炎部さんちのアーカイブス あるいは永遠的日誌Ver.3

日々是モノカキの戯言・駄文の吹き溜まり

【ノベライズ】仮面ライダースカル

シーン9:Sに至る/スカルメモリとロストドライバー

戦場を工場エリアへと移した荘吉と、仮面の部隊が照明に照らされたむき出しのパイプのジャングルを駆け巡る。 最初こそ戸惑ったものの、数度手合わせしてみれば、仮面の男どもは多少身体能力が向上しただけの人間に過ぎない。そう断じた荘吉が攻勢に転ずるの…

シーン8:蝙蝠が紡ぐS/生贄たちの宴

夜闇に紛れ、くぐもったうめき声が数度聞こえ、どさり、という物音がかぶさる。黒スーツの男たちが、なす術もなくやられ、倒れ伏していくのだ。 「……ふぅっ」 一仕事終えたとばかりに両手を払うのは、白スーツの男……鳴海荘吉だ。その背後には“矢口芸能社”の…

シーン7:助っ人はS/探偵と遊撃隊

――近代化の目覚しい風都にあって、今尚古きよき時代を残す一角があった。 今では正式名称を知る住人も少ないこの神社もその一つであり、夏祭りも秋祭りもとうに過ぎた11月でもなお、週末には幾ばくかの屋台が並び、そこへ訪れる人々も決して少なくはなかっ…

シーン6:Sの目は誰に/マツの本棚

<注意!> 本シーンでは、原典「仮面ライダースカル メッセージforダブル」の核心に触れる場面がございます。ネタバレを是としない方には閲覧を推奨いたしません。ご了承ください。 ↓ ↓ ↓ 膨大な数の書架に、それに収まった夥しい数の本、本、本……。 街…

シーン5:幽霊のS見たり/死に装束と髑髏

――深夜。 情報収集のために“本棚”に篭った相棒と別れ、ひとり事務所に戻った荘吉は、マツに立ち入りを禁じた“開かずの扉”を開く。 かつてはビリヤード場のバックヤード兼倉庫だった場所は、巨大なガレージへと姿を変え、その中央には髑髏を模した巨大な装甲…

シーン4:交わされたS/女の絶望

<注意!> 本シーンでは、原典「仮面ライダースカル メッセージforダブル」の核心に触れる場面がございます。ネタバレを是としない方には閲覧を推奨いたしません。ご了承ください。 ↓ ↓ ↓ 「ちょっと……っ!」 強く掴まれる腕の痛みを訴えながら、メリッ…

シーン3:Sとの対峙/ガイアメモリとドーパント

シーン3:Sとの対峙/ガイアメモリとドーパント 無人となったホールのステージでは、荘吉と蜘蛛男の格闘戦が繰り広げられていた。大降りに繰り出される蜘蛛男からの攻撃を、荘吉は難なく躱してハイキックを見舞う。しかし蜘蛛男もその蹴りを意も介さず受け…

シーン2:誰がために捧ぐS/風都の歌姫

シーン2:誰がために捧ぐS/風都の歌姫 白いスーツに袖を通し、愛用の白い帽子を手にする。いつものスタイルを決め、荘吉はマツとともに車に乗り込み、現場を目指す。 メリッサの待つ<シティホール108番館>は、風都の中心部からすこしだけ離れた場所…

シーン1:噂のS/荘吉とマツ

シーン1:噂のS/荘吉とマツ 見渡す限りに風車が溢れ、常にどこかでそれらが回る街――風都。 その街を流れ往く風の一端に、どこからともなく珈琲の香りが混ざる。風の来た道をたどれば、その先には古びたビリヤード場。 その2階の窓がわずかに開き、珈琲豆…

オーバーチュア:Sとの邂逅/男の決断

オーバーチュア:Sとの邂逅/男の決断 ――“男”は、哭いていた。 愛する人がいるのに、守りたい人がいるのに…… 届かない自分の手に。力なき自分自身に。 絶望の慟哭を、声もなく。 嗚呼。 “強さ”があれば。あの享楽と欲望と本能の坩堝から、彼女を連れ出すこ…