炎部さんちのアーカイブス あるいは永遠的日誌Ver.3

日々是モノカキの戯言・駄文の吹き溜まり

スーパー特撮大戦200X:第5話/シーン2

 アミーゴ隊の面々が現場に到着すると、奇怪な風貌の怪人たちが破壊と略奪を繰り広げていた。

「フハハハハ……奪え、焼き尽くせ! ここをマクーの前線基地にするのだ!」
「マクーだって?」

 連中の発した単語に、タクマが眉根を寄せる。

「データ照合完了! <宇宙犯罪組織マクー>です!」
「やはりか! なら指揮をしているのは……」
「捕捉完了しています。獣星人ダブルマン。ゾンビ星人です!」

 タクマとサキの素早いやり取りに、仲間たちが目を丸くする。

「知ってるんですか、サキさん?」
「ええ。私たちは以前、宇宙にいましたから」
「奴らは、宇宙犯罪組織マクー!」

 獣星人ダブルマンをはじめとした凶悪な宇宙犯罪者を数多く擁する巨大な犯罪組織だという。

「ついに地球にまで侵攻を開始したのか……」
「宇宙からの侵略者なら、いよいよ俺たちの出番ってことだな。行こうぜみんなっ!」

 言うが早いか、一文字が改造を終えたばかりのサイクロンを駆る。強烈な体当たりを食らわせ、雑兵・クラッシャーを弾き飛ばした。
 本郷もそれに続き、クラッシャーどもを蹴散らしながら風圧をベルトに受け、その身を仮面ライダーのそれに変える。

 五郎、エイジ、そしてタクマとサキも姿を変え、戦士たちが次々と戦場に花を添えていくのだ。

「むぅ……何事だ?」

 雑兵を指揮していた獣星人が異変に気付く。手駒が次々に消えていくのだ。異変の先に視線を向けると、何やら奇妙な姿の……自分も大概ではあるが……連中が次々とクラッシャーたちを薙ぎ払っていくのが見えた。

「おのれ、邪魔立てする気だな? 出でよ、ベム怪獣シャコモンスターッ!!」

 ダブルマンが叫ぶと、空間が歪み、そこから巨大なシャコのようなモンスターが出現した。

「あ、エイジ、みんな!」
「新手か!」

 ランの指さす先に出現したモンスターを追いかけるライダーたち。と、その眼前がぐにゃり、とねじ曲がり始めた。

「むっ……これは!? いかん、みんな、その場から離脱しろ!」

 ルシファードが叫ぶ。しかし時すでに遅し。仲間たちがねじれた空間に巻き込まれてしまう。

「これは、空間変動兵器のたぐいか……!」
『ハッハッハッ……我がマクーは、地軸を操り、ブラックホールに似た<魔空空間>を作り出すことができるのだ!』
「その声は……マクーの幹部、ハンターキラーか!」

 魔空空間をスクリーン代わりに、ハンターキラーのヴィジョンが不敵に笑っている。

『ベム怪獣は、魔空空間の中では魔空エネルギーを得る! 数倍のパワーを持つことができるのだ!』
「いけません! タクマ、本郷さんたちは私たちのように空間同期フィールドを持ち合わせてはいません。このままではモンスターの的になってしまいます!」
「ああ、わかっている! 救出に向かうぞ、サキ!」

 サキの了解の返答を待たずして……待つ必要もなくマクー空間に飛び込もうとするタクマ……ルシファードの視界の端に、ふと人影が映る。こんなところに民間人か? と足を止めると、その民間人らしき男……薄茶色のジャケットを羽織った男は、強い怒りと使命感を秘めた瞳でマクーの連中を睨みつけた。

「マクーめッ、許さん!」

  ――蒸着ッ!!!


 男がそう叫んだかと思った次の瞬間、その体はメタリックシルバーに輝く装甲に包まれていた。

宇宙刑事……ギャバン!!」


  ――宇宙刑事ギャバンが、コンバットスーツを蒸着するタイムはわずか0.05秒に過ぎない。
    では、蒸着プロセスをもう一度見てみよう!

