振り向きざまのレッドキングの裏拳が、これ以上ないほどにマグマ野郎にクリーンヒットする。弾き飛ばされたヤツの身体は、一直線に別の奇岩石塔に直撃し、人型の窪みを造り上げた。
「痛ってえええええええええっ!」
ややあって、マグマ野郎の雄叫びが荒野に響き渡る。
あれで痛いで済むのかよ。マグマ星人が頑丈なのかあいつが頑丈なのか……まぁ、後者だな。
ともあれ無事らしい。一瞬でも心配して……誰が心配するかよ、あんな若造……いや、“ひよっ子”で十分だ。
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「……っマズい!」
不意に近づく大音量の足音に我に返る。レッドキングが猛烈な勢いでこっちに走ってきやがった。
狂乱に任せ八つ当たりのように手当たり次第に奇岩石を殴りつけながら俺たちを追っかけてくる。
「あのバカ、怒らせやがったッ!」
勝手に先行した上になにやらかしてやがんだ、あンのひよっ子がぁ!
くそッ、走ってばかりじゃあ俺のエモノが使い物にならねえ。どこかでやり過ごすかレッドキングの足を止めるしか――!?
「何っ!?」
不意に足元が暗くなる。見上げた先には、レッドキングが砕いたらしい岩石の塊が、併走しているハンター……バレルとか言ったか……に迫ろうとしていた。
「マズいッ!」
避けろ、と怒鳴ろうとした刹那、一際加速したバレルがその姿を幾重にもブレさせる。
――分身だと!?
俺たちガッツ星人も分身は得手としちゃあいるが……あれだけの数の分身を使いこなせる奴は俺含めそうもいねえ。こいつ、一体……?
分身を解いたバレルは、怪獣の眼前で浮遊し、突進を待ち構える。何をする気だ?
「“サイクロン……ソーサー”ッ!!!」
その声が発せられたと同時に、奴の腰に備わっていた爪状のアーマーが外れ、空中で手裏剣のような形に合体する。水を得た魚のように自在に動く手裏剣が、レッドキングの周囲で不規則に飛び交い、混乱させる。
やがて隙を捉えた3本の刃が、怪獣の背中のプラズマソウルを斬り砕いた。
「さっきの分身に、今の手裏剣……」
ふと背後からひよっ子の声。どうやら追いかけてくるだけの体力はあったらしい。ハンターだからってのを差し引いてもタフな奴だ。
レッドキングは、いつしか標的をバレルに集中させていた。
「間違いない!」
耳元でがなり立てるひよっ子。うるせえなあ、何がだよ?
「宇宙忍者だ! 全滅したはずの……<バルタン星人>だッ!!」
バルタン星人だと? いつぞや母星が爆発して、滅亡したっていうあの……?
そうか、生き残りが居やがったのか……それがヤツ……バルタンバトラー・バレルってことか。
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追いかけるレッドキングに、焦りひとつ匂わせることなくバレルが空を駆ける。こっちを狙わなくなってくれたおかげで、背中と肩に残る3つのプラズマソウルが良く狙える……うん?
バレルのやつ、動きを止めた?
「……なるほど」
味なこと考えるじゃねえか。さすが忍者ってことか?
「は?」
俺の呟きにひよっ子が聞き返す。気づかねえのかよ……ったく。
頭に疑問符を浮かべたままのひよっ子を置いて走る。はるか彼方、そびえ立つ奇岩石塔の上で、バレルは表情一つ変えず――機を待っていた。
-つづく-
――次の手で決めるつもりですね?
でも、プラズマソウルは“すべて”ゲットしてください……ラッシュハンターズ。
CGムービーノベライズ第2弾! 今回はガルム語りでバレルメイン話。
この映像では、半分くらいジェントさんの解説が入ってるので、現場メインのシーンのみで書くと少しばかり短くなっちゃうんですよねえ……
まぁ、モノローグ入れてるので結局1000文字オーバーするんですが(
とりあえずラストまで見てる上で、伏線を隠し味にしつつ小ネタ織り交ぜつつ……できてるこれ?(
ま、まあ習作だし、考えるのはやめて赴くままに書きましょうか!
次回、VSレッドキング、決着!