炎部さんちのアーカイブス あるいは永遠的日誌Ver.3

日々是モノカキの戯言・駄文の吹き溜まり

スーパー特撮大戦200X:第6話/シーン2

 巨大戦闘機……アプファロン曰く<ケルバーン>と銘打たれたそれは、その圧倒的な火力で駆けつけた警備班の航空戦力、地上戦力を蹂躙していく。

ジャイアントロボ、出動っ!」

 避難する人々に紛れ、一人の少年の声が凛と響く。それに呼応するかのように空が一瞬暗くなる。巨大なロボットのシルエットが、太陽を覆い隠したのだ。
 巨大ロボ……そう、ジャイアントロボの雄姿が、大地に降り立った。

「見たことのない戦闘機だ……BF団の新型かな? ともかく、街を破壊するなら倒さないと!」

 ユニコーン機関の制服に身を包んだ少年……エージェント・U7こと草間大作が、腕時計型コントローラーでロボに攻撃命令を飛ばす。ロボの指先から放たれたミサイルが、戦闘機を数機、まとめて撃破した。

「大作くん!」
「あ、ライダー! それにアミーゴ隊の皆さん!」

 新たに駆けつけた仮面ライダーたちが、大作と合流する。

「あれが通報にあった戦闘機か……くそっ、地上からじゃあ俺たちは手が出しにくいぜ……」

 一文字が悔しそうに拳を握った。

 ・
 ・
 ・

『むぅっ、あれは仮面ライダー!』
イナズマンも現われおったか……』

 駆けつけてきたヒーローたちの姿を見つけ、悪の重鎮たちが渋面になる。

「ふむ……彼らが、あなた方のジャマをする者たちですね」
「では、もう一つ我々の兵器をご紹介いたしましょう……<ギガント>!」

 今度はアテファリナが手にした鞭をぴしゃりと鳴らす。と、どこからともなく無骨なロボット兵団が出現し、一斉にヒーローたちの元へと向かっていった。

『ほう、歩兵戦力まで持っているか……さすがだな』
『うむ、あの戦闘機も圧倒的とまでは言わんが、あのジャイアントロボと互角に渡り合っておる……気に入ったぞ』

 戦場を埋め尽くすナガーの戦力に、いつしか死神博士もバンバも感心を寄せていた。

『アプファロン、それにアテファリナよ……貴様らの望みはなんだ?』
『よもや無償で我らに手を貸す……というつもりでもあるまい?』

 両者の視線が容赦なくナガーの二人を射抜く。しかし二人はその眼光をやんわりと受け止め、穏やかに返した。

「このたびは、偉大なるショッカーと新人類帝国にお目通りかなえていただいただけでも光栄の極み……」
「よって、これらの兵器……そして以前データをお渡しいたしましたクローニング装置も含め……お近づきのしるしとして、無償にて進呈いたす所存にございます」
『何、褒美は要らんと申すか?』
『ふん……にわかに信じられん話だが……まあ良いだろう、バンバー!』

 一瞬訝しげに二人を見やる死神博士たちであったが、これ以上の追及も無粋と口を閉ざす。

『さて、それでは儂らは高みの見物とさせてもらおう。ケルバーン、ギガントを以て見事ライダーどもを蹴散らせてみせよ』
「これは願ったりでございますな。我々も彼らとは一度手合せ願おうと思っておりましたので……」
『よろしい……では吉報を待っておるぞ……』

 死神博士とバンバの姿か掻き消える。跪くべき相手が視界から消えたと同時に立ち上がるアプファロンとアテファリナは、それぞれ地表と大空に群なす自身の配下に、ただ一言告げた。

  ――往け。

 ・
 ・
 ・

「うおっ、何だコイツ等はっ!?」

 一方、ライダーたちは突如出現したロボット軍団に驚きを隠せずにいた。

「ショッカーの改造人間とも、新人類とも違う……マクー……いや、未知の敵か!?」
「こーいうとき、サキさんの解析能力が便利だったんだけどなぁ……」
「いない人のことを言っても仕方がない。とにかくランはさがって! 大作君をフォローするんだ!」

 上空を占拠する戦闘機群を相手取れるのはジャイアントロボしかいない。そしてそのジャイアントロボを操作するのはエージェントとはいえまだ年端もいかぬ少年であった。必然、敵のターゲッティングも彼に絞られがちになる。

