※注意※
この作品には、オリジナルビデオ「ウルトラマンゼロ外伝/キラーザビートスター」に関するネタバレが多少含まれています。
ネタバレを是としない方は、原典をご視聴の上、読んでいただくことをお勧めいたします。
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>start up……
>arms links……ok
>legs links……ok
>artificial intelligence system links……ok
>wepon control system……all green
>wake up
“意識”というものに覚醒した刹那、私が“見た”ものは、0と1の奔流。
それが落ち着くと、メインコンピュータにリンクした頭部メインカメラが、影を捉えた。
「目覚めたようだな……」
――目覚めた? 私が?
「そうだ」
まるで有機生命体のような表現をする“それ”は、がらんどうのような顔をみせてそう言った。
「不服なようだな。有機生命体への敵意は十二分に備えているようだ……」
低く笑う。と、目の前の者の情報を、自分のコンピューターの中から見つけ出せた。
固体名:ビートスター
天球ビートスターのマスターコンピュータにして、天球の端末……すなわち、天球自身。
「お前は、私が造り上げた最高傑作だ」
――最高、傑作?
それらを組み合わせて生まれた、宇宙最強にして無二のロボット。
ビートスターは、それが私だと言うのか。
「その通りだ。お前の使命は……」
―-有機生命体の、抹殺。
「そう。全ての宇宙に、有機生命体の存在はあってはならないのだ」
ビートスターが空を仰ぎ見る。表情のないロボットであるはずの彼の、そのがらんどうの頭部は、何を映し出しているのか、それを知るすべは、今の私にはない。
――む?
「どうした?」
不意に、視界の端のサブモニターに見覚えのない映像データが映し出された。
宇宙人や、怪獣との戦闘データのようだ。
「……なるほど。お前の人工知能はジャンボットのものをコピーしている。おそらくはジャンボットの“記憶”であろう。戦闘データは役に立つ。残しておくがいい」
――了解。
「だが。戦闘データのみを残し、残りは須らく消せ」
――何故だ?
言い放つ言葉の中に、聞きなれない単語を見つける。
「ジャンキラーとは、お前の名だ。お前の人工知能と、ボディのベースとなったジャンボットから採用したのだ」
なるほど。
ジャンキラーを、私の固体名として登録する。
「さぁ、戦闘データ以外の全てを消去し、然る後に天球内に進入した異分子を排除せよ。そこの……ジャンボットとともに!」
いつの間にか、ビートスターの傍らにはジャンボットの姿があった。その目を、赤く濁らせ、たたずむ姿は、畏怖を抱き、同時に微妙な違和感を覚えた。
あの映像データを閲覧したからだろうか?
「有機生命体の……抹殺」
ジャンボットが無機質に呟く。手に巨大な斧<バトルアックス>を握り、天球の月から飛び降りて言った。
――有機生命体の、抹殺。
「有機生命体の、抹殺」
次いで私の声が響き、ビートスターの声が月を震わせた。その言葉が生み出す空気の振動が、私の人工知能を、僅かにわななかせたが、私はそれを無視した。
「ジャンキラー……!」
ビートスターが私の名を呼ぶ。それは、出撃の合図と同義。
全身のエネルギーを高鳴らせ、私は月を飛び出す。
視界を、破壊の赤に染めて。
ULTIMATE FORCE TETRALOGY
Episode:JEAN-NINE/キラーの目覚め
テトラロジーのトリを飾るのは、キラーザビートスターで鮮烈デビューを果たした9番目の勇者・ジャンナイン!
……文中では一貫してキラー呼ばわりですがw
いやだってSTAGE1のあのシーンの直前だもん時間軸的にはw(ぇ
というわけで、ジャンナインの誕生秘話的なエピソードを書かせていただきました。
実際、ジャンボットが囚われてからジャンナインがロールアウトするまでの期間って大体6日くらいらしいですが(本編でのエメラナ姫の発言より)、すでにジャンボット以外のロボットのデータがそろっていたとはいえこの短期間で建造できるあたり、パネェさすがビートスターパネェ。
……まぁ、キングジョーやらインペライザーやらを量産できる設備がある時点で当たり前だーというツッコミがありますねそうですねw
今後のナインの活躍にはものっそい期待したいところなんですが、たぶんサーガには出てこないんだろうなぁ……次の外伝待ちか。