エルダーゴーレムに飛ばされた先で、探索を続行する。
『また水中ですか…それにしても、皆様も水中でも息ができるのですね?』
はは、これは魔法具のおかげだよ。っていうか、皆様“も”って?
『僕たちは水中から酸素を直接採取することで呼吸が可能なのです』
「ほう、さすがは機械人形…興味深い機能だな」
ノアルが感心したようにうなづいた。
「それにしても…サークルの数、ちょっと多くないです?いつもだとそろそろデモンが出てきそうな頃合いなんですけど」
ビアンカの言う通りだ。この無限坑道にはいくつサークルがあるんだろうか。
『サークルと同じ魔力の波長をサーチします…』
『ヒットしました。既に攻略済みのものも含めて、16あります』
えぇ…そんなにあるの?ええと、さっき潰したのが6個目だから…後10個だね。
「多いわねぇ…まぁ、その分サークルから手に入る武具も多いし、わたしたちの強化にも繋がるから悪いことじゃないわよ。気長に行きましょ」
マイコの励ましに応えて、僕たちは何度目かの浮上を行うのだった。
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「オオ!オマエ さーくる ゼンブ ツブシテ クレタ!」
エルダーゴーレムが嬉しそうに僕たちを出迎える。どうやら彼のいた近くのサークルだけでよかったらしい。
「まぁ、自分のいるところにデモンの通じるナニカが存在してるのはそりゃ怖いわよねぇ…」
マイコに首がもげそうなくらいの勢いでゴーレムがうなづく。じゃあ、約束通り少し遠くへ飛ばして貰おう。
「アトモウスコシ トオク トバセル。ケド チョット チカラガ タラナイ…」
なるほど。ミスリル玉が要り用なんだね。
「オマエ ハナシ ハヤクテ タスカル!」
わかった。じゃあ向こうで探してみるよ。
「タノンダー!」
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エースを狙えそうな勢いでぶん投げられた僕たちは、大空洞の中央あたりで新たなサークルを見つけてジェムを仕掛ける。そろそろデモンが顕れそうな頃合いだけど…
『…お父様、デモン反応を感知!』
来たか!…が、サークルからはいつまで経っても何も出てこない。
「おかしいですねぇ…?」
ビアンカがサークルをつつく。
「俺様たちに恐れをなしたか?」
いや、流石にそれはないと思うけど…
「…!リーダー、伏せて!」
突然叫んだマイコが、僕の前に躍り出てあらぬ方向へ手裏剣を飛ばした。刹那、鈍い音が手裏剣を弾き、地面には銃弾のような塊が転がった。
「ほう…今のを躱すか」
ゆらり、とコートを纏った青年の姿をしたデモンが現れた。その右腕には重厚なライフル銃がある。僕を狙撃しようとしたのは恐らくそれだろう。
『データーを照合。竜姫亭にある手配書の情報と、94%の確率で合致。デモン・アストロです』
双子の解析に、メンバーが即座に配置につき、臨戦態勢をとる。
「なるほどその瞳、かつてのテラと同じ…」
テラ…昔の僕を知っているのか。
「少し、な。だが、今のお前のようなヒトの魂は知らぬ。その正体…しかと見極めさせてもらおう!」
−つづく−
無限坑道内のサークル数は16で、ここまでの中では最多。次点はグリモダール城内の15で、最少は青の旧市街〜シュメル湖の6個。
グリモダールもだけど、階層の行き来も多い分、ちょっと大変なんですよね💧
ワンダーデモン戦は久々に苦戦。10ターン以上かかったのはいつぶりかしら?シードの召喚やソルゲイズの発動もあって、なかなかに手強い相手になりそーです。