炎部さんちのアーカイブス あるいは永遠的日誌Ver.3

日々是モノカキの戯言・駄文の吹き溜まり

2014-05-01から1ヶ月間の記事一覧

【牙狼SS】無銘の友誼:シーン4【真鍮騎士篇】

「な……なに、これ?」 敵前であることを忘れているかのような、獅子丸の素っ頓狂な声が転がる。 『どうした!? ぼさっとしてんな!』 そんな相棒に喝を入れると、うなづきながら剣を握り直し、跳んだ。 「うわっ!?」 『む!?』 その跳躍に、俺のみならず…

【牙狼SS】無銘の友誼:シーン3【真鍮騎士篇】

俺……こと魔導具<アルド>が、魔戒騎士・立神獅子丸の“相棒”となってから、一週間が経過した。 未だ任務には当たってないものの、こいつの“人となり”的なものはだんだんわかってきた。 『獅子丸よぉ……なんで一言の言い返しもしねえんだよ……言われたい放題だ…

【牙狼SS】無銘の友誼:シーン2【真鍮騎士篇】

オレが阿門のじーさんトコに厄介になってから、数ヶ月が経った。イカついじーさんとの二人(?)暮らしってのも存外悪くは無いもんだね。 ボロボロだったオレの“身体”も修復が終わった。鏡で見せてもらったが、ずいぶんとイケメンになってて驚いたもんだ。 …

【牙狼SS】無銘の友誼:シーン1【真鍮騎士篇】

<アルド> それがあのじーさん……阿門法師からもらったオレの名前だ。 「なんだお前、旧い魔戒語のことも憶えておらんのか? ……“名も無き者”という意味だ」 『!? っテメー、それ結局<名無し>ってことじゃねえか!!!』 かんらかんらと笑ってやがった。……

【牙狼SS】無銘の友誼:プロローグ【真鍮騎士篇】

―――誰だ…… 誰だ、オレを呼ぶのは……? 沈んでいた“意識”が急速に浮上する。ぼんやりとした光が、やがて鋭くなって……オレは目を醒ます。 「……おう、ようやっと起きたか」 『うおわああああああっ!!?』 とつぜんぶつかった視線に驚き、次は馬鹿でかい自分の…

【牙狼SS】血錆の兇刃:エピローグ【緑青騎士篇】

白み始めた東の空を眺めながら、6人の若者たちが思い思いに疲れた身体を地面や樹木に預けている。 人払いの法術は間もなく解ける。日が昇れば、公園の惨状が人目に晒され、ちょっとした騒動になるだろう。 それまでには突き刺さった緑青剣を引き抜き、ここ…

【牙狼SS】血錆の兇刃:シーン16【緑青騎士篇】

――真なる烈火炎装 魔戒法師の祖、<炎人>の末裔とも言われる、紅蓮騎士の系譜に伝わる最大奥義である。 鎧に魔導火を纏わせる通常の烈火炎装とは大きく異なり、ソウルメタルを文字通り燃やし、炎の鎧を以って戦う。 今世において、この技を扱えるのは、当代…

【牙狼SS】血錆の兇刃:シーン15【緑青騎士篇】

「さあて、そんじゃま行きましょうか!」 優雅に舞う揚刃が、ソウルメタルで造ったメダルを取り出す。魔導火をともし、ぱっと投げ上げ、気合を放つ。念を送り込まれたメダルは、炎の飛礫となって一斉に咎牙に降り注ぐ。 「まだまだいくわよっ」 次々にメダル…

【牙狼SS】血錆の兇刃:シーン14【緑青騎士篇】

咎牙と同じく、錆びた銅の色を持った甲蟲の鎧が、少しずつ黒ずんでいく。心なしか、少しずつ大きくなっているようにも思えた。 『ソウルメタルが、デスメタルへと変貌している……』 「デスメタルって、確か闇に堕ちた魔戒騎士の鎧の……?」 相棒の呟きに反応し…

【牙狼SS】血錆の兇刃:シーン13【緑青騎士篇】

既に幾合の攻防が繰り広げられたのか。11を最後に、誰もが数えることを放棄していた。 90秒前後を、狼を象った鎧が数体組み合い、切り結び、叩きつけ、かわす。 制限時間ギリギリで鎧を脱ぎ、紅牙たちは身体を休めていた仲間と交代し、肩で大きく息をし…

