「……あ、ここにおった」
寝転んで、ぼーっと木漏れ日のさす枝を眺めていると、聞きなれた声。
「ことは……」
視線を向けると、上下逆さになったことは―――寝転んでいたからそう見えただけなのだが―――の姿があった。
「ん、彦馬さんに聞いたらここだろうって言わはったから」
隣、ええ? と問いかけることはに頷き、千明は体を起こして腰掛ける。
ちょこんと、ことはが隣に座ると同時に、ふわぁっと穏やかな風が吹き抜けた。
ちょこんと、ことはが隣に座ると同時に、ふわぁっと穏やかな風が吹き抜けた。
「ここ、よくくるん?」
気持ちよさそうに風を浴び、ことはが尋ねる。
「ん……まぁ、な」
口を濁しながら千明が呟く。
別に秘密の場所にしていたわけではないが、仲間にこの場所がばれるのは何となく気恥ずかしかった。
気持ちよさそうに風を浴び、ことはが尋ねる。
「ん……まぁ、な」
口を濁しながら千明が呟く。
別に秘密の場所にしていたわけではないが、仲間にこの場所がばれるのは何となく気恥ずかしかった。
「…ほら、前に俺が兜折神の件でくさってたことあったじゃん。そんときにさ、じーさんに連れられてきたのがここだったんだ」
それ以来、なんか気に入ってよ。
そう千明が言うと、ことはが「そうなんや」と微笑んだ。
そう千明が言うと、ことはが「そうなんや」と微笑んだ。
ふと、千明の視線が、林の中でもひときわ大きな木に向く。ことはもそれに倣う。
「そういえば言うてたね。“でかくて、強くて、すごい広がってる感じ”…って」
「…ああ。俺の中の“木”のイメージだ」
そう言って、自分の指で<木>の文字を描く。ショドウフォンを介しないそれは、ただの指遊びでしかなかったが、そこに僅かに浮かんだであろうモジカラを、ことははしっかりと読み取り、穏やかに微笑んだ。
「…ああ。俺の中の“木”のイメージだ」
そう言って、自分の指で<木>の文字を描く。ショドウフォンを介しないそれは、ただの指遊びでしかなかったが、そこに僅かに浮かんだであろうモジカラを、ことははしっかりと読み取り、穏やかに微笑んだ。
「…ん?」
視線を感じて、千明がことはを見る。
「なんか、千明そのものって感じする」
「そ、そうか…?」
ことはの笑顔に、千明は照れくさくなって上を見た。
精一杯に広がった枝葉から零れる光がまぶしくて、思わず目を閉じる。
視線を感じて、千明がことはを見る。
「なんか、千明そのものって感じする」
「そ、そうか…?」
ことはの笑顔に、千明は照れくさくなって上を見た。
精一杯に広がった枝葉から零れる光がまぶしくて、思わず目を閉じる。
「うん。ずっとずっと上を目指していく~っ、見たいな感じが。すっごい千明っぽい」
珍しく力説することはに、なんだか嬉しくなる。
「そっか、ありがとな」
「そっか、ありがとな」
「……うん」
ふと会話が途切れ、二人して木漏れ日を眺める。
「…でな」
沈黙を破ったのは、ことはだった。
「ん?」
「うち、そーいう千明……」
口篭る。
「…なんだよ、言いかけてやめんなよな」
からかうように、千明が言う。
からかうように、千明が言う。
「…ん」
ことはが、口を開いた瞬間。
ふわぁっと、一陣の風が吹き過ぎた。
「……よ」
「? え、何だって?」
「? え、何だって?」
波打つ枝の音にさえぎられ、届かなかったことはの“言の葉”を、千明が問いただす。
「う、ううん! なんも! なんも言うとらんよ!?」
そう言うことはの顔は、なぜか赤くなっていて。
「ほ、ほら! もうすぐ稽古の時間や。早よ帰らんと殿様や流さんに叱られてまうよ」
慌てて立ち上がり、ぱんぱんと砂埃をはらう。
「あ? お、おい…待てよことは!」
真意をつかめず、なおも突っかかる千明の顔も……
「や、やからなんもないって!」
「なんもあるだろーっ?」
「なんもあるだろーっ?」
真っ赤になっていた。
-了-
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執筆奏上! 一本献上!(何
懲りずに緑×黄でシンケンSSを書いてる俺だ!
さて、今回は特に決めては無いんですが、どちらかというと第十幕「大天空合体」の後日談になるのかな?
いや、時期はいつでもいいのですが、一応あのエピ以降で。
いや、時期はいつでもいいのですが、一応あのエピ以降で。
グリーンは「木」イエローは「土」と、属性的にもこの二人って相性いいんですよね。
そのへんの部分も描きたかったんですが、ちょっと描写力不足orz
そのへんの部分も描きたかったんですが、ちょっと描写力不足orz
今までの緑×黄はどっちかっつーと緑→黄だったので、今回は緑←黄というカタチに。一瞬だけですが。
本編じゃなかなかフラグ立たないのでこっちで無理矢理立たせてみた(ぉぃ
はてさて、この二人は今後どうなるやらw