炎部さんちのアーカイブス あるいは永遠的日誌Ver.3

日々是モノカキの戯言・駄文の吹き溜まり

【#DGEX】16日目:青空と死

…気がつくと、自室のベッドに横たわっていた。窓の外は、すでに日が昇った後らしく明るい。

階下に降りて、大広間を見る。惨劇の舞台となったであろう場所は、いつも通りすぎるくらいに綺麗に片付けられていて…

 

「…マイコさん」

目を真っ赤に腫らせたピーネが、鼻をすすり上げながら、昨夜の顛末を話してくれた。

「これからお葬式があるんです。お身体に支障がなければ、ぜひ出席してあげてください…」

リーダーは出られるのか…とは聞けなかった。

 

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空は、気絶しそうなくらいに青々と広がり…

その下を、泣きながら棺桶を背負う賞金稼ぎ連中が時折崩れ落ちそうになりながら墓地へ歩き…リーダーを除いたわたしたちデモンゲイザー隊も、後ろに続いた。

 

「…全てを賭して、魔眼の担い手を救い、導き、守り抜いた…強く気高き、邪眼の女丈夫の魂よ…今はただ、安らかに…」

珍しく正装を纏った葬儀屋が、厳かに言葉を紡ぎ、彼女を送り出す。少しずつ土をかけられ、埋まって行く棺桶を眺めながら、ビアンカたちも思い思いに祈りをささげていた。

 

「…蘇生ですか?」

ふと気になったことを、葬儀屋に聞いてみる。一度マルスに殺されて蘇生を受けた身だ。どんな理屈かは知る由もないが、なぜ彼女は同じように復活させられなかったのか。

「…手遅れ、だったんです」

葬儀屋が言うには、私たちが復活できるのは魂と肉体の結びつきが、死んでも(正しくは瀕死、らしいが)まだそれなりに残っているから、らしい。

「ですがローナさんの魂は、その繋がりすらいつ切れてもおかしくないくらいに、擦り切れてしまっていたので…」

いつか、誰かが言っていたのを思い出す。強いデモンとの高いで、心身ともに大きなダメージを受けた彼女は、それゆえに一線を退かざるを得なかった…と。

 

そのデモンこそが…

 

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葬儀が終わり、自室に戻る。

隣の部屋にいるはずのリーダーは、どんな思いで無人の竜姫亭に残っていたのだろうか。

と、その隣の部屋がノックされた。そのノックの主…武器屋は、リーダーに管理人からの呼び出しだと連れ出して行く。

 

…退去、だろうか。

だとしても無理もあるまい。それだけのことを…意図してではないとは言え、やってしまったのだ。

葬儀中、賞金稼ぎ連中の中にも彼に対して強い憎しみを隠そうともしない人もいた。追い出されても文句は言えないのだ。

…その場合、わたしたちはどうなるだろう?

すでに部屋の契約はなされている。家賃だって、個別に払えば探索で得た儲けで払えないわけじゃない。でも、リーダーがいないまま冒険を続ける気には…

 

どうしてか、なれなかった。

 

 

  −つづく−

 


ゲームだとわりとあっさり描かれてますが、ローナの死については、主人公も喪失感とか半端なかったんじゃないかなぁ…などとなどと。

その辺は次回にフォローできれば。