【牙狼SS】血錆の兇刃:シーン12【緑青騎士篇】

「あれが……緑青騎士・咎牙」 「鎧を纏っただけで心が折れそうになる気魄を放ちやがるぜ……ったく、とんでもねえ」 びりびりと皮膚に受ける殺気を感じ、斬と紅牙がごくり、と固唾を呑んだ。 「――来る!」 誰かの声が聞こえた刹那、錆びた鎧が飛び掛り、大きな…

【牙狼SS】血錆の兇刃:シーン11【緑青騎士篇】

「律さん……」 突然の闖入者に、驚きとともに一瞬の安堵が、あかねの緊張の糸を切る。力の抜けたその肩を、瑠璃色の袖がそっと抱いた。 「大丈夫、あかねちゃん?」 「光さんも……どうして……」 問いかけに、「そりゃこっちのセリフだわよ……」と光が返しながら…

【牙狼SS】血錆の兇刃:シーン10【緑青騎士篇】

人の気配のない……事前に人払いの方術でも仕掛けていたのか……公園に、金属音と打撃音がこだまする。 既に打ち合いは両手の指を使い切ってなお足りないほどの数に及び、周囲の地面や植木には、弾かれ受け流された衝撃の余波による傷跡がいたるところに刻み込ま…

【牙狼SS】血錆の兇刃:シーン9【緑青騎士篇】

ふわり、と不意に譲一郎の黒衣が風圧に揺らぐ。 「……!」 咄嗟に、あかねが前傾姿勢になる。“無形の位”……構えなき構えをを得手とする彼女ではあったが、噴き上がる殺気が彼女に僅かながら恐れを抱かせ、それが身体を動かしてしまったのだ。 刹那、佇む譲一郎…

【牙狼SS】血錆の兇刃:シーン8【緑青騎士篇】

日没から、数時間が経過した。 間もなく大気に漂う陰我の密度は最高潮に達するだろう。 そんな闇夜の中を、魔戒騎士の正装たるコートが、三つ翻る。 「今のところ、妙な気配はないみたいね」 「……だな」 先んじた女性のような男の声に、静かに別の男の声が答…

【牙狼SS】血錆の兇刃:シーン7【緑青騎士篇】

騎士たちが南の管轄に集結し、一夜が明けた。 紅牙の提案に乗り、ローラー作戦を以って咎牙を追跡することにした彼らは、早速ペアを組み、管轄の南と北から作戦を開始した。 「そっちはどうだった?」 「特に異常は無かったな。周囲に気を配っても見たが、付…

スーパー特撮大戦200X:第3話/シーン2

「……で、だ」 スナック・アミーゴ。 閉店後も煌々と明かりのつく店内は、ヒーローたちの待機場所だ。 「その渡五郎という青年と、新人類のイツツなんとかってのが戦ったってことだな?」 タクマの問いに、サキが首肯する。 「それで……お前は戦いもせずに逃げ…

スーパー特撮大戦200X:第3話/シーン1

エイジとラン。そしてタクマとサキがアミーゴに居候を始めて数週間。 戦いの傍らでアミーゴの手伝いを始めるランとサキは、常連客のアイドルになりつつあった。 一方、彼らの戦いに新たな勢力が介入を始めた。その名は<新人類帝国>。 帝王バンバを名乗る謎…

スーパー特撮大戦200X:第3話/アバンタイトル

アミーゴで待っていた本郷と立花は、エイジたちが連れてきた男女……タクマとサキに出会う。事情を知った本郷たちは、快く二人を迎え入れ、ここに二組目の居候が誕生することと相成った。 「いやぁ、しかしすごいもんだなぁ……こんな小さな店の旧式のパソコンで…

シーン3:Sとの対峙/ガイアメモリとドーパント

シーン3:Sとの対峙/ガイアメモリとドーパント 無人となったホールのステージでは、荘吉と蜘蛛男の格闘戦が繰り広げられていた。大降りに繰り出される蜘蛛男からの攻撃を、荘吉は難なく躱してハイキックを見舞う。しかし蜘蛛男もその蹴りを意も介さず受け…

