戦場を工場エリアへと移した荘吉と、仮面の部隊が照明に照らされたむき出しのパイプのジャングルを駆け巡る。
最初こそ戸惑ったものの、数度手合わせしてみれば、仮面の男どもは多少身体能力が向上しただけの人間に過ぎない。そう断じた荘吉が攻勢に転ずるのに、さほど時間は要さなかった。
数体の雑兵を殴り飛ばし、十数体を蹴り飛ばし、キャットウォークや砂利置き場を舞台に荘吉のソロ・ステージが繰り広げられる中、いつの間にか現れたスパイダー・ドーパントが荘吉の身体を糸で拘束した。
「機械を操れるのか……」
「む、ぐ……」
アームを上げる機械のパワーに耐え切れるわけもなく、荘吉の身体が宙に浮き上がる。バット・ドーパントが手をかざして、アームに更なる動きを指示すると、重機がぐるりと回転し、強烈な遠心力が荘吉を振り回した。
その先にはコンクリート打ちの壁が待ち構える。激突すれば致命傷は必至であろう。
「荘吉!」
そこへ黒衣の女……シュラウドが駆けつける。赤い調度品を手にした彼女は、それを今まさに壁に向かう荘吉へとめがけ投げつけた。
“それ”は荘吉の腰に取り付き、ベルトになる。
-SKULL-
起動したベルト……<ロストドライバー>が、内包したガイアメモリの名を囁くのと、荘吉の身体がコンクリート壁に激突したのはほぼ同時であった。
「フフフ……」
荘吉の死を確信したスパイダー・ドーパントが壁に空けられた大穴に近づく。が、次の瞬間、その顔面は黒い拳の一撃を浴びた。
砕けた壁の向こうから現れた荘吉は、すでに荘吉の姿をしていない。ふと停めてあった車のボディに自らの姿が映り、荘吉はしばし呆然とヒトならざるものへと変わってしまった己が身を眺めた。
「……これが俺の身体」
「まだ……完全なスカルではない……!」
飛び掛るバット・ドーパントに応戦しながら、シュラウドが呟いた。
-つづく-
一応、ライダー用メモリと、ドーパント用メモリ、そしてギジメモリでガイアウィスパー(電子音声)の描写を書き分けしてたりします。
まぁ、劇中で同時に鳴るシーンって殆どないのであまり意味はないですが(汗
ようやくスカルクリスタル登場。
このペースだと全何シーンになるのやら(滝汗
まぁ、やりたいノベライズなのでしっかりやっていきますとも。ええ。