ブーストを待てずオーディションに挑むせっかちなプロデューサーさんですよ(何
以前同じコトやって大敗したってのにね。
…まぁ、あれは特別オーデだったってのもあるんだけど。
39週目…2.5万3枠「発掘!アイドル大辞典」をセレクト…合格
40週目…3万2枠「LOVE LOVE LIVE」をセレクト…合格
特に苦戦したわけでもなく(まぁ善永さん居たし)2連勝でBにランクアップ。
随分余裕を持って終われたなぁとも思いつつ、射程圏内にいるAランクを目指すか否かをわりとホンキで悩む(ぇ
「はるか1/16」:ランクB/活動0週(通算40週・リミット16週)/獲得済み特別オーディション:ルーキーズ・TOP×TOP・LONGTIME/ファン数:70万3374人(残り29万6626人)/順位:6119位(最高6119位)
―――かしゅ、と小気味いい音をたててプルタブが軋む。
ふわりと漂う香りをかみ締めながら、俺は缶コーヒーを口に含んだ。
「…ふぅっ」
溜息を一つついて、夜空を見上げる。
あいも変わらず、都会の星は数が少ない。
そういえば、春香は地方に住んでるんだっけ。星はどれだけ見えるだろう…
などと、考えているときだった。
「プロデューサーさ~~~~ん」
「?」
聞き覚えのある声がして、俺は目を凝らす。と、春香がこちらへ向かって駆けてきているのがぼんやりと見えた。程なくして近づき、その輪郭もはっきりしてくる。
「プロデューサーさ…うわっととととぉ!!?」
「っぶな!」
もう少しで俺の元に到達できる…まさにその手前で春香は盛大にバランスを崩す。俺は飲みかけの缶コーヒーを放り投げて抱きとめる。
「…あ、あはは……ナイスキャッチです、プロデューサーさん」
「…間一髪」
あーもー。心臓が止まるかと思ったぞ。
「…で、こんな時間にどうした?」
「あ、そうでした」
そう言って春香はぱたぱたと体を埃を払うかのようにはたき、指で軽く前髪を梳いた。
「えー、っと」
妙に改まって気をつけの体勢になる。
「ありがとう、ございますっ!」
ぴょこんっと、お辞儀をする。髪に留まったリボンが可愛らしく揺れた。
「え?」
突然お礼を言われて、ちょっと戸惑う。
「ほら…私、アイドルランク、アップしたじゃないですか」
そう、今夜のアイドルランク報告で、春香のソロユニット「はるか1/16」がBにランクアップしたのだ。
「やっと、トップアイドル、って言われる世界に入ったってコトですよね?」
「ん、そうだね」
「プロデューサーさんのおかげですっ。プロデューサーさんがいたから、私、ここまでがんばってこれました! …だから、本当に、ありがとうございます!」
そう言って、再び深々とお辞儀する春香。
「…俺だけの力じゃないさ。春香の頑張りがあったからこそ、ここまで来れたんだし」
ペーペーの新米どころか、ドシロウトに毛が生えた程度のプロデューサーでしかないこの俺が、ここまで春香を導くことが出来たのは、彼女の力に他ならない。
「…でも…」
「だから、俺たち二人の力で、今の人気を勝ち得たんだ」
「あ……」
そっと春香の頭に手を乗せ、軽く撫ぜる。
「お互い、新人の新米で、切磋琢磨しあって進んできたんだ。どっちが凄いってんじゃない」
そう、強いて言うなれば。
「どっちも凄いんだってことで」
「…うふふ、そうですね♪」
春香が、大輪の向日葵のような笑みを浮かべた。
「さて、ここからが正念場だぞ。トップアイドルと言ったって、まだその最下層だ。もっともっと人気を上げて、本当のトップアイドルを目指さないとな。…改めて、一緒に頑張ろう。春香」
「…はいっ☆」
俺が差し出した手を、春香は力いっぱい握り返し、俺たちは固い握手を交わした。
「…ところで春香。電車、大丈夫なのか?」
「あ、いっけない! 次逃したら終電しかありませんよ!」
「何!? しょーがない。駅まで送ってくから、早く車に乗って!!」
…久々にSS書いてみたり。