「な、なんなんだよ美羽。いきなり俺をこんなトコまで連れてきやがって」
様々な洋服が舞踏会のように並ぶ店内で、走輔が居心地悪そうにきょろきょろと辺りを見回す。
時々連れて行かれる、美羽の行きつけのブティックとはまた別の店だ。
そして店員達の自分を見る目が痛い。
様々な洋服が舞踏会のように並ぶ店内で、走輔が居心地悪そうにきょろきょろと辺りを見回す。
時々連れて行かれる、美羽の行きつけのブティックとはまた別の店だ。
そして店員達の自分を見る目が痛い。
それもそのはず、先日走輔が【ガイアクア】を浴び、悪人と化した際に着ていた服はこの店で強奪したものだったからだ。
「えーと、これとこれと…あとこれだったわよね」
走輔の問いかけに、美羽は答えることなくてきぱきと衣装を引っ張り出していく。
何度か彼の私服を見立てた事があるだけあって、その動作には淀みが無い。
走輔の問いかけに、美羽は答えることなくてきぱきと衣装を引っ張り出していく。
何度か彼の私服を見立てた事があるだけあって、その動作には淀みが無い。
…もっとも、当の走輔はその私服を使うことは滅多に無いのだが。
「じゃ、これお願いしますね。カードで」
上から下まで揃った衣装を、何の躊躇もなくカードと共に差し出す美羽。
店員のやや引きつった笑顔が、なんとも言えなかった。
上から下まで揃った衣装を、何の躊躇もなくカードと共に差し出す美羽。
店員のやや引きつった笑顔が、なんとも言えなかった。
「…ってお前、この格好…」
ムリヤリ試着室に押し込まれた走輔が着替えた自分の姿を一瞥し苦い表情を浮かべる。
「うんうん、ばっちり似合ってる!」
そう美羽が太鼓判を押すのは、悪人Ver.の走輔が着ていた白スーツだ。
「あらためて着るとなんかアレだな。売れねえホストみたいだぞ」
「そんなことない! カッコイイ!」
珍しく語気を強めて力説する美羽に、走輔、少したじろぐ。
「そ……そうか?」
なにやら妙だが、褒められて悪い気はしない。
照れ隠しに頬をかく走輔であった。
ムリヤリ試着室に押し込まれた走輔が着替えた自分の姿を一瞥し苦い表情を浮かべる。
「うんうん、ばっちり似合ってる!」
そう美羽が太鼓判を押すのは、悪人Ver.の走輔が着ていた白スーツだ。
「あらためて着るとなんかアレだな。売れねえホストみたいだぞ」
「そんなことない! カッコイイ!」
珍しく語気を強めて力説する美羽に、走輔、少したじろぐ。
「そ……そうか?」
なにやら妙だが、褒められて悪い気はしない。
照れ隠しに頬をかく走輔であった。
*
メガネだけはカンベンしてくれと説得する走輔に、美羽はしぶしぶ応じたが、代わりにと言って、喫茶店や他のブティックなどに連れ回していった。
「……なんか、これじゃまるっきりデートってヤツだな」
呟く走輔。
しかし、楽しそうに歩く美羽の姿を見ていると……
「……なんか、これじゃまるっきりデートってヤツだな」
呟く走輔。
しかし、楽しそうに歩く美羽の姿を見ていると……
「ま、それもいっか」
随分と自然に、その言葉がこぼれた。
*
やがて日も暮れ、真っ赤な夕陽が少しずつ水平線の向こうへと飲み込まれていく。
このあたりでは恰好のデートスポットになっている臨海公園では、穏やかな時間を過ごすカップルの姿があちらこちらに見られた。
夜の帳がゆっくりと降りていくさなか、マリンブリッジがイルミネーションの点灯をはじめ、幻想的な風景を編み上げていく。
このあたりでは恰好のデートスポットになっている臨海公園では、穏やかな時間を過ごすカップルの姿があちらこちらに見られた。
夜の帳がゆっくりと降りていくさなか、マリンブリッジがイルミネーションの点灯をはじめ、幻想的な風景を編み上げていく。
