炎部さんちのアーカイブス あるいは永遠的日誌Ver.3

日々是モノカキの戯言・駄文の吹き溜まり

スーパー特撮大戦200X:第4話/シーン1


 某市山中、巨大な廃工場に、本郷たちと滝の姿があった。
 かつて高度成長期に全盛を迎えたらしいこの工場は、公害問題の矢面に立たされ、閉鎖の憂き目に遭ったのだという。

「滝、ここがショッカーの秘密基地か?」
「廃工場の跡地を利用か。連中らしいな」
「でも、なんか静かだね……?」

 ランが怪訝に眉根をひそめる。と、後ろにいた滝が不敵に哂いはじめた。

「フフフ……ハッハッハッ! ようこそ、我がショッカーへ!」
「何!?」

 突如豹変した友人を本郷が睨みつけ、ランをエイジとサキが庇う。

「まさか滝……お前は?」
「もう、こんな顔はご用済みだな!」

 滝がおもむろに顎に手を沿え、一気に“顔”を引き剥がす。同時に彼が来ていた衣装も脱ぎ捨てられ、その下から軍服姿の隻眼の男が現れた。

「貴様!?」
「改めて……自己紹介させていただこう! ショッカー日本支部に派遣された、元中近東支部長・ゾル大佐だ!」

 突然の大幹部の出現に、戦士たちに焦燥が走る。

「俺の名前を聞き、素顔を見たものは必ず死ぬ! さそり男よ、かかれぃッ!」

 ゾル大佐の鬨の声に、茂みからさそりを模した異形の人影が、戦闘員を伴って飛び出した。

「フフフ……本郷猛、そしてその仲間どもよ! 俺はお前らを負かすために造られた!」

 勝つために手段を選ばないと嘯くさそり男が、巨大な爪を振り上げ、溶解液を吐きかけた。

「剛力招来ッ!」

 いかなるものをも溶かす毒液を、サナギマンに変転した五郎が自らの身を挺して防ぐ。強靭な鋼の如きボディが、それによって少し焼け爛れたが、サナギマンにとっては大したダメージではない。

「みんな! 大丈夫か!?」
「ああ、すまん……助かった!」
「本郷、ここは一旦退くぞ。これは完全に罠だ!」

 タクマの提案にああと頷き、迫る戦闘員をなぎ倒す。「怪人は俺に任せろ!」とサナギマンがイナズマンへと転じ、今度は超能力で毒液の攻撃を跳ね返した。

「くっ……きりがないな……」

 次々に出現する戦闘員の人海戦術に、タクマが歯噛みする。せっかく罠にかけた敵を、そうそう容易には逃がさないとばかりに、倒れた端から新手が倍々に躍り出てくるのだ。

「タクマさん、俺がまとめて蹴散らします! 下がって!」

 エイジがヴォルテックスに変身し、胸部装甲を開く。丹田に力を込め、肺の中の空気を力いっぱい吐ききると同時に、彼の金色の目が、血の涙を流した。

「俺の中の“ヴォル”よ……叫べ!」

 “慟哭の雄叫び(ヴォルテックス・クライ)”とともに、展開した胸部の高エネルギー発振素子が活性化し、膨大な熱量が解き放たれる。小極太の超強力レーザーは、戦闘員の群れを木々ごと消し飛ばし、一筋の道を作り出した。

「今です!」
「解かった、チェスト!」

 イナズマンが触覚をフル回転させ、稲光を帯びた竜巻を放つ。強烈な風圧がさそり男を吹き飛ばし、その隙を縫ってヒーローたちが離脱する。

「ぬぅ、本郷猛め……この勝負、ひとまず預けたぞ!」

 シィッ、シィッ、と不気味な笑い声を残し、さそり男がそう言った。


   -つづく-




 さて、まずはマップAct1より。

 このマップ、最序盤ながら地味に難易度が高く、気を抜いているとマッハで全滅してしまうんですよね(汗
 なにせ味方3体。まぁそれはいいとしても、ザコ戦闘員……つまり、気力上げ要員がたった6体しか出てこない。

 この作品ではある意味スパロボ異常に気力上昇が必須で、気力が低ければ変身もできず、変身できても技が使えないというポンコツぶり。
 我らが本郷も、変身できるレベルの気力値まで上げても、格闘しか使えず、マップボスのさそり男に1ダメしか与えられない始末。
 しかもショッカー怪人は原則としてライダーを優先的に狙う上、気力を下げる攻撃を多用する敵ばかりといういやらしさ。
 戦っても戦っても気力上がらずHP削られて倒される……といったところです。
 序盤のゲームバランスにしては少々ヒドイ気が(汗
 さらに終盤になると、ザコ敵の出現率が更に下がり、変身に必要な気力値の確保すらおぼつかなくなる始末。
 この辺は、強化アイテム「ソウルタブ」「ソウルエフェクター」でどうにかなりますが……際序盤では手にはいらないアイテムなのでどの道今は関係なし。

 ちなみに、ライダーは改造人間なので、ユニット能力はスパロボよろしく改造(ゲーム中では「改良」)する必要があり、その手の攻撃対策で装甲値も上げられるんですが……
 これが半分くらい改良しても影響が微々たるもの過ぎてorz

 冗談抜きで、このマップにいないイナズマンの存在が恋しいですw

 とまぁ、そんな願望もコミコミのイナズマンの参戦でございますればw
 このゲームにスパロボみたく援護防御システムでもあれば、さらにお役立ちユニットになるんですがねぇ、イナズマン。分身するし逆転チェストするし。

 さてさて、あとがきばかりが高密度になりますが、オリジナルヒーローの解説も一応。

 今回エイジ=ヴォルテックスが披露した、「ヴォルテックス・クライ」。いわゆるマップ兵器の類であり、なかなかに強力ですが……
 有効攻撃範囲がマス5つ分。解かりやすく言えば十字型というひじょーに狭い範囲。
 まぁ、コレに限らず、劇中に登場するマップ兵器は全部そうなのですが(汗

 その性質上、発動時のセリフってのがなく、今回捏造してみました。
 よって、「俺の中の~」などという中二じみた発言も、「慟哭の雄叫び」と書いてヴォルテックス・クライと読ませるのも二次設定なので念のためw

 まぁ、超必殺の「ヴォルブレイド・ダークエッジ」で「闇の刃よ、切り裂け!」とか言っちゃうコなのでコレくらいは余裕かなと(ぇ