炎部さんちのアーカイブス あるいは永遠的日誌Ver.3

日々是モノカキの戯言・駄文の吹き溜まり

【ディケイドSS】-スーパーノヴァ♯僕こそキング-【キバ編】

 街…いや、“世界”の中心に、堂々と立ち聳える、グレートワイバーン天守閣。

 その名を、<キャッスルドラン>。

 この“世界”を治める王の居城として知られるそこは、普段から人々の間で目印や待ち合わせ場所として、生活の一部に溶け込んでいる。
 そんな場所が、今日はものすごい熱気に包まれていた。

 キャッスルドランを中心に、黒山の人だかり。人類、そして、共存する異種族・ファナギアが、共に、喜びでこの日を迎えているのだ。


 新たなキング! ワタル王! 万歳!


 そう、今日は……ファンガイアの新たなキングを襲名する、ワタルの即位式なのだ。


「お~っ、ここまで声が聞こえてくるぜぇ。な、ワタル!」
 軽快にキバットバットIII世が声をかけるが、当のワタルは玉座の上に体育座りでうずくまっていた。
「おーい、なにやってんだよ。こんなイイ日に」
 まさか今更王になるのやだー、ってんじゃねえだろうなァ?
 と、ワタルがふるふると首を横に振る。
「……ちょっと、緊張してるだけ。…そろそろ時間だろ? 行こう……」
 おっかなびっくり、という感じでワタルが立ち上がり、それでもしっかりと歩き始めた。



   仮面ライダーディケイド/A.R.WORLD STORY
   EPISODE:KIVA-スーパーノヴァ♯僕こそキング-



「……うわぁ」
 キャッスルドランの頭部に設けられた舞台から下を見下ろす。人が、ファンガイアが、自分を見つめているのがわかった。
「…ほら、いっちょビシっと挨拶決めてやんな!」
 キバットの言葉に頷き、深呼吸をひとつする。

「………えぇ、と」
 が、最初の言葉が出てこない。


「…………」

 口を閉ざしてしまった若き王に、人々が注目し、ワタルはますます緊張してしまう。

「……こ、こんにちわ」

 なにか言わなきゃ、と思った矢先に口がすべり、なんとも形容しがたい空気になる。



「がんばれー、王様ー!」


 誰かの声がする。それに呼応するかのように、応援の声が穏やかな波のように広がっていった。
「……」
「まったく、いいやつらだぜ、この世界の連中はよ」
 キバットが口笛を吹いた。


「…………みなさん」

 意を決して、ワタルが口を開く。その声に、ざわめきがぴたりと止み、人々はワタルの声を一語一句漏らさぬよう、耳を傾ける。

「僕は……この“世界”の王を継ぎます」
 おおっ、とどよめく人。

「…ですが!」
 と、言葉が途切れ、再びざわめきの波が収まる。

「…見ての通り、僕はまだ子供です。だから、間違えるかもしれない。迷うかもしれない」

 だから……

「僕が間違ったら、叱って欲しい。迷っていたら、正して欲しい」

 しん、と静まり返る世界。

「…僕は少しでも、みなさんの力になりたいと思っています。でも、僕の力はまだ小さいから……みなさんの力を、借して欲しいんです!」

 僕の力に……なってもらえませんか?



「……ああ! 力になるぜ!」
 頼もしい声が響いた。それに続き、人から、ファンガイアから、多くの声が届く。

 ―――王様のためになれるなら、いくらだって!
 ―――いっしょに、この“世界”を良くしていこう!

「……みなさん……」
 ワタルの目頭が、知らず熱くなる。


「…今! 改めて、僕は宣言する!」

 ワタルの凛とした声が響く。

「僕は! 王に! なります!!!」

 わっ、と歓声が沸いた。

「王の証をここに!」
 キバットの声に、ガルル、バッシャー、ドッガの三人が一つの小さな箱を重そうに運び、ワタルのもとに届ける。蓋を開けると、その中には一振りの剣。
 <キバの鎧>と対を成す王の証、<魔皇剣ザンバットソード>だ。

「さ、王よ」
「剣を!」
「お取りください」

 三人が口々に言う。ワタルが頷き、ザンバットソードを持ち上げて高々と掲げて見せた。途端に湧き上がる群衆。

「よおっし、もいっちょカッコつけどきだぜ、ワタル!」
「うんっ。いくよ、キバットタツロット!」

「おっしゃぁ、キバっていくぜっ! ガブッ!!」
「びゅんびゅ~ん! テンション、フォルテッシモ!」

 腰と右腕の止まり木に、それぞれキバットタツロットが止まる。

「変身!!」

 魔皇力が解き放たれ、金色の鎧を纏った王が降臨するのだ。

 ―――King Of Vampire

 かの者、名をKIVA。



 <輝ける黄金のキング>仮面ライダーキバ



  -fin-


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 キャッチコピーを<かみつき王>にするか悩んだのはナイショだ!(ぇ
 そんなわけで、キバ編でございます。

 劇中ではやらなかった「即位式」をフィーチャー。
 調子に乗ってエンペラーフォームまで出しちゃいましたw

 彼が王なら、存外我々の世界より平和な日々が過ごせそうですねぃ。
 …などと。


 さて、そろそろ燃えネタばっかり書くのも息切れだな…
 萌えに目を向けるか(何