【オリジナル】Friendry_Kiss【キスの日】

――女の子にとって、キスとは神聖なものなのだ。 という言葉をどこで見たのか、あるいは聞いたのか。 一昨年嫁に行った姉さんの持ってた少女マンガだったか、昔日曜の朝にやってたアニメだったかもしれない。 まぁともかく。そういうものであると、僕は思って…

【フォーゼSS】仮面ライダーメテオ/シーン2【スピンオフ】

果たしてアリシア連邦の空港に降り立つ流星の姿があった。 空気の匂いも、肌をなでる少し冷たい風も、生まれ育った日本とも、ようやく慣れてきたフランスのそれとも違う。異国に来たことを改めて実感する流星である。 「さて……インターポールからの助っ人が…

【フォーゼSS】仮面ライダーメテオ/シーン1【スピンオフ】

――これが、これまでの「仮面ライダーメテオ」―― 仮面ライダーメテオ=<朔田流星>は、かつて<反ゾディアーツ同盟>とよばれる組織に属していたエージェントであった。 その正体は誰にも知られてはならず、そして流星自身の目的もあり、同じくゾディアーツ…

【フォーゼSS】仮面ライダーメテオ/プロローグ【スピンオフ】

閑静な住宅街に、黒山の人だかりが出現する。 しかし、行きかうものたちは誰も彼も、ヒトの姿を成してはいない。 「ダスタードに……ゾディアーツまで。よくもコレだけの数が集まったものだ」 一人だけ、同じく黒衣ながら佇まいを意にする者が群れを一瞥し、呟…

【闇照】ZEN~炎刃の鋼腕~/シーン2【スピンオフ】

シーン2:女/Alchemist 義肢職人のねぐらは、魔戒法師の里・閑岱のはずれにあった。 掘っ立て小屋のような簡素なつくりの建物からは金属を打つ音が響く。猛竜は辺りを見回すと、ここで間違いなさそうだと察して、小屋に近づいた。 「しっかし、えらく鄙び…

【闇照】ZEN~炎刃の鋼腕~/シーン1【スピンオフ】

シーン1:僚/Mate 数日前のことだ。 愛剣と義手を引っさげ、指令書のままにホラー殲滅の任に向かった猛竜は、思わぬ強敵に苦戦を強いられていた。 もとより、利き腕ではない方で剣を振るうのだ。猛竜が想像するよりも遥かに、彼の戦力は低下していた。…

【闇照】ZEN~炎刃の鋼腕~/プロローグ【スピンオフ】

プロローグ:幻/Pain ――右手を穿つ、痛み。 突き立てられた巨大な針のようなモノが、じわじわと蠢いて俺の肉を掻き回す。 中に入ってくるナニカが……オレヲ……変エ…… ……変えられて、たまるか! 「うあぁぁぁぁぁ……クソッタレェェェッ!!!」 地面に刺し…

シーン2:誰がために捧ぐS/風都の歌姫

シーン2:誰がために捧ぐS/風都の歌姫 白いスーツに袖を通し、愛用の白い帽子を手にする。いつものスタイルを決め、荘吉はマツとともに車に乗り込み、現場を目指す。 メリッサの待つ<シティホール108番館>は、風都の中心部からすこしだけ離れた場所…

シーン1:噂のS/荘吉とマツ

シーン1:噂のS/荘吉とマツ 見渡す限りに風車が溢れ、常にどこかでそれらが回る街――風都。 その街を流れ往く風の一端に、どこからともなく珈琲の香りが混ざる。風の来た道をたどれば、その先には古びたビリヤード場。 その2階の窓がわずかに開き、珈琲豆…

スーパー特撮大戦200X:第2話/シーン2

ギィ……と、金属同士が擦れ軋み、ハッチが重力に流されるまま開き落ちる。 地面にめり込んだハッチを乗り越え、二人の男女が外に出た。 「……どうやら、無事地球に降下したらしいな?」 長髪の男がふと空を仰ぎ見る。そろそろ深夜にさしかかろうかという夜空に…