炎部さんちのアーカイブス あるいは永遠的日誌Ver.3

日々是モノカキの戯言・駄文の吹き溜まり

【ノベライズ】スーパー特撮大戦

スーパー特撮大戦200X:第6話/シーン4

突然のルシファードの出現に眼を見開いたのは、ヒーローたちだけではなかった。 「ルシファード!? 今までどこにいた?」 「鋼帝ゼファス様がお怒りになられているわよ!」 こちら側へと呼びかける二人を、しかしルシファードは全力で拒む。 「俺は、あの呪…

スーパー特撮大戦200X:第6話/シーン3

眼下に広がる青く美しい星……地球。 今そこを離れる、一隻の宇宙ポッドの姿があった。 「これで地球も見納めだな、タクマ……」 かつての自分が犯した罪を償うべく、宇宙刑事ギャバンに自らその手に手錠をかけさせたタクマは、相棒のファディータ……サキとともに…

スーパー特撮大戦200X:第6話/シーン2

巨大戦闘機……アプファロン曰く<ケルバーン>と銘打たれたそれは、その圧倒的な火力で駆けつけた警備班の航空戦力、地上戦力を蹂躙していく。 「ジャイアントロボ、出動っ!」 避難する人々に紛れ、一人の少年の声が凛と響く。それに呼応するかのように空が…

スーパー特撮大戦200X:第6話/シーン1

――時を同じくして、都内某所の石切り場。 あらかたの資源を取りつくし打ち捨てられた廃墟で、一人たたずむ異様な雰囲気を纏う老紳士の姿……その立体映像があった。 秘密結社ショッカーが最高幹部・死神博士その人である。 ・ ・ ・ 遡ること数刻前。 「儂に秘…

スーパー特撮大戦200X:第6話/アバンタイトル

ヒーローたちに案内され、ギャバンは彼らの本拠地たるアミーゴを訪れた。 新たな客に、マスターである立花はにこやかに応え、一杯のコーヒーをごちそうするのだった。 「……うん。俺はあんまりコーヒーに詳しいわけじゃないが、これはいいな」 「そりゃ嬉しい…

スーパー特撮大戦200X:第5話/シーン3

「大丈夫か、エイジ、ラン!?」 「ルシファード……タクマさん?」 魔空空間内で身動きの取れなくなっていたヴォルテックスとランを見つけ、ルシファードが二人を抱える。融機鋼が有する空間同調システムの恩恵をわずかばかりに受けた二人が、大きく息を吐い…

スーパー特撮大戦200X:第5話/シーン2

アミーゴ隊の面々が現場に到着すると、奇怪な風貌の怪人たちが破壊と略奪を繰り広げていた。 「フハハハハ……奪え、焼き尽くせ! ここをマクーの前線基地にするのだ!」 「マクーだって?」 連中の発した単語に、タクマが眉根を寄せる。 「データ照合完了! …

スーパー特撮大戦200X:第5話/シーン1

「あ、この間の事件が記事になってるね。特集だってさ」 携帯のニュースサイトを眺めていたランが声を上げる。どれどれとエイジがのぞきこむと、以前に共闘した防衛組織<ユニコーン機関>の巨大ロボのことを伝えるものであった。 「んー、でも本郷さんたち…

スーパー特撮大戦200X:第5話/アバンタイトル

広大な宇宙空間にある美しい惑星――<バード星>は、宇宙の正義と秩序を守る<銀河連邦警察>の本部が置かれている。 その最高責任者であるコム長官は、ある特命を配下である宇宙刑事に託す……。 その名は、<ギャバン>。 バード星人の父と地球人の母を持つ、…

スーパー特撮大戦200X:第4話/シーン5

「くそッ、離せ! 俺をどうしようってんだ!?」 マスクを剥ぎ取られ、正体を明らかにされてしまった滝は、戦闘員らによって手術室へと連れ込まれていた。 「ハッハッハッ……ショッカーに忠誠を誓う改造人間にしてやる!」 白衣に身を包んだショッカー科学班…

スーパー特撮大戦200X:第4話/シーン4

滝を追って基地に潜入を果たしたタクマとサキは、一度変身を解いた。融機鋼殻をまとったままの姿は流石に悪目立ちが過ぎるのだ。 「さて……潜入したはいいが、滝にしてもゾル大佐にしても何処にいるんだか……サキ」 「了解。滝さんの生体反応を検索します」 サ…

スーパー特撮大戦200X:第4話/シーン3

再びショッカーの秘密基地に近づいたエイジたちであったが、静まり返っていた前回とは異なり、周囲には多くの戦闘員が配置され、物々しい雰囲気をもたらしていた。 「ずいぶんと警戒が厳重だな? サキ、指揮衛星の探査データはどうだ?」 「相変わらずです。…

スーパー特撮大戦200X:第4話/シーン2

ようやくアミーゴにたどり着いた本郷たちを出迎えたのは、滝であった。 身構える本郷たちにきょとん、となる滝だったが、事情を把握しなるほどと頷いた。 「今度は大丈夫なんだろうな、滝?」 「ああ。俺も自分のニセモノが出るとは夢にも思わなかったぜ……」…

スーパー特撮大戦200X:第4話/シーン1

某市山中、巨大な廃工場に、本郷たちと滝の姿があった。 かつて高度成長期に全盛を迎えたらしいこの工場は、公害問題の矢面に立たされ、閉鎖の憂き目に遭ったのだという。 「滝、ここがショッカーの秘密基地か?」 「廃工場の跡地を利用か。連中らしいな」 …

