炎部さんちのアーカイブス あるいは永遠的日誌Ver.3

日々是モノカキの戯言・駄文の吹き溜まり

スーパー特撮大戦200X:第3.5話/シーン3

「蜘蛛男だと……ショッカーめ、怪人を再生させたのか?」

 仮面ライダーの問いに答える事無く、蜘蛛男が再び戦闘員を呼び出す。

「うわっ、また沸いて出てきた!?」
「キリがないですよ、これじゃ!」

 アマギとソガがウルトラガンを構えるが、残り弾数も尽きかけている。もとより演習だったので、換えの弾薬も持ってきていないのだ。

「ここは俺に任せて、ウルトラ警備隊の皆さんは博士の安全を優先してください!」
「わかった。弾薬に余裕のある者は私と研究所内に残っているキタクラ君たちを救出。残りは本郷君の援護をしつつ、友里博士とともにこの場を離脱するんだ!」

 キリヤマは名乗り出たフルハシ、オオムラとともに研究所に向かう。志士たちが戦場を離れたのを確認して、本郷は改めてショッカーどもと対峙する。

「ホァッ、ホアッ、ホアッ……前回は不覚を取ったが、今度は貴様を葬るのは我々だ。いくぞ裏切り者、本郷猛よ……!」
「我々?」

 蜘蛛男の口調に違和感を感じたライダーが、背後に殺気を感じ飛び退く。間合いを取り直すと、夜闇の陰から新たな刺客が姿を見せた。

「貴様もショッカーの改造人間か……」
「ハハハ……ショッカーの蜂女とは私のこと!」

 女性特有の妖艶なシルエットに、蜂の意匠を混ぜた改造人間……蜂女が、レイピアを振りかざしその切っ先をライダーに向ける。

「本郷猛! この毒針の注射を受けよ! マヒさせて、お前を完全な改造人間にするのが楽しみなのだ!」
「そうはいかん。俺はショッカーを叩き潰すために生きている。貴様らの仲間になど、死んでもなるものか!」

 行くぞ! とライダーが二大改造人間に飛び掛る。蜘蛛男と蜂女の同時攻撃を受け止め、流し、連続の蹴りを二体に見舞う。激昂した蜂女のレイピアが槍衾が如く立て続けに突き出され、ライダーは後ろに飛び退いて事なきを得た。
 戦闘員ならいざ知らず、怪人二体が相手では少々分が悪い。仮面の奥で、本郷のこめかみに冷たい汗が一筋流れる。

「ハハハ……仮面ライダー、恐るるに足りぬ! 蜘蛛男、挟み撃ちにするよッ!」

 背後に蜘蛛男の気配を感じる。蜂女がレイピアを一息に突き立ててに来ると、本郷はCアイに全神経を集中させる。切っ先がライダーの胸に触れるか触れないかの刹那、本郷はバッタの脚力を以って全力で回避する。目標を見失ったレイピアは、まっすぐに本郷の背後にいた蜘蛛男に突き当たった。

「ウ、ウゥーッ!?」
「しまった!?」

 対改造人間用のマヒ毒が蜘蛛男の動きを阻害する。こうなれば本郷の、仮面ライダーの独壇場である。

「ライダーパーンチッ!!!」

 振り返りざまに強烈な鉄拳の一撃を見舞う。声帯ごと麻痺した蜘蛛男は、断末魔すら上げられず液状化して果てた。

「残るは貴様だ、蜂女ッ!」
「くっ……!」

 虎の子のレイピアは蜘蛛男に刺さったままライダーパンチの衝撃で砕けている。ここは退き時だと察した蜂女はライダーに背を向け撤退を試みた。

「そうは……いかないわッ!」

 機関銃の一斉射撃が蜂女の背中を撃つ。決定打にはならなかったが、羽の付け根に直撃した衝撃で飛び損ねた蜂女は大きく多々良を踏んだ。
「今です、仮面ライダー!」

 研究所から救出されたキタクラたちの支援に感謝代わりに頷いて、ライダーが跳ぶ。必殺のライダーキックを叩き込むのは、今だ!

