向かうのは、ローナから薦められていたもうひとつの廃墟である、"奴隷墓地"だ。
文字通り魑魅魍魎が跋扈する墓所であり、至る所に沼気ならぬ瘴気に満ちた沼が点在する。
「新人にいきなり未知の場所を行かせるとか…鬼畜?」
人聞き悪い!だいたい、マイコだって初日で未踏破の場所だったでしょうが。
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ビアンカの活躍は想像以上だった。
傷だらけで廃墟を進まなくて良い、というのは心情的にもかなりのアドバンテージとなる。
墓地内のサークルで"癒しの杖"が見つかったのも大きかった。ノーコストで回復魔法が使えるのは非常にありがたい。
この恩恵は、探索中に襲撃してきたデモン・クロノスとの戦いでも力になった。
回復を彼女に任せることで戦闘に集中でき、先のマルスとの戦いの時よりはるかに安定して撃退できたのだ。
助かったよ。ありがとう、ビアンカ。
「えへへ~」
「…リーダーが幼女に頭ぽんぽんする事案発生」
なんか僕に当たり強くない今日!?
−つづく−
単に「白」のイタリア語表記です(ベタ
しばらくパーティー強化に集中するんで
(今度こそ)数日飛ばします。