炎部さんちのアーカイブス あるいは永遠的日誌Ver.3

日々是モノカキの戯言・駄文の吹き溜まり

Before GREEN/シーン5

 漆黒の宇宙(うみ)を、紅い帆船がその姿を変えながら舞い踊る。追随する4機……ジェット、トレーラー、レーサー、マリンも変形を開始し、ガレオンに取り付いた。
 派手な衝撃音と機構同士の接続音が機体を震わせる。
 現れた“頭部”に、ジェットから分離した“帽子”を被せると、海賊の姿を模した機械の巨人がその姿を顕した。

「こいつぁ……!」
「そう、こいつが<ゴーカイオー>! ゴーカイガレオンの“真の姿”さ!」

 目を丸くするマーベラスのもとに、操舵輪ごとコックピットを移動してきたドンが声をかける。

「ゴーカイガレオンにこんな隠しだまがあったなんてねぇ……」
「なるほど、これなら……」

 思い思いの感想を呟くルカとジョー。その声にマーベラスが頷き、ドンも応える。

「ゴーカイマリンのパイロットがいないから100%の力は出せないけど、あいつらを相手にするには……」

 ……十二分に過ぎるくらい、だよ。

 突如現れた<巨人>に、動揺するかのごとく右往左往する艦隊を、ドンは冷ややかににらみつける。自分の“家”を攻撃されたのだ。怒らないわけがない。

「おもしれえじゃねえか。そんじゃぁ……」

 マーベラスが不敵に笑う。操舵輪を強く握り締め、腹の底から声を張り上げた。

「ド派手に行くぜぇッッッ!!!」

 その言葉をゴングに、ゴーカイオーが躍り出る。ガレオンのラムを利用した2本のサーベルを振り回し、すれ違いざまにザンギャックの艦を次々になます切りにしていく。

「フッ……くらえ!」

 ジョーの操舵輪が唸り、それに連動して右腕……ゴーカイジェットが変形したものだ……が別の船影を狙い、エネルギー砲を放つ。光に貫かれ爆発する艦の、その爆煙を煙幕代わりに身を隠し、敵の死角から飛び出したゴーカイオーは、今度は強烈なとび蹴りを叩き込んだ。

「どりゃあああああ!!!」

 操舵輪を回すルカの叫びとともに、左足となったゴーカイトレーラーがザンギャック艦の馬の装飾を踏み砕く。艦隊戦とは明らかに異なる戦い方に、色を失ったザンギャック艦隊は陣形を忘れてふらふらと動き回り、それはマーベラスたちにとってはただの的でしかなかった。

「ぐっ……おのれおのれおのれぇっ!!!」

 僚艦が次々と撃破され、焦りのあまり激昂する下士官は、ブリッジに座る兵隊に檄を飛ばし、主砲を撃たせる。が、精彩を欠いた砲撃を、今更受けるゴーカイオーではない。

「さぁて、もうてめえで最後だぜ!」

 マーベラスの声にはっとする下士官。気づくと100を越えていたはずの大艦隊は完全に沈黙し、残すは自らの乗る旗艦のみとなっていた。

マーベラス! どーんと行くよっ!! レンジャーキーを操舵輪にセットして!」
「おうっ! お前はこいつを使えっ!」

 マーベラスが緑色のレンジャーキーを投げよこす。頷いたドンは、大きく腕を振り回して、レンジャーキーを操舵輪の中央に差し込んだ。


  ――レンジャーキー・セット!!!


 ゴーカイオーの四肢、そして胸部のハッチが展開し、巨大な砲身と砲弾がゴーカイオーの身体を飾る。

「Let’s go!!!」



  ――ゴーカイスターバーストッッッ!!!



 四肢に搭載された砲弾が次々に胸部砲身・ゴーカイホーに吸い込まれ、勢いよく放たれる。巨大な質量の塊が次々に旗艦に撃ち付け、抉り、軋ませる。

「うおおおおおおおおお!!! おのれ海賊どもぉぉぉぉぉぉぉぉ!!!」

 下士官のありきたりな断末魔とともに、帝国の顔たる戦艦がまたひとつ、果てた。


   -つづく-




 アイムがいないのがちょっと残念な気がしてきたが、加入時期的な意味でしゃーない。アイムファンの皆様ごめんなさい。

 え? そー思ってるならアイム篇やれ?

 ( ゚д゚)




 ( ゚д゚ )


 うん、無理♪


 あ、次回エピローグです。たぶん。