「ライダー……キィィィィィック!!!」

 強烈な跳び蹴りが蜂女を破壊する。

「ギャ~ッ!!」

 絶叫とともに、蜂女の身体が融け落ちた。


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「ご苦労だったなキリヤマ隊長。それに、キタクラ班長!」

 TDF極東基地に戻った2チームを、ヤマオカ長官が労う。

「まさか演習中に敵に襲われるとは思いませんでしたよ。いや、驚きました」
「うむ。予想外であったが、友里博士が無事で何よりだったよ」

 マナベ参謀がそう言うと、友里博士も苦笑しながら頷いた。

「いやはや……これでは、本当に宇宙開発などに没頭しているヒマはなさそうですな。私も、及ばずながらお力になりましょう」

 友里博士はTDFのサポートの下、各研究所を利用し、彼らの防衛作戦に必要な物資や兵器開発に協力してくれることとなった。

「おおっ、そいつはスゴイですねぇ隊長。博士がいてくださるなら鬼に金棒ってやつですよ!」

 フルハシが手を叩いて喜ぶ。今後も各専門分野で活躍する人物たちを招きいれ、様々な兵器の開発に携わってもらう予定とのことだ。

「キリヤマ隊長、キタクラ班長……これからも、しっかり頼むぞ!」

 ヤマオカ長官の激励に、ふたりのリーダーが敬礼とともに応えた。


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 ――変身し、悪と戦うだけがヒーローではない。
 ウルトラ警備隊、そして、地球防衛軍警備班の面々もまた、その胸のうちに正義を宿し、戦うものたちなのだ。
 彼らは今日も戦う。それが、明日につながると信じて。


   -次回に続……


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「ふん、蜘蛛男も蜂女も倒されたか……まぁいい。再生怪人の有用性はある程度把握した。せいぜい今後とも使わせてもらうとしよう」

 闇の底で、ゾル大佐の声が低く響く。

『しかし、やはり仮面ライダーを倒すには絶対的な力が足りん……。ゾル大佐よ、どのような手で仮面ライダーどもを始末する?』
「その対策は……もう考えております」

 ゾル大佐が手の中で電撃鞭を遊ばせながら、レリーフ越しに首領に伝える。

仮面ライダー……確かに恐るべき力を秘めた強敵ではあります。ですが首領、お忘れではありませんか?」
『何のことだ、ゾル大佐?』
「あの本郷猛を、仮面ライダー……改造人間にしたのは、我々ショッカーだということを、です」

 もう、お解かりですな? とゾル大佐がほくそ笑む。

仮面ライダーを造り上げた我々なら……同じく、“もうひとりの仮面ライダー”を造れる」

 ――そう。

 脳改造を免れ、反旗を翻した本郷とは違い、ショッカーに忠誠を誓う冷酷なる改造人間として……

『実に興味深い計画だ……。ゾル大佐よ、急ぎ新たな改造人間<仮面ライダー>を作り、仮面ライダーどもを始末するのだ!』

 含み笑いを浮かべるゾル大佐が、闇の底に消えた。


   -次回に続く-





 施設の制圧が可能な、いわゆる緑ユニットは、ウルトラ警備隊・今回の警備班のほか、科学特捜隊、MATが該当します。

 ちなみに、これらのチームの所属者であれば、ウルトラマンに変身するハヤタ隊員、モロボシ・ダン、郷秀樹の3人も変身前は緑ユニット扱いであり、施設制圧が可能となっています。

 さてさて。
 友里博士は、シナリオ上今後出番はないのですが、強化パーツの開発者としてインターミッションの「開発」コマンドに名を連ねることになります。
 とはいっても序盤も序盤。開発できるのは「HP回復キット」のみというちょっと寂しい感じですが(汗

 この博士ラインナップ。有名どころは大体抑えており、キカイダー光明寺博士(娘のミツ子さんも!)、ユシマダイオードでおなじみ湯島博士やライトンR30爆弾を開発したドロシー・アンダーソンもいます。

 また、条件を満たす必要がありますが、科特隊のイデ隊員やライダーマンこと結城丈二も博士になったり(しかも終盤に加入なだけあってものっそつおい兵器開発できます)。



 さぁ、話は本編に戻ります。
 中近東支部からやってきたゾル大佐は、新たな作戦を仕掛ける。

 仮面ライダーを倒せるのは仮面ライダーのみ!

 仮面ライダーよ、新たな助っ人とともに、ゾル大佐の野望を打ち砕くのだ!

 次回「もうひとりの仮面ライダー」に、超力招来!