炎部さんちのアーカイブス あるいは永遠的日誌Ver.3

日々是モノカキの戯言・駄文の吹き溜まり

それでも俺はプロデュースを続ける。

タイトルに特に意味はなし(ぇ

ルーキーズに向けて、善永さんが憑いてる3週のうち2週を費やしてレッスン。

4週目:歌詞レッスン(グッド)/コミュ:ランクアップ・春香(パフェ)/ボーナス・表現力レッスン(グッド)
5週目;ダンスレッスン(ノーマル)/コミュ:ある日の風景2・やよい(パフェ)/ボーナス・ダンスレッスン(グッド)

善永さんブーストでレベル6。
次のメールで7にはなるだろうなので、次回でルーキーズを慣行。
これは、月臣Pでプロデュースしてたのと同じパターン。…勝てる!

Flo-ra:ランクE/活動2週(通算5週・リミット19週)/獲得済み特別オーディション:なし/獲得ファン数:1万8995人(残り8万1005人)/順位:22476位(最高22476位)


さて、今日はバレンタインデーらしいね。
…俺には蝶縁ない話だけど。

ついでにいえばアイマスでも縁のない話なのか、公式のぞいても特になんかするわけでもなく。
…DVDの発売も延期しちゃったしね。


と、いうわけで。
クリスマス同様、今回もイベントでっちあげまっしょいw

…というわけで、誠意執筆中w


 ―――今日も一日、がんばりますかっ。
 いつもどおり事務所の扉を開ける。
 まだ流石に所属アイドルのコたちは来ていない。
 まぁ、僕より早く来られても…なんだけど。
「あ。おはようございます、穂村さん」
「?」
 と、声をかけられて振り向くと背の低い女性が笑顔で立っていた。
「あ、おはようございます、小鳥さん」
 いつもならここでお互いさっさと仕事に就くのだが、今日はなにか雰囲気が違った。
「…なにか?」
「あ、いえ…これを…受け取ってもらおうと」
 そう言って小鳥さんがピンク色の小さな包みを僕に差し出す。
 …ふぇ?
 これって…何?
「…あの?」
「はい?」
「どうしました? 鳩鉄砲喰らったような顔をされて?」
「…小鳥さん、逆です逆」
「…あっ …あらやだ私としたことが(汗」
 真っ赤になって慌てる小鳥さん。そんな様子がちょっと可愛らしくて口元がほころぶ。
「ところで、これなんでしょう?」
「…え? 今日はバレンタインデーですからチョコをお渡ししたんですけど?」

 …あ、そうか。

「今日、14日でしたっけ?」
「そうですよ。…忘れてらしたんですか?」
「あー、いや。どうにもこういう仕事してると季節感を忘れかけるというか」
 もともとバレンタインなんて縁遠いものだしね。
「そうですね、アイドルのコたちなんか年がら年中同じような衣装ですし」
 くすくすと小鳥さんが笑う。
「ところで、そのリアクションですと、普段から貰い慣れてないみたいですね」
「お恥ずかしながらw」
 見栄を張っても仕方が無いことなので、正直に肯定する。
「…じゃあ、今年は期待できるんじゃありません?」
 期待、ねぇ…。


「プロデューサーさんっ」
「プロデューサー♪」
 背後から声をかけられる。僕が最近手がけ始めたデュオ「Flo-ra」の2人だ。
「んっ…おぉ、春香にやよいじゃないか。どうしたんだ、今日は仕事は無かったはずだけど…?」
 僕がそう言うと、2人はそろって後ろ手に隠していたモノを突きつける。
「「はいっ、ハッピーバレンタインですっ!!」」
「…うぉっ」
 とうとつに目の前に出されて一瞬たじろぐが、それはすぐに綺麗にラッピングされたチョコだと分かった。
「…へぇ。これ、手作りかい?」
 包装を解くと、小さなカップにチョコフレークと同居したチョコが幾つか並んでいた。
「えへへ…はいっ、春香さんに作り方とか、教えてもらったんですよっ」
 ニコニコ笑顔でやよいが応える。
「それに、チョコ代まで出してくれて…うっう~っ、本当は私が払わないといけないのに今月は給食費も払えないからそこまで手が回らなくて…」
「やよいっ、もうそれはいいってば~っ(汗」
 どん底モードに落ち込むやよいを、必死になって慰める春香。
 …うーん。なんというか、いいコンビだよなこの子達。
 やっぱり、この2人で組ませて正解だったよ。
「とにかく、ありがとう。大事に食べるよ」
「はいっ、ありがとうございますっ!」
 満面の笑みを浮かべる春香に、僕自身も笑顔になっているのが分かった。

 …はっ

 な、なんか強烈な視線を感じるなァ…?
 恐る恐る後ろを振り返ると…

  ばしっ!!

