炎部さんちのアーカイブス あるいは永遠的日誌Ver.3

日々是モノカキの戯言・駄文の吹き溜まり

スーパー特撮大戦200X:第4話/アバンタイトル


 アミーゴの扉につけられたカウベルがけたたましく鳴り、客の来訪を告げる。
 しかし、勢いよく扉を開いた男は、コーヒーを飲みに現れたわけではなかった。

FBI中央部より緊急連絡が入ったぞ!」

 そう告げる男が言うには、かねてよりFBIがマークしていたショッカーの最高指導者<ゾル大佐>なる人物が、ショッカーの中近東支部から日本支部に向かったらしい。

「十分に注意されたし……と言うわけだ!」

 男がそう言い切るが、初対面の男に一息にまくし立てられ、アミーゴにたむろする戦士たちはみな一様にあっけにとられてしまう。
 その中で、男の顔に見覚えがあるらしい本郷が声をかけた。

「滝……? お前、滝じゃないか! どうしたんだいったい?」
「おお、そうだったな? 猛、お前とは全日本モトクロス選手権で競った仲だったな?」

 奥でランと洗い物をしていた立花が戻りながらそう言うと、エイジたちが紹介を求めた。

「おう、すまんすまん。こいつは<滝和也>。さっき、猛とはモトクロス選手権で競ったとはいったが、本職はオートレーサーじゃなくてな……」
FBI捜査官の、滝和也だ。よろしくな!」

 立花の紹介を引き継ぎ、滝が握手を求め、それぞれがそれに応えた。

「ウルトラ警備隊のキリヤマ隊長の要請で、TDFへの出向ってカタチでこっちへ来たんだ」
「ワシらの新しい仲間ってことだな」
FBIの捜査官だったのか……。そいつは心強いな。滝、よろしく頼むぞ!」

 最後に本郷が握手を交わし、先ほど彼の口から出たゾル大佐なる人物について問う。

「これまで奴を追跡したFBIの腕っこきが、ずいぶんとやられた……。人々を洗脳する能力に長けていて、得意の変装術を含めた多彩な手段を投じる。指揮官としても豊かな才能を持ってるんだ」
「さすがに詳しいな? FBIともなるとそこまで調べあげるのか?」

 敵ながらあっぱれ、といわんばかりの滝の説明に、苦笑交じりに本郷が問う。滝は咳払いしながら、まぁなと応えた。

「しかし、ついに大幹部の登場というわけか……」
「そして、滅び行く……だよね? どんな敵が来たって平気だよ。あたしたちがいるもんね!」

 五郎の呟きにランが自信満々に笑みを浮かべると、滝は怪訝な視線を彼女に向ける。

「大した自信だな……」
「そうだよ。滝さんは知らないかもだけど、エイジもタクマさんも、もちろん本郷さんもすごいんだから!」
「フフフ……そいつはお楽しみだな」

 不敵に笑う滝に、「感じ悪ぅ……」とぼやき、ランがエイジにたしなめられる。

「タクマ!」

 と、事務所で情報収集に勤しんでいたサキが飛び込んできた。

「どうした、サキ?」
「指揮衛星の探査データから、異常に高いエネルギー反応を検出しました」

 耳慣れない単語に本郷がタクマに問う。指揮衛星は、地球の衛星軌道上に静止させた、タクマたちの所有物の一つで、融機鋼に必要なエネルギーを常時たくわえているほか、様々な探査器官を搭載したスーパーメカなのだ。

「指揮衛星を使えば、TDFの探査衛星にも察知できない熱や電磁パルスも感知することができます」
「それで、その指揮衛星ってのが何のエネルギー反応をキャッチしたんです?」

 エイジが聞くと、サキが端末から立体モニタを出現させる。

「日本全土のエネルギー消費と、熱量をスキャンした結果がこれです。……これ程のエネルギー量が検知されたのは……本郷さんの改造手術のとき以来です!」

 表示されたデータを見つめていたタクマが、口を開いた。
 
「本郷、それにエイジ。俺たちが君たちと出会えたのは、単なる偶然じゃあない。あの時も、同じように大量のエネルギー反応が出ていたんだ!」

 彼らは、そのエネルギー反応のあった地点をマーカー代わりに、地球に降下してきたのだという。

「タクマ……降下というより、あれは墜落に近い状況だったかと」

 サキの指摘に、咳払いでごまかすタクマである。

「と、とにかくだ! ショッカーが何かを企んでいることは間違いないだろう。ともかく、行ってみようぜ」

 タクマの提案に、皆が頷く。

「そういうことなら俺に任せろ。既にゾル大佐が潜伏している秘密基地の場所も把握済みだ。案内するぜ」

 滝の案内で、本郷たちは戦場へと赴くこととなった。




     スーパー特撮大戦200X/CRISES_OF_NAAGER 

     第4話:もうひとりの仮面ライダー





 ゾル大佐、滝、そして一文字と初登場組満載のストーリー。
 「仮面ライダー」の原作においては、彼は既に改造人間=仮面ライダーとなった状態で滝と本郷に接触しているため、このシナリオストーリーはオリジナルと言っていいでしょう。

 せっかくなので「新・仮面ライダーSPIRITS」の旧1号・2号編も参考にできたらいいなぁ。
 などとなどと。

 ところで。このシナリオ……前回(3話)で参戦したはずの渡五郎=イナズマンが出てこない。
 まぁ、逆に前回では本郷が出なかったのでそれはそれで。
 恐らくは原作キャラ+オリジナル組、という布陣で臨みたかったのかも知れませんが、それするとクロスオーバーの意味なくなっちゃわんかなぁ……とか。
 そんなわけで、こちらではちゃんと五郎も出しています。今のところセリフ1個だけですが(爆

 オリジナル勢と本郷・滝の会話はバイオ編・メタル編での内容をかなりコンパチっています。
 メタル系はサキさんのデータ収集・解析がいいギミックになってて助かりますねぇ。