炎部さんちのアーカイブス あるいは永遠的日誌Ver.3

日々是モノカキの戯言・駄文の吹き溜まり

【二次創作】シンケン黄緑【NL】

【シンケンSS】閑話・秋空家出奇譚-あきのそらいえできたん-【緑×黄】

「あ、そう言えば千明?」 「あん?」 角笛の山からの帰り道、ことはが千明に問いかける。 「ヒロくん、家出やってなんですぐわかったん?」 その言葉に、一同がそう言えばと千明に顔を向ける。彼が家出してきたと、真っ先に見抜いたのはほかならぬ千明だ。 …

【シンケンSS】閑話/夜稽古談話-よるげいこだんわ-【緑×黄】

夏も通り過ぎ、少し涼しくなった夜空の下。 「やっ!」 「はあっ!」 若い声と、竹刀のしなやかな打撃音が響く。 4、5度ほど軽快なうち愛が続いたと思えば、しばし鍔迫り合いの後、互いに飛びのいて間合いをとる。 片方が懐に飛び込もうとした刹那、もう片…

【シンケンSS】閑話/懐中姿-かいちゅうすがた-【緑×黄】

「…あれ?」 とある午後。 稽古の合間の休憩に、散歩に出かけようとしたことはが、無人の奥座敷に通りがかると、何か光るものを視界の端に捕らえた。 とてとてとかわいらしい足音がはたと止まり、床の上に転がっていたモノを拾い上げる。 「ショドウフォン……

【シンケンSS】閑話・高校生日記

「…お」 ある日の午後。 稽古の合間の昼休憩に志葉邸を出た千明が、ふと気がつくと、そこはかつて自分が通っていた高校の前であった。 「そーいや、シンケンジャーになったから卒業前にいなくなっちまったんだよなァ…」 ふと、閉ざされた校門越しに校庭を見…

【シンケンSS】閑話/枝葉末節挿話-しようまっせつそうわ-【緑×黄】

「……あ、ここにおった」 寝転んで、ぼーっと木漏れ日のさす枝を眺めていると、聞きなれた声。 「ことは……」 視線を向けると、上下逆さになったことは―――寝転んでいたからそう見えただけなのだが―――の姿があった。 「ん、彦馬さんに聞いたらここだろうって言…

【シンケンSS】幕間/閑話・逢瀬日和-でえとびより-<後編>【緑×黄】

「ふぅん、いい感じじゃない」 「ほほぉ…あの千明がそれなりにことはをエスコートしているとはなァ…」 いつしか流ノ介も興味津々で二人の様子を窺っていた。 「ま、男の子ってのは得てして女の子にイイトコ見て欲しいのよ。無意識にしろ、ね」 さぁ、映画も…

【シンケンSS】幕間/閑話・逢瀬日和-でえとびより-<中編>【緑×黄】

「……まったく、なんで俺まで」 映画館のシートに腰かけ、丈瑠が憮然と呟いた。 「まーまーまーまー。これも一つの稽古だと思いなって丈ちゃん」 ポップコーンを抱えた源太が隣でからからと笑う。 「稽古ってお前…」 「いやー、まさか丈ちゃんが受付であんな…

【シンケンSS】幕間/閑話・逢瀬日和-でえとびより-<前編>【緑×黄】

「ねぇ千明」 「何、ねえさん?」 昼の稽古が終わった後、水分を取ろうと台所に向かおうとする千明を茉子が呼び止める。 「ん、ちょっと聞きにくいこと聞くんだけど…」 「?」 珍しく言いよどむ茉子に、千明の眉が訝しげに歪む。 「…あー、いいわ。単刀直入…

【シンケンSS】閑話・寒稽古夜噺

「…あれ? ことはのヤツ何処行ったンだ?」 食後のみかんをパクつきながら、ふと千明が呟く。 「ん? そういえばさっきから見ないわね…」 首をかしげる茉子が千明の手からみかんをひと欠け奪っていく。 「私は風呂に行ってるものと思っていたが…そういえば時…