#モン勇リプレイ風
「新たな秘宝を取り戻したのですね」 魔王を倒して早々に塔を脱出したオレたちは、その足で城へと向かい女王に手に入れた秘宝を返納した。 「秘宝“ミストルティン”…確かに」 女王曰く、この秘宝は“加護の神木”とも呼ばれているとのこと…聞くだけで元の世界に…
「またオレのナワバリを荒らしに来たか」 ビスヘイムの中枢。前回とは打って変わってねぐらに鎮座したままのフェンリルに戦いを挑む。 「こりないヤツらめ!丸呑みにしてやろう!」 にじみ出る殺気を一気に放出し、遠吠えとともに眷属の魔獣たちを呼び寄せる…
「しばらくは武器の強化を優先すべきだな」「強化ったってどうやんだよ…鍛冶屋に頼んで鍛え直すとかか?」 残念ながら勇者ギルドにそう言う施設はない。 「簡単に言えば、同じ装備を使い続けるってことだ」 武器を持ち替えて改めて実感したが、同じ装備で戦…
「宝箱の質は悪くねえんだけどなぁ…あんまり強い武器って出てこねーのな」 今日も今日とてビスへイム。倒した魔物から回収した宝箱を開いたキリクの感想がコレである。 「肝心の宝箱抱えてんのがケダモノだからな…武器の価値とかわかってねえんじゃねえの?…
復活の秘術の先で、軽く女王と謁見。得られるものも少なさそうなので早々に立ち去ろうとすると、なぜかオレとキリクだけ呼び止められた。 「…聖騎士ジークのことです」 先日その件でウールを怒らせてしまっていることを考えれば、この場にオレたちだけを残し…
「な、なんなのそれ!?」 厨房のカウンターにどっかと乗せられたそれに、チュッケが目を白黒させる。 「見てわかんねえ?鳥の肝の肉だよ。ビスヘイムで見つけたんだぜ」「ビスヘイムで?って、それつまり魔物のお肉ってことじゃあないか!そんなもの、どう…
「ごーめーいーわーくーをー、おーかーけーしーまーしーたー」 一夜明けて、すっかり元気を取り戻したウールが深々と頭を下げた」 「気にしないで〜、ウールちゃあん。元カレが闇落ちしてたら〜、取り乱しもするわよねぇ〜?」 「ふぁ!? ち、ちーがーうー…
「聖騎士ジークと会ったのですね」 塔から戻ったオレたちは、取り急ぎそこであったことを報告するべく城へと赴いた。 「彼は、みなさんと同じように外の世界から来た勇者のひとり…でした」 過去形で終わらせる言葉が、女王にとってジークの存在はなかったこ…
そういえばデミヘイムでも違和感のある壁の存在を思い出したので、ビスヘイムに行く前のウォームアップを兼ねておさらいに。 「ここにもあったんだな、隠し扉」 今まで遠目に見えてはいたが取りに行けなかった宝箱の確保もでき、さて戻ろうとしたところで別…
朝からいろいろあったが、とりあえず起きてきた他の連中と合流して、竜王の塔の前へと向かう。出入り口にあたるクリスタルの前に着くと、その輝きが異様に増した。どうやら女王に授けられた第1の秘宝・ミョルニルの力に反応しているらしい。 「新しい界層に…
魔王フレイを討伐して、一晩が過ぎた。オレは次なる界層に挑む準備のため、朝食がてら装備の手入れを行っている。 「食べるか弄るかどっちかにしようよお行儀悪いねェ…」 チュッケが渋い顔をしているが、時間は有効に使うのがオレの流儀である。 今回の魔王…
今朝のミーティングにもしっかり寝坊して遅刻するキリクであった。 「いや、オメーのせいだろーが!ガチのマジで寝かせなかったくせによーっ!」「…えっ、キリクちゃんとアノンちゃんが一晩中~? あらあらまぁまぁ~♪」 とりあえずディーネが想像しているよ…
「…なんだまだ起きてたのかよ、アノン」 今日の分の塔探索を終えて、夜。寝静まった勇者ギルドの大広間に、あっけらかんとした声が響いた。 「お前に言われたかねーよ。つかお前朝弱いンだからとっとと寝とけ」 1週間以上行動を共にしているが、朝の食事兼ミ…
━━みなさんは、私たちの希望です。何度全滅しても、くじけないで… 「勝手なこと抜かしてんじゃねー!」 遠ざかった意識に語り掛けてくる女王にブチギレながら目を覚ます。どうやら無事(?)蘇ってこられたらしい。できればそう何度も味わいたい感覚じゃあな…
デミヘイムの只中で、爆音と金属音がこだまする。 「今だ、ぶん回せキリクッ!」 「おおぉぉぉらあぁぁっ!!!」 鬼の腕力がもたらすフルスイングが、ボスゴブリンの側頭部にクリーンヒットし、綺麗な放物線を描いて吹っ飛んでいく。 「ギガグ…ッ!?バ、バ…
「今日はボスに挑もうと思う」 朝イチのミーティングで、キリクが口を開く。 「…いいよな、アノン?」 「なんでオレに許可求めてんだよ」 「いや、だって…」 前にオレから色々言われたんがよっぽど堪えてんのかねぇ… 「ま、問題はねえさ。オレらの実力は確実…
翌日から、俺たちは隊の強化を優先すべく、魔物との戦いを続けている。 時折、突出しすぎたキリクやイヅナがぶっ倒れることはあったが、そこは女王の加護で復活するのでなんとかなっている。 むろん、その時はオレのお説教コースが待ち受けているわけで。 ……
「…起きてる?」 2日目の塔攻略を切り上げたその夜。武器のメンテナンスをしているオレに声をかけてきたのはナナシだった。 「まだ起きてたのか。早く寝ないと明日に響くぞ」 「…わたし、眠れないの。アンデッドだからだと思う」 他の不死族に知り合いがいな…
なんとか強敵(ボス)を撃破したものの、全員そこで精魂尽きてしまい、その日の探索はそこまでとなった。 そして翌日である。 「なあアノン、さっきっからアンタのまわりを飛び回ってるその羽虫なんなん?」 日替わりの朝定食を食べている俺に、起き抜けらし…
「自己紹介を〜、しましょ〜♪」 朝食に頼んだ生姜焼き定食(何の肉かは聞かないでおいた)に舌鼓を打っていると、ディーネがそんなことを言い出した。 「折角ご縁があって仲間になったのですから〜親睦を深めるためにも〜相互理解は必要ですよ〜」 仲間になっ…
──うおおぉぉぉっ!?死んだ!はいオレ死んだよ!!? 強烈な死のイメージに跳ね起きる。…起きる?慌てて両手で自分の身体を確かめる。 首、ついてる。 胸、心臓動いてる。 腹、穴空いてない。 足、ちゃんとある… 「…あれ?」「やれやれ、よーやっと起きやが…
──むかしむかし…ここではないあるところに、“妖精の国”がありました。 子供の時分、幾度となく親にせがんで話してもらった御伽噺。 いつか行ってみたい、そう空想を巡らせていたのも今は昔。大人になるにつれ人の後ろ暗いモノを知り、裏切られ、世界に揉まれ…