早輝あたりが見たら「ロマンチック~」なんていって感激するんだろうな。
そう思いながら海を眺めていた走輔の眼前に、不意に美羽の手が突きつけられた。
そう思いながら海を眺めていた走輔の眼前に、不意に美羽の手が突きつけられた。
否、正確にはその手の中にある、指輪だ。
「なんだこれ?」
「……もう忘れちゃってるの?」
美羽が、ちょっと怒ったように…拗ねたように、呟く。
「……もう忘れちゃってるの?」
美羽が、ちょっと怒ったように…拗ねたように、呟く。
「これ、あのとき走輔が私にプレゼントしてくれた指輪よ」
「…ああ。って、あれ? あのときの品物、全部返したはずだよな?」
「…ああ。って、あれ? あのときの品物、全部返したはずだよな?」
実は、美羽がこれだけこっそり買い戻していたのだが、そんな事実を走輔は知る由も無い。
「細かいことは気にしないの。それより……はい」
もう一度突きつける。思わずそれを受け止める走輔。
「なんだよ?」
「もう一回、私にプレゼントして」
もう一度突きつける。思わずそれを受け止める走輔。
「なんだよ?」
「もう一回、私にプレゼントして」
「……はあ?」
「いいからっ」
合点のいかない走輔に、いらだつ美羽。
「いいからっ」
合点のいかない走輔に、いらだつ美羽。
「わかったよ。……じゃあ、ほれ」
ひょい、と握らされた指輪を突っ返す。と、美羽の表情はますます不機嫌になる。
「あのねぇ…もうちょっと気の利いた渡し方とか考えなさいよ!」
「気の利いた、ねぇ…」
もとよりレース一筋、ヒーロー一筋で生きてきた男である。女性の扱いに慣れていないのは、早輝への接し方でも瞭然だ。
ひょい、と握らされた指輪を突っ返す。と、美羽の表情はますます不機嫌になる。
「あのねぇ…もうちょっと気の利いた渡し方とか考えなさいよ!」
「気の利いた、ねぇ…」
もとよりレース一筋、ヒーロー一筋で生きてきた男である。女性の扱いに慣れていないのは、早輝への接し方でも瞭然だ。
「はぁ、やっぱり走輔にロマンチックさを期待するだけ間違いだったかなぁ…」
「なんだと?! ……なら、これでどうだ!」
美羽の一言にカチンときた走輔が、美羽の腕を引っ張り、その指にリングを嵌める。
「…あっ」
リングは吸い込まれるように収まり…
「なんだと?! ……なら、これでどうだ!」
美羽の一言にカチンときた走輔が、美羽の腕を引っ張り、その指にリングを嵌める。
「…あっ」
リングは吸い込まれるように収まり…
「…………」
「どーだ! 俺だってこんくらいは…って、どうした美羽?」
「どーだ! 俺だってこんくらいは…って、どうした美羽?」
「…ぁ」
俯いた美羽の顔を覗きこむ走輔。とたんに美羽の顔が真っ赤に染まり…
俯いた美羽の顔を覗きこむ走輔。とたんに美羽の顔が真っ赤に染まり…
「そ、走輔のバカぁ!!!」
ドンっ、と走輔を突き飛ばし、猛烈な勢いで走り去っていった。
「…なんだぁ、美羽のヤツ……?」
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GP-26「恋愛カンケイ」といい、先週放送のGP-30「友情ノパンチ」といい、美羽×走輔フラグが着実に立っています。
いい傾向ですw(ぉ
いい傾向ですw(ぉ
とはいえ、オトメゴコロにはトコトンまでドンカンな走輔(まぁ、いくらなんでも今作のようなのはいきすぎかもですが)。今後の展開や如何に。
そしてアホの一つ覚えのように指輪ネタを使いまくる俺。
いくらなんでも走輔だって左手の薬指の意味くらい……………
いくらなんでも走輔だって左手の薬指の意味くらい……………
知ってるよな? 走輔?(蝶不安