    宇宙刑事ギャバンの「蒸着!」という言葉がトリガーになり、地球衛星軌道上の亜空間内にに静止した超次元高速機ドルギランのメイン回路が起動する。特殊軽合金グラニウムが粒子状となって吹き付けられ、全身に文字通り“蒸着”されるのだ。
    

「マクー! 貴様らの勝手にはさせないぞ! 地球の平和は、この俺が守るッ!!」
「……宇宙刑事ギャバンだと!? 奴は……奴は生きていたのか?」

 遠目にもわかる銀色に煌くコンバットスーツのシルエットに、かつて激闘を繰り広げたタクマ=ルシファードは驚きを禁じ得ない。と、ギャバンもルシファードの存在に気づき、声を荒げた。

「……!? お前は、銀河連邦S級指名手配犯ルシファード! こんなところで……マクーを相手に何をしている!?」
「……悪いが取り込み中だ! 取り調べは後で受けるッ!」

 そう言い残して、ルシファードとファディータは展開した魔空空間の中へと飛び込んでいった。

「マクーもだが、お前たちも逃がしてはおけん! サイバリアーン!」

 ドルギランから、バイク型マシン・サイバリアンを呼び出し、それに飛び乗ったギャバンが一息に魔空空間へと突入する。

「どこに消えた……レーザー・スコープ!」

 ゴーグルに備わった強力な索敵機能で黒騎士を追う。しかし、レーダーにひっかかったのはマクーのモンスターの方が先であった。

「シュ~ッ、シュ~ッ!」
「むっ!?」

 飛び出してきたベム怪獣シャコモンスターが、背中の斑点から強烈なビームを浴びせてきた。

「バリヤーッ!」

 即座に障壁でかわし、跳び蹴りを見舞って蹴散らす。

宇宙刑事め……ッ! この魔空空間をキサマの墓場にしてやる!」

 次いでダブルマンが戦闘円盤を従え空爆ギャバンを潰しにかかる。レーザーの銃弾爆撃がギャバンを襲う。

「くっ……電子星獣ドルーっ!!!」

 衝撃にあおられ転がりながら、ギャバンは相棒たる蒼い機竜をを呼び出した。


   -つづく-



 ギャバン、ついに登場。
 バイオ編でもおおむね登場パターンは一緒ですが、ランが「宇宙刑事って……宇宙の刑事だよね?」などと相変わらずのアホの子っぷりを発揮しています(汗

 さて、魔空空間について。
 ゲーム中では、基本的に地上(空中・水中含む)が舞台となっているのですが、魔空空間、幻夢界、不思議時空の「異空間」と、たった1マップのみですが登場する「宇宙」が存在します。
 基本的にヒーローは地球上での活動が主であることからか、異空間や宇宙への行動適性を持たないものがほとんどですね。
 バイオ編でもエイジが「これじゃあ身動きが取れないぞ!」と発言しており、宇宙刑事とメタル主人公ズ以外は敵の攻撃に対してはほぼ無防備になってしまいます(防御や回避、また変身は可能)。
 終盤近くになると、これに対抗できる装備アイテムも登場しますが、そのころにはマクーもマドーもフーマも退場寸前だという(滝汗

 基本的にはギャバンシャリバンシャイダーの初登場エピにてイベントで発生するほか、一部マクーモンスター、ビースト、不思議獣がマップ兵器扱いとして異空間を発生させる能力を持っており、バイオ系ユニット等での戦いには気を付ける必要があります。

 テレビシリーズでは問答無用で各種異空間に巻き込まれるため、外側から見た描写がいまいちわかっていませんでしたが、近年「ゴーカイVSギャバン」で描写されるなどしていますね。おおむねあんな感じで街の真ん中にでーんとあるものと解釈していますw


 さてさて。ギャバンといえば忘れちゃいけないのがドルギラン、そして電子星獣ドル。

 悲しいことに、ゲーム中ではドルが出てくるのはメタル編プロローグでのあのシーンのみ。
 以降はドルギランは使用可能ですが、ドルが出て来ないのです。
 (どうやら、ルシファードとやりあった際に故障したらしく、修理後も復調しなかったらしいのですが……?)
 これに関してはおそらく、ゲームシステムの都合上だと思われます(爆
 ユニット分離の扱いがうまく行かなかったのかもしれません。

 今回はしっかりドルにも活躍の場を与えております。がんばれドル、超がんばれ。

 さて、魔空空間に閉じ込められたライダーたちの命運や如何に? そしてギャバンはマクーの攻勢に対し反撃を繰り出す!