「ライダー、ヴォルテックス! 私もライジンゴーで上空の援護に回る!」

 言うが早いかイナズマンが相棒たる万能車を呼び出して飛び乗る。翼を開いたライジンゴーがボンネットを変形させた大口で戦闘機をかみ砕いて見せた。

「やるねぇ、イナズマン! じゃあ俺たちはこっちのロボット相手に頑張りましょうか! お前らまとめてスクラップにしてやる!」

 2号ライダーが無機質なカメラアイを睨みつけて突撃する。改造された肉体がもたらすパワーを如何なく発揮し、次々に撃破していくのだ。
 それに続き、1号とヴォルテックスもロボット兵士を叩き潰す。

「ショッカーの戦闘員よりは強いかな……変身してればいいけど、流石に生身だとてこずりそうだ」
「……うーん……」
「どうした、ラン?」

 大作少年を守りながら怪訝に眉根をひそめるランに、ヴォルテックスが合流して話しかける。

「あのロボット……あと、戦闘機も……なんか、タクマさんたちに雰囲気が似てるっていうか……」
「はあ? 冗談だろ?」
「冗談でこんなこと言わないよ! 多分だけど……ルシファードやファディータのアーマーと同じものが使われてるのかも……」

 ランの目は不安そうに、しかしはっきりとしっかりと事実のみを伝えてくる。嘘を言っていないことを察したヴォルテックス……エイジは、眼前で繰り広げられる戦いの渦に視線を戻した。

「ってことは……あれがギャバンさんの言ってた……ナガー?」
「――ほう、我々の情報を既に得ているとは……あの宇宙刑事か」

 背中に浴びせられた声に、一瞬全身が凍りつく。張り付いた緊張を引き剥がしながら振り向くと、そこには二人の男女の姿があった。

「……っいつの間に!?」

 ランと大作をかばいながら前に立つヴォルテックスであったが、見ただけで二人の脅威に気づき、恐怖が精神を苛む。生身であったならば一瞬で全身汗だくになっていただろう。 

「やれやれ……宇宙刑事ひとり葬れんとは、あの愚弟も焼きが回ったか?」
「見つけたら再教育が必要ね?」

 そんな状況を知ってか知らずか、攻撃を仕掛けるでもなくのんびりと会話を交わす奇怪な姿の男女に、ヴォルテックスの本能が全力での逃走を促す。しかし、それを上回る恐怖が、彼の足を地に張り付けて動かさない。

(……あの二人も、タクマさんたちに雰囲気が似てる……けど)

 そんな中、ランの超感覚が二人とタクマたちの共通点をおぼろげながらも感じ取っていた。

(けど、なんでだろう……サキさんはどっちかっていうと……)


(あっちのロボットたちの方が、似てる気がする……?)

 視界の端にギガントたちを見やりながら、ランが芽生えた違和感と共感にひとり背筋を震わせた。


   -つづく-




 オリジナルエピなのをいいことに諸々いじりたおしております。

 だ が 私 は 謝 ら な い(言うと思った

 まずギガント。
 オリジナル勢におけるザコ敵枠。当然それほど強くありませんが、ザコ敵枠ではトップクラスのスペックです。戦闘員とかファントム兵士とか物の数じゃねえ。
 実際の初登場はもうちっと後なのですが、等身大枠の活躍が薄れるので登用。
 ゲーム版では戦闘員とファントム兵士がライダーたちの相手をしています。いくら戦闘員がいるからってギガント売り込まないのも違和感あるかなーとおもっての採用。
 どんどこ原作から離れていってますが、まあきにしない(

 一方、ランがギガントやケルバーンに抱いた違和感と共感について。
 こちらは次のシーンで詳細が明らかになります。
 もともとこのシナリオはメタル系専用シナリオなので、本来彼らは登場する由もなかったんですが、ランがいるならと巡らせつつ。
 サキがいないので解析ができない部分の穴埋め、ともいえますが。あれはデータに基づくもので、こっちはかなりふんわりしてますけどねw

 さて、ナガーの2大幹部が地球で大暴れ。
 しかしてそれを察知しない我らがルシファードではない!

 だが、彼は現在ギャバンの手によってバード星へと護送中の身……

 起死回生の一手は、彼とギャバンに託されているのか。それとも……?