炎部さんちのアーカイブス あるいは永遠的日誌Ver.3

日々是モノカキの戯言・駄文の吹き溜まり

EP:01/シーン06

「なんてこと…っ」
 モニター越しに展開される現実に、サクラコは愕然とした。
 突如として現れた怪獣。そしてそれに立ち向かうD.R.A.G.O.N.のファイターチーム。
 市街地へ入らないように、怪獣を誘導しながら戦う彼らだったが、慣れない空中戦に、苦戦の色がありありと見えて取れた。
「あっ…一機被弾。パイロット脱出しました!」
 チアキの報告どおり、溶岩弾を浴び、飛行機としての機能を失った期待からパラシュートが飛び出していった。
「あーもー、言わんこっちゃ無いっ! みんな、出るわよっ!」
「…無理です。総監にブリーフィングルームのロックをかけられたままです。こちらから空けることは出来ません」
 飛び出そうとしたサクラコを、淡々と、しかしどこか悔しそうにサヨが制した。
「…ったく!」
 握り拳をデスクにたたきつけ、憤るサクラコ。
「せめてこっちからシステムをハッキングできれば…」
 手元のキーボードをいじりながらチアキが呟く。
「それも無理ね。内部のシステムも総監が掌握しているでしょうから、外部からのアクセスでも無い限り…」
「それよ!!!」
 サヨの言葉をさえぎってサクラコが叫ぶ。ポケットから携帯電話を取り出し、ダイヤルする。
「今日非番のコで、そーいうの得意なのがいたじゃない?」
 1コールののち、繋がる。
「あ、ミィちゃん? 急ぎでこっち来て欲しいんだけど…」
『もう来てまーす』
 明るい声が、携帯のスピーカーと扉越しに響いた。
「あら、さっすが! じゃ、早速お願いね。そっち、アイちゃんとマイちゃんは?」
『『わたしたちもいますよー!』』
 再びスピーカーと扉越しに、良く似た声がダブって聞こえた。
「OK。じゃ、ロック解除したらすぐ準備して。…D.R.A.G.O.N.を援護するわよ。いいわね!」
「…今更止めても聞かないでしょう、貴女は?」
 やっていることは、組織としては決して許されることではない。サヨはそれを重々承知している。
 無論、サクラコたちもそうだろう。
 …だが、理屈ではないのだ。
 助けられる命があるのなら、全力で助けたい。
 だから自分たちは、ここにいるのだから。
「私も同行します。異論は認めませんよ?」
「うんっ、サヨちゃんが一緒なら百人力!」
 笑顔で頷くサクラコに、サヨも笑顔で応えた。
「ロック、解除されました!」
 チアキの言葉とともに、扉の向こうから3人の少女が飛び出す。髪型こそ違うが、よく似た顔立ちは、彼女たちが三つ子であることを示していた。
「よっし、これで全員…あれ? あのコは?」
「先に現場に行っちゃってます。止めたんですけど…」
 アイの答えに、サクラコが苦笑する。
「あのコらしいわね。…じゃ、あたしたちも行くわよ。持てる能力、持てる装備の全てを使って、人の命を守る! …A.N.G.E.L. SALLY GO!!!」

『A・I・G!!!』

 サクラコの号令に、乙女たちの声が凛と響いた。



  -つづく-


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 今日という日に(2/29)、小説を書くというのも悪くない(何

 出撃の号令と、それに応える返事は「ウルトラマンメビウス」をオマージュ。つか、まんま。
 つーかこの引き方、スパークでもやったな(汗

 …でも、キニシナイ!(しろよ


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 ↑web拍手です。 男なら誰かの為に強くなれ!(何