漆黒の宇宙(うみ)を、紅い帆船がその姿を変えながら舞い踊る。追随する4機……ジェット、トレーラー、レーサー、マリンも変形を開始し、ガレオンに取り付いた。
派手な衝撃音と機構同士の接続音が機体を震わせる。
現れた“頭部”に、ジェットから分離した“帽子”を被せると、海賊の姿を模した機械の巨人がその姿を顕した。
「こいつぁ……!」
「そう、こいつが<ゴーカイオー>! ゴーカイガレオンの“真の姿”さ!」
目を丸くするマーベラスのもとに、操舵輪ごとコックピットを移動してきたドンが声をかける。
「ゴーカイガレオンにこんな隠しだまがあったなんてねぇ……」
「なるほど、これなら……」
思い思いの感想を呟くルカとジョー。その声にマーベラスが頷き、ドンも応える。
「ゴーカイマリンのパイロットがいないから100%の力は出せないけど、あいつらを相手にするには……」
……十二分に過ぎるくらい、だよ。
突如現れた<巨人>に、動揺するかのごとく右往左往する艦隊を、ドンは冷ややかににらみつける。自分の“家”を攻撃されたのだ。怒らないわけがない。
「おもしれえじゃねえか。そんじゃぁ……」
マーベラスが不敵に笑う。操舵輪を強く握り締め、腹の底から声を張り上げた。
「ド派手に行くぜぇッッッ!!!」
その言葉をゴングに、ゴーカイオーが躍り出る。ガレオンのラムを利用した2本のサーベルを振り回し、すれ違いざまにザンギャックの艦を次々になます切りにしていく。
「フッ……くらえ!」
ジョーの操舵輪が唸り、それに連動して右腕……ゴーカイジェットが変形したものだ……が別の船影を狙い、エネルギー砲を放つ。光に貫かれ爆発する艦の、その爆煙を煙幕代わりに身を隠し、敵の死角から飛び出したゴーカイオーは、今度は強烈なとび蹴りを叩き込んだ。
「どりゃあああああ!!!」
操舵輪を回すルカの叫びとともに、左足となったゴーカイトレーラーがザンギャック艦の馬の装飾を踏み砕く。艦隊戦とは明らかに異なる戦い方に、色を失ったザンギャック艦隊は陣形を忘れてふらふらと動き回り、それはマーベラスたちにとってはただの的でしかなかった。
「ぐっ……おのれおのれおのれぇっ!!!」
僚艦が次々と撃破され、焦りのあまり激昂する下士官は、ブリッジに座る兵隊に檄を飛ばし、主砲を撃たせる。が、精彩を欠いた砲撃を、今更受けるゴーカイオーではない。
「さぁて、もうてめえで最後だぜ!」
「マーベラス! どーんと行くよっ!! レンジャーキーを操舵輪にセットして!」
「おうっ! お前はこいつを使えっ!」
マーベラスが緑色のレンジャーキーを投げよこす。頷いたドンは、大きく腕を振り回して、レンジャーキーを操舵輪の中央に差し込んだ。
――レンジャーキー・セット!!!
ゴーカイオーの四肢、そして胸部のハッチが展開し、巨大な砲身と砲弾がゴーカイオーの身体を飾る。
「Let’s go!!!」
――ゴーカイスターバーストッッッ!!!
四肢に搭載された砲弾が次々に胸部砲身・ゴーカイホーに吸い込まれ、勢いよく放たれる。巨大な質量の塊が次々に旗艦に撃ち付け、抉り、軋ませる。
「うおおおおおおおおお!!! おのれ海賊どもぉぉぉぉぉぉぉぉ!!!」
下士官のありきたりな断末魔とともに、帝国の顔たる戦艦がまたひとつ、果てた。
-つづく-
アイムがいないのがちょっと残念な気がしてきたが、加入時期的な意味でしゃーない。アイムファンの皆様ごめんなさい。
え? そー思ってるならアイム篇やれ?
( ゚д゚)
( ゚д゚ )
うん、無理♪
あ、次回エピローグです。たぶん。