炎部さんちのアーカイブス あるいは永遠的日誌Ver.3

日々是モノカキの戯言・駄文の吹き溜まり

【掌編】きみのカタチを☆だきしめて【みさお/桜藤祭】

「なーなー、ゆうきっ」
「ん?」
「明日、私誕生日なんだゼ」

 知ってますって。

 峰岸さんから聞いたし、一月以上前から当のみさ本人からさんざん聞かされてきたからね。
 もはや耳タコのレベル。

「プレゼントのリクエストでもあるの?」
「あー、えっとさ……」
 そして、俺がこう返すと口篭る。
 これがここ最近のパターンと化していた。

「あのさ……その日、おまえん家…行っていい?」



   きみのカタチを☆だきしめて



「…お、おじゃまします」
 いつもの元気さはどこへやら。それこそ借りてきた猫状態で、みさが俺の部屋に入る。
 別にこれが初めてってワケじゃないんだけど。
「い、いーだろ。照れるのは照れるんだよっ」
 あ、思考を読まれた。
「お茶淹れてくるよ」
「あ、お、お構いなく…」
 みさがそう言うので、とりあえず椅子に腰掛ける。
「うーん…」
 せわしなく視線を泳がせながら、みさが溜息をつく。
 プレゼントは別に用意しなくていいってみさが言ってたもんだから、これといって準備はして無いんだけど……これってもしかして。

「ひょっとして、俺が持ってるので何か欲しいの?」
「!!!」

 ありゃ、図星だったようだ。耳まで真っ赤。
「じゃあ、テキトーに物色してなよ。よっぽどのものじゃなけりゃ、あげられると思うし」
 と言ってから、はたと気付く。

 ……片っ端から家捜しされるのはちょっとアレだ。

「あ、お、お手柔らかにね」
 そう付け加えた俺の意を理解したのか、さらに真っ赤になるみさ。
「バッ、バカ! だれがそんなモン探すかよ!」
 …まぁ、ベッドの下とか机の裏とか、そんなところは漁らないと思うけど。

  *

「なぁ、これってタンスだよな?」
「…どっちかっていうとクローゼットって言うと思うんだけど」
 中には主にジャケットとかが吊ってある。まぁ、見られて困るようなのは入ってないハズだ。
「……ふぅん」
 扉を開けて、じっくりと鑑賞。
 …むぅ、見られても困らないとはいえ、なんとなく恥ずかしい気がする。

「……あ」
「ん?」
 いいのがあったかな?

「こ…これ…いいか?」
 そう言いながらみさが引っ張り出したのは……
「ワイシャツ?」
 普段、俺が学ランの下に着ているものだ。
 もっとも、みさが持ってるのは着古してて、そろそろ処分しようかなと思ってたヤツなのだが。
「いいの? そんなくたびれたヤツでさ」
「ん……これが、いい」
 思わず首をかしげる俺に、みさが頬を染めながらワイシャツを抱きしめる。
「着てたパジャマが小さくなっちゃってさ…これなら……大きさとか、丁度いいかなって……思って」
 ますます赤くなっていく顔が、ほころんで見えた。
 まぁ、そこまで気に入られちゃ、断る理由なんかないよな。
「いいよ。他にも残ってるし、好きなだけ持ってきなよ」
「う…うんっ」
 心から嬉しそうに、みさが微笑む。
「えーっと…どこにしまってたっけかな」
 彼女を手伝って、他のタンスを漁る。

「…なぁ、ゆうき」
「どうした?」

 声をかけられ、振り返る。
「…へへ」
 みさが俺のワイシャツを羽織っていた。
 ちょっと丈の長めな袖口と裾が、彼女がくるりと回るたびにゆらり、ふらりと舞う。
「…ん、ゆうきの匂いがするな、これ」
 うわぁ、恥ずかしいセリフ禁止

「ありがとなゆうき。……大事に、使うからっ」
 満面の笑みが、桜色の頬に彩られた。



  -fin-


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 みさ、はっぴーばーすでー!
 つーわけで、桜藤祭バースデーシリーズ第4弾!日下部みさお嬢だよ~ん

 今回は随分前からやりたかったネタなんですが…はっは、流石に今回はパクリ元がバレるw やべぇ(滝汗

 てゆーかもうあまりのデレもーどに、原型をとどめて無い気がしてきた。
 …これ以上はファンに刺されるかもしれない。

 いや、俺もファンだけどさ。


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