ヒーローたちに案内され、ギャバンは彼らの本拠地たるアミーゴを訪れた。
新たな客に、マスターである立花はにこやかに応え、一杯のコーヒーをごちそうするのだった。
「……うん。俺はあんまりコーヒーに詳しいわけじゃないが、これはいいな」
「そりゃ嬉しいね。今後ともひいきにしておくれよ」
同じく戻ってきた本郷たちにもコーヒーを振る舞い、ひと時安息の空気が店内を包み込んだ。
「……さて」
しかし、いつまでもその状況は続けてはいられない。本郷がギャバンに向け口を開いた。
「君を信じないわけではないが、本当に彼と……タクマと戦ったのか?」
「ああ……」
本郷の問いにうなづいたギャバンは、本来はもっと早くに地球に来る予定であったと言う。
「しかし、地球に向かう途中の木星圏で、ヤツに……ルシファードに遭遇したんだ!」
「……」
ぎろりとタクマを睨みつけるギャバンに、しかしタクマは微動だにしない。
「君たちは知らんだろうが、ヤツは銀河連邦警察の指名手配犯なんだ」
「銀河連邦……警察?」
「ああ。俺が所属している、銀河中の治安と平和を守る組織のことだ。俺は地球地区担当として赴任することになっていてな」
話を戻そう。と呟いて、ギャバンが一口コーヒーを啜った。
「俺はルシファードを捕まえるために、宇宙空間でヤツと戦った! 長く厳しい戦いだった……だが、ヤツを捕まえることは適わず、俺のコンバットスーツも、宇宙船もひどいダメージを負ってしまった……」
その修理に時間がかかってしまい、ようやく最近になって地球に到着することができたのだという。
「しかし、指名手配って……いったい何をしたんだ、タクマ?」
「他惑星への侵略! そして破壊活動……」
問いかけたのは五郎だ。沈黙を続けるタクマに代わりギャバンが答える。
「つまり、ショッカーやマクーと同じことをしてきたんだ……こいつは!」
カウンターを拳で叩くギャバン。不意にシンと静まり返った店内に、サイフォンの水音がいやにはっきりと聞こえた。
「……本当なんですか、タクマさん?」
ややあって、聞き手に終始していたエイジが問う。タクマは、わずかな逡巡ののち、小さくうなづいた。
「彼の言うことに嘘はない。俺はかつて幾多の惑星に不幸をばらまいてきた……この手でな」
絞り出すように吐露するタクマの姿に、ギャバンは「やっと認めたか……」と言い放つ。
「迫水タクマ……いや、黒騎士ルシファード! ならびにパートナーのファディータ……お前たちを逮捕する。バード星で裁きを受けてもらおう」
立ち上がりタクマを促すギャバン。タクマの隣にいたサキがきゅっとタクマの手を握りしめた。
「気にするな、サキ。所詮はこうなる運命だった……」
それをやんわりと振りほどいて、タクマも立ち上がる。
「エイジ、本郷……それにみんな。確かに俺のしてきたことは残虐極まりない。だが、これだけは信じて欲しい。決してみんなを騙すつもりで近づいたわけじゃないってことを……」
「タクマ、さん……」
「俺はタクマと、こっちのお嬢さんをバード星に護送しなきゃならん。ライダー、イナズマン、そしてヴォルテックス! 地球のことは頼んだぜ!」
ウィンクひとつを残して、茶色のジャケットの背中が扉の向こうへと消えた。
スーパー特撮大戦200X/CRISES_OF_NAAGER
第6話:邪学者、そして闘姫
映像を見ながら書いてるスカルや、先日までのラッシュとちがって、ほぼほぼ台本読みながら書いてる状態のこちらは、前者に比べるとホントにラクです(
とはいえ、バイオ系主人公も同居している状態なので、その辺を忘れられない程度に組み込んでおくとかそういう気遣いもいるんですが(何
さて、今回のエピソードは直前話の5話終盤での選択肢で若干ストーリーが変わっている仕様になっています。
タクマがギャバンからの追及に応えると「邪学者」、応えずにライダーたちの元から去っていくと「闘姫」のシナリオへと移行。
今回は「邪学者」のシナリオをベースにしておりますが、一応同時に闘姫の方も出す予定。
個人的には「邪学者」の展開の方が好きなんですが、「闘姫」もなかなか深いイベントがあったいするので、こちらも何らかの形で復活させられるといいんだけどなぁ……などとなどと
地球を離れたギャバンとタクマたち。そんな中、ひそかに暗躍を始める影2つ……
彼らの目的は? ヒーローたちはその暗躍に気づき、阻止することができるのか?