炎部さんちのアーカイブス あるいは永遠的日誌Ver.3

日々是モノカキの戯言・駄文の吹き溜まり

【掌編】カッコ☆かわいくネ?【こなた@桜藤祭】

 北風が肌を突き刺す。寒さが身に染みる、という表現を体感しながら、俺は底抜けの青空に向けてほわっと白い息を吐く。

 こんな日だってのに体育の授業は外だ。…いや体育館でやったって寒いものは寒いのだが。

 ちなみに今日の授業内容はサッカー。男女に別れて試合形式といたってシンプル。

 ジャージのポケットに手を突っ込んだまま、俺は隣のフィールドの女子達を眺める。目線が追う先は、言わずもがな恋人の姿。

「こなたー、がんばれー!」

 北風に立ち向かうように走る彼女を応援すると、それに気付いてキラッ☆と超時空シンデレラポーズ。

「かがみんっ、こっちにパスパスっ!」
 ドリブル中のかがみさんに声をかける。彼女は「しょーがないわね」と苦笑しながらこなたに向けてボールを蹴る。

「あっ、蹴り上げちゃった」
 転がすつもりで蹴ったはずのボールは弧を描きこなたのもとへ。

「へっへーん、絶好球だぜかがみん。……いっくよーっ!」
 言うが早いか、こなたの足が地を蹴り、その小柄な身体がふわりと宙を舞う。
 …って、そのフォームは、まさか!!?

「そおりゃぁぁぁぁぁっ!」

 ―――オーバーヘッドキック!


 おお、と男子勢からも歓声。

 …ん? でも待て。なんかボールの軌跡がヤバい方へ…

「ってこっち来てるのかy」
 語尾が顔面に激突したサッカーボールによりかき消され、同時に意識がブラックアウトした。



   カッコ☆かわいくネ?




 ―――気付くと、見知らぬ…いやいや、保健室の天井。
「…あ、気がついた?」
 声にふと視線を向けると、傍らに心配そうな表情を浮かべるこなた。
「ええと…俺…たしか体育の授業中に…」
「うん、私が蹴ったボールが顔面直撃したの。…ほんとにごめんね」
 ぺこり、とアホ毛を揺らし、こなたが頭を下げた。
「気にしないでよ。ボーっとしてた俺もアレだったし」
 まさかピンポイントに俺んとこ向かってくるとは思っても見なかったしね。
「にしてもオーバーヘッドとかできるんだな。すごいよ」
「カッコだけね。蹴れるけどボールどっか飛んでっちゃうもん」
 …おいおい、そんな未知数奥義を使ったのかよ。

「ん……。ゆーくん、応援してくれたでしょ? だから、それに応えたくって。…かっこいいとこ、見て欲しいって思って。……それで、ね」

 申し訳無さそうに、照れくさそうに、こなたがそう言う。

「…そっか」

 ああもう、可愛いなこいつめ。

「ちょっと背伸びしすぎたかな……」
「いいじゃん。背伸びだって」

 俺だってこなたに期待されたら、それに応えたいって思う。
 だって俺はこなたが好きだから。

 こなたが背伸びしたのは、つまりそーいうこと。
 こなたが好きって想ってくれてる、俺のため。

「かっこよくて、可愛い。それがこなただ」
「ちょ、さらっとナチュラルにそーいうこと言わないでよ。……照れるからっ」

 おう、照れろ照れろ。
 顔真っ赤にして恥ずかしがるこなたの顔は可愛くて大好きだ。

「…あ、オデコ真っ赤になってる」
「ん?」
 どれどれ…と、鏡が無いからわからない。試しに触ってみるとじわりとした痛み。
「っつ~」
「あ、触っちゃダメだよ。こーいうときは…」
 と言いつつ顔を近づけるこなた。

 ―――いたいのいたいの とんでけ~っ

 小声でそう呟いて、ぺろっとひとなめ。

「!?」
「ん、これでおk」

 てへへ、と笑って。
 俺は死ぬほど恥ずかしくてこなたを直視できず。

 やがてチャイムが鳴り響く。 
「あ、ほら。次の授業始まるよ。…行こ?」
「お…おぅ」
 差し出された手を掴み、俺はベッドを後にした。



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 ネタの大元は6巻のキャラ紹介ページ(?)より。
 しかしコントロールはできないとはいえ、オーバーヘッド撃てるってどんだけ身体能力高いんだこの女子高生(爆

 さて、そういえば今月はゆーちゃんの誕生日もあるんだよなァ…

 時期的にかなりヤバイ日付なんだけど(滝汗

 次のオフまでに構想練っとかないと…