炎部さんちのアーカイブス あるいは永遠的日誌Ver.3

日々是モノカキの戯言・駄文の吹き溜まり

【#DG2】プロローグ:少年は少女の願いに応えるようです

鳥の鳴き声と、窓から差し込む陽の光に目を覚ます。見知らぬ部屋の見知らぬベッドの上にいることに気づき、のそりと起き上がると、ちょうど窓に自分の顔が映り込んだ。

自分の顔である、というのは客観的事実で把握できる。しかし、記憶を失っている自分にとって、それが本当に自分の顔なのかどうかはいまいち信憑性に欠ける。

右と左での違う色の瞳…殊、左眼の奇妙な輝きに少し恐怖を覚え、急いで上着のフードを目深に被った。

 

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あのあと部屋にやってきた、トマという使用人の少年に、この館…ステラ座の案内をしてもらう。ステラ座のもう一つの顔…革命団の秘密基地たる地下室も案内してもらったが、記憶のない自分とっては、どこか遠い事の話にも思えた。

 

「失礼します。支配人、旦那様をお連れしました」

 

再び3階へと上がり、一際大きな扉を開けると、そこにはステラ座の主たる支配人・ミュゼとその妹、プリムが待っていた。

 


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「調子はどう、ラッキー。おかしなところはない?」

「あぁ…ま、見ての通りさ」

「そっか、確かに元気そうね。ならよかった」

さっきからトマには旦那様と呼ばれ、1階の酒場で馴染み客からダンナと呼ばれていた自分が漸く名前で呼ばれ、ラッキーは少し安堵した。自分の名前は辛うじて記憶していたが、誰にも呼ばれないものだから不安になっていたのだ。

 

「それにしても…相変わらずそれ、被ってるのね。別にステラ座の中でくらい脱いでもいいのに」

ミュゼが指し示すのはラッキーが被っているフードだった。

「いいだろ別に…なんとなく、脱ぎ辛えんだよ」

「記憶はないっていうのに、こういう癖みたいのは抜けないんだから…まぁ、あなたは昔からそうだったし、気持ち、分からなくもないけどね」

目の前にいる姉妹は、昔の自分のことを知っている。孤児院として経営していた時期のステラ座で、幼い頃からそれこそ兄弟同然に過ごしてきたらしいのだが、ラッキーにはその記憶もない。

「っと、話がそれちゃったわね。本題に入りたいとこだけど…」

その前に、とミュゼが奥の扉に向かって声をかける。

「ペガサス!出てきていいわよ!」

 

「は〜いっ!」

 

元気な声と共に飛び込んできたのは…

 


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「お前…ペガッソ!?」

ラッキーのフード越しの目が丸くなる。昨晩、自分が囚われていた城の工場の中で戦い、左眼の中に封じ込めたはずのミグミィの少女がそこにいたのだ。

「えへへ♪お兄ちゃん、また会えたね〜」

あのとき、本気で自分を殺しにきた少女とは到底思えない人懐っこい笑顔で、少女は笑いかけてくる。

「あのね、お兄ちゃん。工場では攻撃しちゃってごめんね?でもこれからは、ペガッソがお兄ちゃんのこと、守ってあげるから!」

「どういうことだ…こいつぁ?」

「昨夜、あなたからデモンの魂を預かったでしょう?それがこの<ペガサス>を作り出したのよ」

ミュゼ自身もよくわかっていないようだったが、<デモンゲイザー>たるラッキーが魂を捕まえたことで、彼の支配下…要は仲間として生まれ変わった存在…らしい。天馬(ペガサスなんて大層な名前を持った当の本人は、犬のようにラッキーにまとわりついているが。

「本当にデモンを使役できるんなら、これはとてつもなく大きいわ…ふっふっふ」

形成逆転ね。とミュゼがまるで悪役のような笑い方をする。

「…と、ところで旦那様に御用というのは…?」

目まぐるしい展開に置いてけぼりを食らっていたトマがようやく口を開く。

「ええ、改めてお願いしないといけないと思ったのよ」

 

  ──ラッキー…どうかあたしたちと一緒に、この街の運命を変えてほしい。

 

支配人たる少女は、真剣な面持ちで幼馴染の少年に願う。

その真摯な眼差しは、ラッキーにとって魔眼の如く、彼の胸を衝くのだった。

 

 

   DEMON GAZE II Re:luckystars〜少年は少女の願いに応えるようです

 

 

 


前回、1のリメイクたるDGEXのリプレイを書き終えてから約一月半。

ようやく手を出すことができましたよというデモンゲイズ2。

今回は、前作で用意してなかった(そして今も決めてない)メインタイトルをつけてみたり、いろいろ新しいことをやってみようかと思ってる次第です。

前作は主人公の名前を出さないようにしてたのを今回は出したりとか、地の文を主人公の一人称から三人称に変えたりとかもその一環ですねー。

 


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↑今回の主人公くん。デフォルトネームは「シグナ」なんですが今回は独自名。

もともと星座つながりで「宇宙戦隊キュウレンジャー」ネタをからめるつもりでいたんですが、さすがにラッキーまんまってどうなの…と思って試行錯誤したものの、結局この名前に。

2は主人公以外、キャラメイクする余地がないのでリプレイとしては旨味薄そうなんですが、まぁそこは僕のなけなしの文章力でどうにか…

 

あとは2のリメイクが(少なくとも執筆中は)出ないことを切に願います💧

 

 

追記:アイキャッチ画像作りました!

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