炎部さんちのアーカイブス あるいは永遠的日誌Ver.3

日々是モノカキの戯言・駄文の吹き溜まり

【シンケンSS】閑話/懐中姿-かいちゅうすがた-【緑×黄】

「…あれ?」

 とある午後。
 稽古の合間の休憩に、散歩に出かけようとしたことはが、無人奥座敷に通りがかると、何か光るものを視界の端に捕らえた。

 とてとてとかわいらしい足音がはたと止まり、床の上に転がっていたモノを拾い上げる。

「ショドウフォン…?」

 自分が持っているのと同じタイプのそれは、主においていかれたのだろうか、どことなく寂しげであった。

「誰のやろ? ストラップついとらんから茉子ちゃんのとちがうやろけど…」

 首をかしげる。基本的に男性陣はストラップの類をつけていないので、一見しただけではどれが誰のかというのは判別できないのだ。

「…ほんとはあかんやろけど、でも無くしとったら探しとるやろし。まずは誰のか確かめんと」

 言い聞かせるように呟いて、ショドウフォンを開く。

「…………あ…れ?」

 液晶画面を見たことはの表情が、驚きと戸惑いに染まった。

「これ……うち?」

 誰かの肩越しからにでも撮ったのだろうか、笑顔の自分自身の横顔が、そこにあった。



   侍戦隊シンケンジャー・幕間
   閑話/懐中姿-かいちゅうすがた-




「っん~、よく寝たぜ」

 あくびをしながら、千明が背筋を伸ばす。

「千明…お前何時間寝てるんだ」
 割と夜もしっかり寝ている千明に、あきれ声の流ノ介が問いかける。
「これで8時間くらいかなァ…ま、たまに夜更かしもしてるけどな」
「もうすこし規則正しい生活をだな……」
 くどくどと言いかける流ノ介に生返事を返しながら、よっこらせ、と奥座敷に設けられた座布団に座る。午後からはモヂカラを鍛えるための書道の鍛錬だ。

「さて、と……って、あれ?」
 ポケットに手を突っ込んだ千明の表情が固まる。あれ?あれ?と慌てながらポケットをあさるが、目当てのものはなかなか出てこない。

「……な、なぁ千明?」
「何、ことは? 今ちょっと手が離せね……ん?」

 ことはがおずおずと差し出すショドウフォンに気が付く。
「あ、これ俺の?」
 こくん、とうなづくことはに、千明の表情が綻ぶ。
「お、おぉ…。失くしたかと思ってあせったぜ…ヘタしたらじーさんの雷が落ちるトコだったな」
 サンキューな、と受け取った千明が、ふと何かに気づいて表情をゆがめる。

「…なぁことは。…ひょっとして、中身とか見てねえ…よな?」
「…あ、ごめん。誰のかわからんかったから、待ちうけ……見てもうた」

 ……千明が目に見てわかるくらいに動揺し、顔を引きつらせる。

「…そ、そっか………」
「う、うん……」

 ことはもうつむく。

「ま、まぁしょーがねえな。俺らストラップつけねーから見分けつかねえもんな」
 あはは…と乾いた笑いを浮かべながらショドウフォンを開く。と、千明は目を見開いたまま言葉を失った。

「………こ、ことは? これ……」
「あ、あの…な? 同じ写真やったら……もっとはっきり写っとるほうがええやろ? ……って、思ったんやけど……」

 千明のショドウフォンの待ち受け画面には、少しはにかんだ笑顔のことはの画像が映っていた。

「め、迷惑やったかなぁ…?」
 心配そうな面持ちで千明を覗き込む。
「あ、や、その…迷惑なわけ……ねぇ…よ…」
 語尾がちょっと消えかけていたが、確かにそう答えた千明に、ことはが、心からほっとした笑顔を見せた。

「…あ、そうや」

 と、ことはが千明に近づき、そっと耳打ちした。









「……こんど、千明の写真……撮らせてな?」




   -了-



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 昨日のシンケンジャーの緑×黄ぶりが神過ぎる件。

 やるじゃねえか靖子にゃん!


 …というわけで後日談を書こうかなと思ったのですが、ネタストックが腐りそうだったのでこっちを先に。
 後日談はいずれ書きますよ。ええ書きますとも。

 むしろ書かせろーうきゃー!(謎テンション



 さて、今回。
 好きな人の写真を待ち受けにしたい!
 …そう思っていたことがオレにもありました(ぇ


天)そう言えば、待ち受けを好きな人にして3週間隠し通せたら恋がかなうって…

木)ちょっとまったねーさん!それはなんかいろいろヤバイ!(滝汗




 なんかベタかつあざとい気もしますが…まあいいか。

 なんか千明はガチでことはの写真待ち受けにしてそうな気がしてきた。

 …ええ、ビョーキですともw