【ウルトラSS】ULTIMATE FORCE TETRALOGY・Episode:MIRROR-KNIGHT【ゼロ THE MOVIE】
首筋に、貫かれ抉られるような激痛。
全身を駆け巡る、熱く赤黒い、何か。
背後から、禍々しい声がする。
“俺の下僕になれ……!”
視界が、全てが、真っ赤に、真っ黒に染まる――
「……っは!?」
漏れでた息が、ゆがんだ気泡となって上へとのぼっていく。
ああ、夢か――あの時の。
ふと手のひらに視線が行く。
指先には鋭い爪が伸び、その色はくすんだ……自分の身体に闇を溶かし込んだような色だ。
「なんて……醜いんだ……」
絶望と悲しみが、私の……<ミラーナイト>の心を苛んだ。
ULTIMATE FORCE TETRALOGY
Episode:MIRROR-KNIGHT/閉ざす魂と開く名前
悪の道へと誘惑する、自身の中の闇の力……<カイザーベリアル>の意思を振り切り、やっとの思いで、故郷たる<鏡の星>へと帰った私は、その魂を封印すべく、水底に自らの身体を沈めた。
「はぁ……はぁっ……」
荒い呼吸を整えると、自分の中の闇の鼓動が落ち着くのがわかった。
しかし、油断はできない。
早く、早く、自分を封じなければ……!
「だが、その前に……」
確かめなければ。
私がベリアルに攻撃を受ける直前に、惑星エスメラルダに展開したバリアを。
意識を、私が残した力の痕跡へと……私の母のふるさとの星へと向ける。
エスメラルダ……王宮とその周辺を護るべく広げたバリアは、まだその力を維持できていた。
しかし、ベリアル軍の旗艦による圧力は強く、どれだけ保つかは……
「ぐっ……」
意識を自分から遠ざけすぎた……! ベリアルの闇が私の心を襲う。
“ゼロ……ゼロ……!”
赤黒い声が、何かを叫ぶ。
何かの……誰かの名前だろうか?
その言葉を唱える声は、恐ろしいまでの憎しみで満ちているのがわかる。
ベリアルにとって、忌むべきモノであろうか?
そして、ひょっとしたら、それは……
「ゼロ……ぐあっ!」
呟く。闇の鼓動が強まり、私の息を詰まらせる。
ゼロ……それが“何か”ではなく、“誰か”であるなら……
「この闇を……」
この闇を打ち払う、“光”であれ――
-fin-
ウルティメイトフォース・テトラロジー第2弾は、最終決戦でのベリアルに向けたドヤ顔に定評のあるミラーナイトさんです(ぇ
前作と違って、コレと言って絡めるキャラがいなかったので、かんぜんにミラーナイト独り言状態w
いや、二次元の民と絡ませればよかったんですが。たぶん二言三言会話したら即ダイブして体育座り直行だと思いましたんでw
さて、次回は鋼の巨人ジャンボット編を予定。
現時点ではコレも独り言状態になってしまうんですよねぇ……まぁ、そもそもモノローグ形式で書いてる以上さもありなんっちゃそうなんですけども。