炎部さんちのアーカイブス あるいは永遠的日誌Ver.3

日々是モノカキの戯言・駄文の吹き溜まり

【ディケイドSS】-Believe yourself-【アギト編】

「須藤マコト、本日付で岡山県警より出向、未確認生命体対策班に配属になりました!よろしくお願いしますッ!」

 若々しく元気な声が響く。
 五部刈りの体育会系の雰囲気をもちながら、その笑顔はさわやかな印象を与えた。

「ええ、よろしくね。私は…」

 同じく自己紹介を済ませる八代淘子が、早速G3-Xの装着テストを促す。

「はいっ!」

 既にある程度の身体能力テストは済ませており、その結果は上々であったらしい。
 マコトは気合を入れて装着ブースに足を運んだ。



   仮面ライダーディケイド/A.R.WORLD STORYS
   EPISODE:AGITΩ-Believe yourself-



「…なかなかね。あなたほどの逸材が県警でくすぶっていたなんて、私の見落としだったわ」
「いや、それは褒めすぎですよ…」
 恐縮です、といってマコトが照れ笑いを浮かべた。

「もともと、香川県警にいる先輩からやってみないかって言われて。それまで、自分の管轄のことで頭いっぱいで、G3システムのことなんかまったく知らなかったんですけどね」
 遠くを見ながらつぶやく。
「実を言うと僕、子供の頃は“正義の味方”になりたくて。……なんか、夢叶っちゃいましたね」
「あのねぇ、遊びじゃないのよ」
 たしなめる淘子に、ええ、とうなづく。
「もちろんです。警察の本分である、人々を守ること。そのために尽力しますよ」
「お願いね」

 ロッカールームに到着した二人が、ふと視線を同じ方向に向ける。

「あ…」

 とあるロッカーのネームプレートに「芦川」の名前がはめ込まれていた。

「ええと、この人って確か…」
 G3ユニットに配属されるにあたって、資料を読んでいたマコトが呟く。

「ええ、G3-Xの前身、G3の装着員候補だった人物よ。今は離れているけど……変わらず、私たちの“仲間”」
 しっかりとした口調で“仲間”と語る淘子の横顔は、じっと芦川のロッカーを見つめていた。

(…ショウイチ)

 ふとしたことで、一度は離れてしまった淘子と芦川ショウイチは、ふらりと通りすがった、二人の男によって、また引き合わされた。

 しかし、なおも離れようとするショウイチに、彼らは彼らなりの言葉を贈り……

 ショウイチは、また戻ってきてくれた。

 もう彼は、G3ではないけれど。


 この<世界>を守る、<仮面ライダー>の一人だ。



 と、唐突に鳴り響いたサイレンが二人の耳朶を打つ。

  -未確認生命体、ならびにアンノウン出現! G3ユニットに出動要請!! 繰り返す…-

「……来たわね。それじゃマコトくん、到着早々悪いけど…」
「いえ、がんばります!」

 はじかれるように敬礼をして、マコトはバイク…<ガードチェイサー>が待つ格納庫へと走った。


   *


 現場に到着したマコトが目撃したのは、互いに戦いあう未確認生命体…グロンギと、アンノウンの群れであった。
 やがて、アンノウンの苛烈な攻撃がグロンギを根こそぎ粉砕し、その場には数対のアンノウンが残る。

「…あれが、アンノウン……」

 実際に見るのは初めてだ。マコトの体が、知らず緊張で固まった。

「……あんたが、新しい装着員か?」
 ふと、背後から声をかけられる。振り返ると、あごひげを蓄えた青年の姿。

「あなたは……芦川…さん?」

 なぜここに…と問おうとしたマコトをさえぎり、アンノウンをあごでしゃくる。

「話は後だ。まずはこいつらを倒す。…それが<俺たち>のやるべきことだろう?」
「あ…は、はい!」

 G3-Xをまとうマコトの傍らに立ち、ショウイチが腹に気合をこめる。
 すると、丹田に光が宿り、腰にベルト上のものが現れた。

「そ…それは…」

「変身!」

 ショウイチの叫びとともに、その姿が変わる。


 その力。原初にして末裔。
 アルファにして、オメガ。




 ―――<覚醒せし魂>仮面ライダーアギト



「いくぞ!」
「はい!」

 明確な敵意をこちらに向けるアンノウンの群れに、二人のライダーが立ち向かった。



   -了-



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 しばらくぶりのディケイドシリーズです。
 今回はアギト編。

 劇中では「もう必要ない」とか言われてましたが、やっぱり必要なのでG3-Xは出てきますw
 装着員として登場したキャラはしょーがなく(?)のオリキャラですね。一応原典ありきのネーミングにはしていますが。

 ちなみに、岡山県警からの出向にしているのは、オリジンの氷川誠が香川県警から来ていることへのオマージュ。
 べっ、べつに自分の出身地アピールしたかったわけじゃないんだからねっ(ツン

 さて、クウガ編を除けば、残るはBLACK&RX編とアマゾン編ですか。

 そうなんどもんども寄稿に頼っていられないので、がんばりますw