前回に続き、マイミクのシムテックさんよりディケイドSSの作品を寄稿していただきました。
しかも今回は、当方が執筆を完全に投げ出していた「電王編」の後日談!
目の付け所がシャープでしょ?…じゃなくて。
しかも今回は、当方が執筆を完全に投げ出していた「電王編」の後日談!
目の付け所がシャープでしょ?…じゃなくて。
目の付け所が素晴しすぎて脱帽どころか脱毛も禁じえません(禁じろ
いよいよ持って負けられない方です。
こんな感じで切磋琢磨していきたいなァ…と常々思いました。
こんな感じで切磋琢磨していきたいなァ…と常々思いました。
さて、そろそろ殿から「前置きが長い」と突っ込まれそうなので……
どぞ!
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「ぐぉおおおおおぉぉぉ、ぐぉおおおおおおぉぉぉぉ」
「う~ん……やっぱりこっちか? でもこっちもなかなか……」
場所はデンライナー食堂車。
そのメモ紙に書かれているのは……
「センパイ、何考えこんでるの?」
青いイマジン、ウラタロスがいぶかしげに聞いてくる。
目もくれずに答えるモモ。
「ああ? 名前考えてんだよ、な・ま・え」
「名前? 名前って……」
何の? と聞こうとして、すぐに思い当たる。
「ってセンパイ! それはセンパイの考えることじゃないでしょ?」
あきれた声を出すウラ。
「第一、それを決めるのは……」
言葉を継ぐウラを黙らせるようにモモはテーブルをダン!!と両手で叩くと立ち上がって叫んだ。
「ばかやろう!! 『それを決める奴』のセンスが壊滅的にオカシイのを忘れたか!?」
そして担架をきるようにテーブルに片足を乗せる。
「ここはこの類い希なるセンスを持つ俺が一肌脱いでだな……」
一人、悦に入るモモ。
が、向かいのテーブルでシャボン玉を飛ばしていたリュウタロスが独り言のように言う。
「名前なんてどーだっていいじゃん」
「何だとてめぇ!」
怒りに燃えるモモがリュウタの目の前に人差し指を突きつける。
「いいか!! 名前ってのはなぁ! 名前ってのは……すんげー大切なんだよ!!」
モモの脳裏に、ある男の顔が浮かぶ。
一度失った「名前」を拾ってくれた男の顔が……
人の記憶とイメージを依り代として「実体」をなす存在、イマジン。
その後、紆余曲折あって4人は良太郎のイメージから独立し、自らの記憶を積み重ねる事により本当の意味での「実体」を得た。
そしてモモ達は良太郎やその仲間達と共に、新たに記憶と時間を紡ぎ始めたのだが……
ある時、モモは時間を守る戦いの中で「名前」を失った。
記憶やイメージといった「情報」の集合体であるイマジンにとって、その情報の最たるものである「名前」を失う事は存在の消失に等しい。
事実、モモはその時、実体を維持できなくなった。
自分が自分でなくなる。
その絶望の淵で闇雲に戦っていたモモの前に「あいつ」は現れた。
「通りすがり」だというその男は、フラっと現れ、モモが無くした名前をあっさり拾い、無造作に投げ返すとまたフラっと去っていった。
あいつは一体何者だったのか?
今となっては知る由もない。
ただ、モモはその時、心の中でそいつと「契約」した。
二度とこの名前を手放さないと。
そう……イマジンにとって「契約」は絶対なのだ…。
「ちょっと!!この指どけてよ!!」
リュウタに手をはねのけられ、モモの思考が現実へと引き戻された。
そして再びリュウタに指を突きつける。
「いいか!ハナ垂れ小僧!よく言うだろう!?『名は鯛を釣る』って…」
「センパイ……それを言うなら『名は体をあらわす』、鯛を釣るのは海老だよ……」
ウラが呆れて突っ込みを入れる。
「うるせえ!! ともかく!! 名前ってのはそんくらい大事なんだよ! わかったか!?」
言いつつ再びメモ紙を広げたテーブルに向かうモモ。
「わかったなら、てめえら! 邪魔すんじゃねえぞ!」
そして一枚のメモを手に取る。
「やっぱ、これだな……」
その時。
食堂車のインターフォンが鳴り、客室乗務員であるナオミが受話器を取る。
2,3言うなずき……
受話器の口を押さえると満面の笑顔でモモ達に叫ぶ。
「良太郎ちゃんからです!!奥さんの陣痛、始まったそうですよ!」
それを聞き、モモが速攻で受話器をひったくる。
「つ、ついに始まったか!! い、いいか良太郎!! お、おおおおおお落ち着け! 落ち着けよ!! こ、こここ、ここにお守りはちゃんと買ってあるからなぁ!!」
いつの間にか手にお守りを握りしめている。
「ってセンパイ、それ交通安全のお守りじゃん!しかも『駅長印』だし……」
「うるせえ!!こ、ここここういうのはなぁ、気持ちなんだよ、気持ち!!」
震える手を押さえ、再び受話器に耳を当てる。
「い、いいか良太郎!おおお落ち着け!落ち着けよぉおおお・・・って、クマ!!こんな時に寝てんじゃねぇ!!」
受話器を放り出し、モモはあいかわらず高いびきをかいているキンの首を絞めた。
そしてナオミにビシっと指を突きつける。
「ナオミ!!病院へ直行だ!!」
ブンブンと首を振るナオミ。
「ダメですよ、そんなの! デンライナーはタクシーじゃないんですからね!」
叱りつけるように言うナオミにモモは頭を抱えた。
「カ~~~~! こんな時に何カタイ事言ってんだ、おめぇはよ!! オッサンだって寝てんだからいいじゃねえか!」
みれば、オッサン……この「デンライナー」の最高責任者である「オーナー」は、珍しくスミのテーブルで片肘ついて居眠りをしていた。
「ダメなもんはダメです! いつだったか私が勝手に動かした時だって、後でこっぴどく怒られたんですから」
ナオミは頑として言う事を聞かない。
コノヤロ~~~、とモモが地団駄を踏んだ瞬間。
ポトッ……
居眠りしているオーナーのフトコロから何か黒いモノが落ちた。
「しめた!!!」
モモがすかさず駆けより、それを拾う。
電王のライダーパスを。
「へっへ~~!!これさえあれば!!」
言うが早いか駆け出すモモ。
「あ!!コラ!!ダメだってば~~~!!!」
ナオミが追いかけるがすでに遅し、モモの姿は先頭車両へと続くドアの向こうへと消えていた。
「よ~~~し!!!」
先頭車両内。
コックピットにあたるマシンデンバードを前にして、ライダーパスをかざすモモ。
手元に現れたベルトを勢いよく腰に巻き、赤いボタンを押す。
軽快なミュージックホーンが鳴り響く中、モモはパスをベルトのターミナルバックルにセタッチしつつ叫んだ。
「変身!!」
----SWORD FORM----
赤と銀に彩られた甲冑がモモの体を包んでいく。
そしてデンバードに跨ると、ハンドル中央部にパスを差し込み、アクセルをふかした。
デンライナーが、ゆっくりと、そして力強く進みはじめる。
じょじょにスピードを上げ、やがてその姿は大空へと消えていった……
「まってろよ~!! 良太郎!! おれ!!さぁんじょおおおおお!!!!」
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to be continued infinit future…