スーパー特撮大戦200X:第4話/アバンタイトル

アミーゴの扉につけられたカウベルがけたたましく鳴り、客の来訪を告げる。 しかし、勢いよく扉を開いた男は、コーヒーを飲みに現れたわけではなかった。 「FBI中央部より緊急連絡が入ったぞ!」 そう告げる男が言うには、かねてよりFBIがマークしてい…

スーパー特撮大戦200X:第3.5話/シーン3

「蜘蛛男だと……ショッカーめ、怪人を再生させたのか?」 仮面ライダーの問いに答える事無く、蜘蛛男が再び戦闘員を呼び出す。 「うわっ、また沸いて出てきた!?」 「キリがないですよ、これじゃ!」 アマギとソガがウルトラガンを構えるが、残り弾数も尽き…

スーパー特撮大戦200X:第3.5話/シーン2

夜の街に、物々しい雰囲気が漂う。迷彩服を纏った男たちと、グレーの制服のウルトラ警備隊が合流し、ただでさえ涼しげな空気がさらに張り詰める。 警備班は、キタクラ以下カツベ、ヒラタ、オオムラ、ヤナギヤの計5名で構成されている。ウルトラ警備隊の面々…

スーパー特撮大戦200X:第3.5話/シーン1

日本にありながら、誰もその所在を知らない場所がある。 日本を……否、世界を、地球を守る者たち。地球防衛軍・TDF……その極東支部。 それは、富士山麓地下の秘密基地にあった。 「お呼びですか? 長官!」 「おお、キリヤマ隊長……。こんな時間に突然呼び出…

スーパー特撮大戦200X:第3.5話/アバンタイトル

日本にありながら、誰のその所在を知らない場所がある。 全ての影、全ての闇の奥の奥に住処を構える――秘密結社ショッカーの、その日本支部にて、あらたな大幹部が招聘された。 「服装が乱れているッ!」 空気を切る音のすぐあとに、強烈な破裂音。それが電撃…

スーパー特撮大戦200X:第3話/シーン3

「相手になる、チェスト!」 イツツバンバラと戦うイナズマン。強力な火炎放射をかいくぐり、ときに跳ね返し、さながら蝶のように軽やかに鮮やかな戦いを見せ付けた。 「エイジ、俺たちも行くぞ!」 思わず見とれていたエイジにタクマの声が飛ぶ。それに応え…

スーパー特撮大戦200X:第3話/シーン2

「……で、だ」 スナック・アミーゴ。 閉店後も煌々と明かりのつく店内は、ヒーローたちの待機場所だ。 「その渡五郎という青年と、新人類のイツツなんとかってのが戦ったってことだな?」 タクマの問いに、サキが首肯する。 「それで……お前は戦いもせずに逃げ…

スーパー特撮大戦200X:第3話/シーン1

エイジとラン。そしてタクマとサキがアミーゴに居候を始めて数週間。 戦いの傍らでアミーゴの手伝いを始めるランとサキは、常連客のアイドルになりつつあった。 一方、彼らの戦いに新たな勢力が介入を始めた。その名は<新人類帝国>。 帝王バンバを名乗る謎…

スーパー特撮大戦200X:第3話/アバンタイトル

アミーゴで待っていた本郷と立花は、エイジたちが連れてきた男女……タクマとサキに出会う。事情を知った本郷たちは、快く二人を迎え入れ、ここに二組目の居候が誕生することと相成った。 「いやぁ、しかしすごいもんだなぁ……こんな小さな店の旧式のパソコンで…

スーパー特撮大戦200X:第2話/シーン2

ギィ……と、金属同士が擦れ軋み、ハッチが重力に流されるまま開き落ちる。 地面にめり込んだハッチを乗り越え、二人の男女が外に出た。 「……どうやら、無事地球に降下したらしいな?」 長髪の男がふと空を仰ぎ見る。そろそろ深夜にさしかかろうかという夜空に…

スーパー特撮大戦200X:第2話/シーン1

――都内某所。 <Amigo>と名づけられたスナックの前に立った本郷は、一息に扉を開けたい衝動をぐっと抑えてゆっくりとカウベルを鳴らした。 未だ力をコントロールできない身では、ドアはおろか、蝶番ごと壁までひっぺがしてしまいそうだったからだ。 「…

スーパー特撮大戦200X:第2話/アバンタイトル

地球を狙う、数々の侵略者を抱える銀河系宇宙……その治安と平和維持を目的とした組織がある。 <銀河連邦警察>……バード星が中心となって結成させたこの組織は、超兵器を操る各星系に、担当任務官を派遣させていた。 その担当任務官……通称<宇宙刑事>と呼ば…

スーパー特撮大戦200X:第1話/シーン2

「……一足遅れのようですね?」 女の声が、噴煙の中で聞こえる。 彼女は……いや、彼女を含めた“3人”は、秘密基地然とした地下施設の中にいた。 それは、後に世界中に認知される<ショッカー>なる秘密結社の基地であるのだが、彼女たちにとって、それは必要な…

スーパー特撮大戦200X:第1話/シーン1

「『大学生モトクロスレーサー、失踪から一週間』……かぁ」 携帯電話の画面、表示されたニュース記事を眺めながら、少女が呟く。 「こらラン。ケータイいじってる場合かよ……」 その後ろを付いていく少年が、渋面を声色に乗せる。「で、この辺でいいのか?」と…

スーパー特撮大戦200X/プロローグ

――太陽系の最果てで1隻の艦(フネ)が消息を絶った。 <NO-0117-A/宇宙要塞艦NAAGER>と名づけられたその艦は、冥王星のさらに先に突如として出現した、太陽系の10番目の惑星を探査するべく、地球から送り込まれた最新鋭艦である。 10…