「あだっ!?」
 乾いた音が目の前で弾け、顔面に衝撃が走る。
「いてて…な、なんだ?」
 と視線を泳がせると、廊下をパタパタと走り去る人影が一瞬見えた。
「あれ…伊織?」
「…? ねぇプロデューサー、それ、チョコじゃない?」
 やよいの言葉に、足元に転がったカートンボックスを拾い上げる。
「…あー、それ知ってます。確か、BA○BIってイタリアの高級チョコですよ?」
 たしか、一個530円くらいするんですって。
 そう言った春香の言葉に、やよいがカルチャーショックを受けたかのように硬直する。
「…ともかく、僕にくれたのならお礼を言わないとね」
 あれをくれたというのかどうかはともかくとして。
「誰か分かるんですか?」
「…見当はついてるよ」


「…こんなところでぼーっとしてると、風邪ひくぞ」
 屋上で突っ立っていた少女に、僕のコートを羽織らせる。
「!?」
「これ、キミがくれたんだろう?」
 振り向いた少女…伊織は、一瞬ぱぁっと顔を輝かせるが、すぐにむすっと膨れて顔をそらす。
「…ちがうわよ、捨てたの」
「…僕の顔面に向かってかい?」
「捨てたったら捨てたのっ 欲しかったら勝手に持って帰ればいいじゃないっ」
 何が気に入らないのか、どうもご機嫌ナナメな様子だ。
「そうか。それじゃ…いいものを拾ったとしておくよ。…伊織からのバレンタインチョコをね」
「……!」
 後ろ頭越しに、耳まで真っ赤になっているのが分かる。…どうやら図星のようだ。
「ありがたく受け取っておくよ、伊織」
「だっ、だから捨てたって…」
「ほらほら。いつまでもこんなところにいないで、中に入ろう? ホントに風邪ひいちゃうよ」
 渋る伊織の背中を押して、北風が襲い掛かる屋上を後にした。


「ふぅ…。今日も一日、おつかれさんっと」
 帰り道を、少々足早に急ぐ。
 あずさからメールで呼び出されたからなのだが。さすがにここまで来るとバレンタインでチョコとかくれるのかな?とか期待しちゃうわけで。

「お疲れ様です~、プロd…廉太郎さん」
 ジャズ鑑賞でたびたび訪れたバーで待ち合わせをしていたあずささんが、笑顔で出迎えてくれる。
「お疲れ様、あずさ」
 カウンター席に並んで腰掛け、一息つく。
「そういえば、今日はバレンタインデーだったんだね」
「はい~。…ふふふっ、私、てっきり廉太郎さんは気付いてないかと思ってましたけど」
 くすくすと笑いながら、あずさがそう言う。
「さすがにね。事務所でもプロデュース中のコたちや小鳥さんから貰ったし」
 僕がそういうと、あずささんは僅かに怒ったような顔を見せた。
「ふぅ…ん。廉太郎さん、いっぱいもらったんですね…」
「あ、いや…そんな貰ったってワケじゃ…第一、みんな義理なんだし」
 慌てて取り繕うも、そっちが逆効果なんじゃと気付いて自己嫌悪に陥る。
 が、次に聞えてきたのは、予想を裏切る笑い声だった。
「…うふふ。知ってますよ。廉太郎さんはとってもステキな人ですから。…だって、私が好きになった人ですもの」
 頬を桜色に染めて、あずさが笑った。
「…あはは。改めて言われると、照れるな…」
 後ろ頭をかく僕に、あずさがはいっ、とハート型の包みを手渡す。
「今日一日、がんばって手作りしちゃいましたv」
 照れ笑いを浮かべるあずさの姿に、思わずじーんとなる。
「…感激だな。ありがとう、あずさ」
 それじゃ、乾杯しようか。とグラスを取る僕の手を、ふとあずさが制した。
「折角のバレンタインですから」
 と言って彼女が用意したのは、小さなボトルを模したウィスキーボンボンだった。
 2人で一つずつつまんで、グラスをかち合わせるように、こつんと重ねる。
「ハッピーバレンタインに、乾杯♪」
「乾杯」


 今年のバレンタインは、人生でもっとも充実した一日のひとつになっていた…。