炎部さんちのアーカイブス あるいは永遠的日誌Ver.3

日々是モノカキの戯言・駄文の吹き溜まり

【SS】高槻やよい誕生日記念!【書いたぜ!】

「はいっ、765プロダクションの音無です。…え?あ、はい。少々お待ちくださいね? …プロデューサーさーん」

「…はい?」

「お電話です。『やよいお姉ちゃんのプロデューサーさんに代わってください』って」

「…お電話変わりました。高槻やよいの担当プロデューサーの穂村です。
 …はい。あ、もしかしてやよいの…? …うん、あ、いや今お姉ちゃんは雑誌の取材中だよ? 伝えることがあるなら僕から伝えるけど…。ん、そうじゃない? うん…うん、ははぁ、なるほどね。…よし、なんとかしてみるよ。うん。じゃ、また後で」

 電話を切って、僕はスケジュールに目を通す。うん、今の状況なら多少いじればどうにかなるはずだ。

「電話、何だったんですか?」
「うん? ああ、そうだ。小鳥さんと…あと社長にも協力してもらわないと」
「は?」
 合点のいかない顔で、小鳥さんが首をかしげた。





    Yayoi's Birthday short story

    桜舞う空の下で





 ―――3月25日。快晴。
 事務所にいつもの元気な声がこだまする。
「おはよーございまーす、プロデューサー!」
「ん。おはよう、やよい」
 と、いつもと様子の違う雰囲気に気付いたのか、やよいがきょろきょろと辺りを見回す」
「あの、プロデューサー。今日はなんか、人少ない気がするんですけど?」
「ああ、みんな外にいるからね」
「???」
 首をかしげるやよいに、僕は今日の活動内容を発表することにする。
「今日は外出だ、では出発!」
「え?え? どこへですかぁ?」
「それは着いてのお楽しみってことで」
 やよいの背中を押しながら、僕は事務所を後にした。

  * * *


 ビルの外へ出る。もう春本番といっても過言じゃないほどの陽気が体を包み込み、冬の間中凍えて縮こまった体を優しくほぐしてゆく。
 ここ数日の気温の上昇が、例年より早い桜の開花を促し、いたるところで花びらが舞っている。

「んーっ、いい天気だな」
 軽く体を反らしながら呟くと、やよいも大きく頷く。
「はいっ。私、今の季節ってだーいすきです♪」
「そうみたいだな。うきうきしてる」
 鼻歌交じりにスキップするやよいをみているとこっちも楽しくなってくる。
「…さて、あそこだ」
 僕が指差す方向に、やよいは背伸びをして遠くを見るしぐさをする。
「公園…ですか?」
 こじんまりとした公園だ。事務所の近くにあって、よく亜美と真美が遊んでいる場所である。
「ああ、みんな待ってる。急ごう」
「みんな?」
 ハテナマークのやよいの手を引いて公園へ歩を進める。


「…あ、来た来た! やよいーっ、プロデューサーさーん!」

 春香の声が公園から届く。

「あれ? 春香さんに…みんな?」
 満開の桜の下、大きなレジャーシートに、765プロの面々が勢ぞろいしている。
「今日、何かありましたっけ?」
「やよい…それ本気で言ってる?」
 相変わらず合点のいってないやよいに、伊織が呆れたように言った。
「高槻さん、今日はあなたの誕生日でしょう?」
 千早がそう言うと、やよいはようやく気付いたようで、
「え…じゃ、じゃあこれって…?」
「ええそうよ、やよいちゃん。あなたの、誕生パーティーなの~」
 ニコニコ顔のあずささんが続けて、やよいの顔がぱぁっと明るくなった。
「ほ…ほんとですかっ!? うっう~、すっごくうれしいです!」
「実はね、今回のパーティを企画したのは…この子たちなんだ」
 ほら、と僕が促すと、桜の蔭から小さな女の子と男の子が姿を見せた。
「かすみ、コウジ…?」
「このコたち、やよいの妹と弟なんだね~。おねーちゃんの為に楽しい誕生パーティを開いてあげたいって、いい子達かも♪」
 美希が二人のちびっこの頭をなでながら微笑む。
「えへへ、自慢の家族ですからっ。…ありがとね、かすみ、コウジ」
 大切な兄弟に、やよいは心からの感謝と笑顔を向ける。
「彼らのリクエストに応えて、僕が企画したんだ。どうせなら765プロ総出で祝おうってことにしてさ」
「スケジュール調整、大変だったんですからね。まったくもう、考え無しに決めるからですよ、プロデューサー」
「いやいや。その節は助かったよ、律子」
 ふくれっ面で呟く律子に頭を下げる。とたんにどっ、と笑いがはじけた。
「まぁまぁ律子。プロデューサーだってやよいの為に頑張ろうとしたんだから、いいじゃないか」
 真がフォローする。
「それに、やよいっちのときにこんだけのコトしたんだから、亜美たちの番も楽しみになるしね~」
「んっふっふ~♪ 期待してるよ、兄(c)☆」
「あ、あははは…善処するよ」
 亜美真美の期待に満ち溢れた瞳に、僕は苦笑交じりにそれだけ言った。


「さ、いつまでも立ち話もなんだ。そろそろパーティを始めるとしようじゃないか」
 社長の鶴の一声で、僕たちはレジャーシートに腰を下ろす。
「今日の為に、おいしい宇治茶を用意したんですよ~」
 いつになく上機嫌な雪歩が面々にお茶を注いで回る。未成年者が大半を占めるということで、今回はもちろんノンアルコールだ。

 …この事実を知った社長が小一時間何やら呟いていたが、それはまぁ別の話ということで。

「それじゃ、乾杯の音頭の代わりに…」
 小鳥さんの言葉を合図に、かすみちゃんとコウジくんが立ち上がる。一度の深呼吸の後、小さな唇からメロディがこぼれ出した。



   ♪―――Happy Birthday to you.
      ―――Happy Birthday to you.
       ―――Happy Birthday dear …やよいおねーちゃん……



 最後はみんなで声をそろえて。


          ―――Happy Birthday to you…♪



「ほら。やよい、火消して」
 目の前に用意された特製ケーキに灯されたロウソクを、やよいの吐息が消して―――


『おめでとーっ、やよい!!!』
 
 たくさんの声と拍手に、そして舞い散る桜の花びらに包まれ、やよいは照れたようにはにかんだ笑みを浮かべた。




「うっうーっ! みんなありがとう! …だーい好き!!!」


----------------------------------------------

 あとがき

あとがきとか

今回もどうにか間に合いましたw
なんと、当日の0:00にUPるという偉業も達成♪
これは前回ミスったのでうれしい限りでw

いままで伊織、千早とプロデューサーと1対1での誕生日イベントを演出してきた俺ですが、やよいはちょっと二人きりというシチュエーションが思いつかなかったのでパーティ形式に。
花見を兼ねたパーティにしたのは(って劇中で言及がねぇ・汗)2chの家庭用アイマススレの住人さんからアイデアを頂きました。改めてありがとう御座いました。


さて、来月は春香…って近ぇ!4月3日ぢゃねえか!

…えと、えと、えとと……
ぐわー、ネタが枯渇してきやがった!