再びショッカーの秘密基地に近づいたエイジたちであったが、静まり返っていた前回とは異なり、周囲には多くの戦闘員が配置され、物々しい雰囲気をもたらしていた。
「ずいぶんと警戒が厳重だな? サキ、指揮衛星の探査データはどうだ?」
「相変わらずです。高いエネルギー反応を示しています」
「ふふーん。ゾル大佐って結構臆病なんじゃない? あたしたちが怖いんでしょ? きっと」
ずいぶんと自信満々なランに、本郷が苦笑する。
「相当な自信だな、ランちゃん?」
「へへへ……まぁ、あたしが戦うわけじゃないしね。レディを守るのは男のお仕事ってことで、おにーさんがた、がんばってちょーだい!」
「確かにそうだね。誰かさんと違って、レディを守るのは、男の役目だ。うん、誰かと違って」
エイジがそう言ってからかい、ランがいつもどおり「エイジの意地悪!」と返す。
「どっちもどっちだよ、お二人さん……おや?」
肩をすくめて二人をたしなめる五郎の背後で、バイクの音が近づき、停まった。跨る滝は、流石に本郷とバイクの腕を競っただけ合って、険しいオフロードでもものともしないライディングテクニックを見せて、本郷に声をかけた。
「本郷! 警戒が厳重で、正面からは無理だ!」
「やはりそうか。こっちもだ。よし、滝、ここは任せる。俺たちは……」
基地に突入しようとする本郷を滝が制し、いい考えがあると言う。
「本郷、みんな。奴らをひきつけてくれ。その隙に、俺が中に潜入する! ショッカーが何を企んでるのか、この俺が突き止めてやる!」
「待て、危険だ!」
「いや、俺にやらせてくれ!」
止めるタクマに、しかし滝は頑なに自分の言葉を曲げない。
それに、ソックリさんの借りも返さないとな!
とウィンクしてみせる滝に、本郷は何も言わなかった。
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「ようし……みんな、俺たちの役目は陽動だ! 派手に暴れて、滝の潜入を助けるんだ!」
「派手にって、どうやるの?」
ランの問いかけに、「そうだな……」とタクマ=ルシファードが右腕を高く掲げる。
「例えば、こんな風に……ッ!」
融機鋼のエネルギーを重力子に集め、必殺の<グラビティ・ナパーム>を放つ。
高火力の散弾の嵐が大地を抉り、ショッカーの戦闘員を吹き散らした。
基地に報告すべく駆け込む数体の戦闘員を確認し、ライダーが小さく頷いた。
「じゃ、私も派手に行くとしようか。Go! ライジンゴーッ!!」
「エイジくん、タクマ、俺たちも行くぞ!」
「怪我しても、あたしとサキさんがいるから大丈夫! おもっきりいっちゃえ!」
ライダーとともに、ヴォルテックスとルシファードが躍り出る。基地から続々と沸いてくる戦闘員を相手取り、戦士たちが乱戦に挑む。
「道場での乱取り、思い出すね。はあっ!」
大量の戦闘員を相手に、相手の体勢を崩し投げ飛ばすエイジが、ふと組み敷いた戦闘員に違和感を覚える。
「あれ? 新しい戦闘員か?」
それまでの赤いタイツにフェイスペイントの戦闘員に混じり、黒を貴重としたタイツに、フルフェイスのマスクを被った個体が混じりだした。
「スキャン完了。新型の戦闘員のようです。身体機能が今までのものより向上しています、気をつけて!」
「了解だ!」
ホルスターから引き抜いた二挺のハンドリニアガンを掃射し、戦闘員を撃ち倒したルシファードは、ふと滝が消えた基地のほうへと視線を向けた。
「……仮面ライダー!」
「どうした、ルシファード?」
「俺とファディータも潜入する。ここは任せるぞ!」
「何?」
理由を尋ねるライダーに、何か妙な気配を基地から感じるとルシファードは言う。
「滝のことも気になるしな?」
「解かった……俺のライバルを頼む!」
「おう、頼まれたぜ!」
相棒を伴って基地に飛び込んだルシファードを視界の端で見送り、ライダーは自らを倒すべく包囲する戦闘員どもに向けてファイティングポーズで応えた。
-つづく-
クロスオーバーを盛大にやりたい!! とばかりに、このマップでは出番すらないイナズマンを組み込んだり、バイオ系ヒーローとメタル系ヒーローが同居していたりと
現時点で6~7人くらいを同時に動かしている形になりますが……
やっぱきついなこれ(滝汗
大人数を動かすSSも過去にやっちゃいますが、これ二桁になったらもう無理だなw
という男がなんでクロスオーバーの大手ゲーをノベライズってんだよって話ですがw
さてさて。
ストーリー上はこのあと基地に単独潜入した滝が「ダイラカツヨシ作戦計画」の情報を掴み……と続くのですが、今回はそこにメタル系コンビが同行(後から)。
原典ではメタル系ストーリーでもこんな展開はないです。どんどん原典から離れてる気がするねw
さぁ次回はその滝&メタルコンビ、ショッカー基地潜入の巻。
ダイラカツヨシ作戦計画を阻止できるのか?
負けるな迫水、戦えタクマ! 着装せよ、融機鋼ルシファード!