闇夜に響く、強烈な衝撃音。
そして、わずかの後、地面に叩きつけられる肉体。
「がはあっ!!?」
紺色のコートを血にぬらし、青年が地面をのた打ち回る。
『律…律! しっかりしなさい!!』
彼の右耳のイヤリングが叱咤するが、うめき声はその返答にはならない。
「……ほぉ、まだ生きてやがるか。なかなかにタフだな」
少しはなれたところで、錆びた銅色の鎧を纏った男が呟く。
「おらよ…!」
と、彼が持っていた大鉈が、ぶうん、と弧を描く。次の瞬間、闇の中からぼとぼとと悪臭のする肉片が零れ落ちた。
「フン……このあたりの<ホラー>も手ごたえがなくなってきたな」
つまらん、と吐き捨て、鉈を放り上げる。闇夜に一瞬光が差し、鎧が光に吸い込まれるように消えていった。
「そろそろ河岸(かし)の変え時だな……」
ゆらりと呟き、ぼろぼろの黒衣を翻し歩き出す。
「待て……」
その歩みを、背後からの声が止める。振り返ると、魔戒棍を杖代わりに、鬼塚 律<おにづか・りつ>がよろよろと立ち上がっていた。
「お前…東の管轄の魔戒騎士じゃないな…? 何故だ、なぜ俺を……」
「邪魔だからだ」
「邪魔だからだ」
律の問いに、隻眼の男はにべもなく答える。
「あの<ホラー>は俺の獲物だ。それを横から掠め取ろうとしたお前が悪い」
「掠め取る…? 言っている意味がわからねえな。俺達は魔戒騎士だ、“守りし者”だろう?」
「掠め取る…? 言っている意味がわからねえな。俺達は魔戒騎士だ、“守りし者”だろう?」
激昂する律に、男は鼻で笑う。
「悪ぃがなお坊ちゃん。俺はそーいう青っ白い理想なんざとっくの昔にかなぐり捨ててるのさ」
狩りてえから狩る。…それだけさね。
そう言い残し、男は再び歩き出す。
「待……ぐっ」
『律、無理しないで!』
『律、無理しないで!』
体を支えきれず、思わず膝をつく律を尻目に、黒衣の男はその背中を闇にまぎれさせた。
・
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「……面白くなりそうな予感がするぜ」
ごう、と強めの南風が、黒衣を揺らした。
?i>―――where there's light,
?i>shadow's lured and fear rains
and by the blade of knights,
mankind was given hope.
牙狼<GARO>異聞譚 血錆の兇刃-チサビ ノ キョウジン-
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さて、またも唐突に
新 作 始 め ま し た 。
…冷やし中華かっつーの! というセルフ突っ込み。
まぁ、お約束なボケはさておき(ぇ
今回のキーパーソンは、以前設定をしたはいいもののキャラが強烈過ぎて主人公には向かなかったのでお蔵入りになったオリジナル魔戒騎士。
なんらかの形で出したいなーと前々から思ってたのをついにサルベージ。
今回は「異聞譚シリーズ」の総括もしてみたいなーと思っていて、つまりはどいつもこいつも出してみるぜー!なノリ。
仮に主人公ズ全員出そうとするとかなり大変なことになりそうですがw
ま、出してから考えてみます(爆
ともあれ、お楽しみに~