炎部さんちのアーカイブス あるいは永遠的日誌Ver.3

日々是モノカキの戯言・駄文の吹き溜まり

【らき☆すた掌編】らぶらぶ☆ぷれす【桜藤祭/みゆき】

「おはよう、みゆきさん」
「おはようございます、ゆうきさん」

 とある交差点の一角での、いつもの光景。
 “あの日”から、俺たちはここで合流して一緒に学校に行く。
 特に約束したりとかじゃなく。いつの間にかって感じで。

 そして、もうひとつ“いつもの”。
 俺の隣にきたみゆきさんの手をつなぐ。

「……ふふっ」

 彼女のはにかんだ笑顔が、妙に嬉しくて、きゅっと、指を絡めてみたりして。
 いわゆる、恋人つなぎってヤツだ。


 そんな感じで、今日も一日が始まる。
 きっと、楽しくて面白くなる。



   らぶらぶ☆ぷれす



「おーす! みらいのムコ養子!」
「朝っぱらから君が何を言ってるのか解らないよこなたさん」
 …というか俺の婿入りは確定なのか。

「おはよ。今日も相変わらず仲良しねぇ」
「おはよー。ちょっと羨ましいよね~」
 こなたさんに続いて柊姉妹とも合流する。もはや定番のメンツだ。

 学校までの道のり、昨日のドラマがどうとか、宿題がどうとかと他愛の無い会話。
 そんな中、ふとこなたさんが突拍子も無いことを言い出した。

「ところでゆうきくん、私と浮気しないかね?」
「はぁ!?」
 一体何を言い出すのやら。
「だってさぁ、せっかく仲のいい男友達できたと思ったらみゆきさんが独占状態なんだもん。ずるいよー。独占禁止法違反だよー」
 そーいうセリフはどっかの某-CASあたりにでも言ってください。
「ね、かがみんもつかさもそう思うよねぇ?」
「い、いきなり私たちに振らないでよっ!」
「え、ええと…」
 ひたすら困る柊姉妹。
「………」
 ふとみゆきさんの方を見る。いつもどおりの笑顔のまま…なのだが、こころなしかそれが“貼りついているだけ”のようにも見えたり見えなかったり。
 …なんか、ヤな予感が。

「うりゃっ」
 などと思ってる傍から、俺の腕にとつぜんこなたさんが飛びつく。
「ちょっ、なにやってんの!?」
「んー、なかなかに良い抱きごこちだね~♪」
 そりゃどうも。いや、そうじゃなく。
「むー、ゆうきくんあんま嬉しそうじゃない。せっかく胸あててんのに」
 そんな無い胸でされてもな。
「失敬な!」
「心を読むな!」
「しょーがない。ここはかがみんにおねがいしy」
「 だ が 断 る 」
 全力で拒否するかがみさんGJ。…でもなんか寂しい気もするのは男のサガってやつか。
「いーもん、つかさに頼むから。ほらほら、いっちゃえー」
 頼むというか強引に僕の腕につかささんを押し付けている。控えめながら柔らかい感触が腕に心地い…いやなんでも。
「あ、ちょっと反応した」
「ほんと? えへへ、ちょっと嬉しいかも」
 こらこら、何を言ってるんだつかささん。
「つかさもイイコだからねぇ~。いまなら漏れなく毎日のお弁当がついてくる!」
 こなたさんが通販番組の司会っぽい口調でつかささんを推す。
「あのねぇ…」
 ちょいとばかり理想的な特典に揺れそうになったのは内緒だが。

  …ぎゅっ

「あ痛っ」
 
 急に手が強く握られ、我に返ると、みゆきさんが頬を膨らませている。
「…ちょっと、いいなとか思いませんでした?」
「……い、いやそんなまさか」
 す、鋭い…
「ダメですよっ。ゆうきさんは、私の……その、彼氏…さんなんですから」
 そう言って、俺の腕を引っ張る。バランスを崩し、倒れかかる頭をみゆきさんの胸が受け止めた。
 あ、柔らかい。
 と思う間も無くそのまま頭を抱きしめられる。

 って、ちょ、ここ往来のど真ん中……

「こなたさんも!」
「は、はい!」
「……こなたさんとはお友達ですけど、大好きな人だけは、絶っっ対に、譲れませんからっ!」
「……ら、らじゃ!!」
 なにやらこなたさんの声が震えている。みゆきさんの腕…というか胸というか…に抱かれているせいで見えないけど、どうやら相当怖い雰囲気になってるようだ。

 …ていうか、なんかちょっと……息苦しいような…

「……あの、み、みゆきさん? ちょっと、離してもらえるかと…」
「ダメです。離しません」

 いやあの、なんか非常に嬉しいお言葉ではあるんですけど……

「…ね、ねえみゆきさん? ゆうきくん、なんか苦しそうだよ?」
「………え?」

 意識を手放しかけた俺に、ようやくみゆきさんが気付き、大慌てで開放してくれたのだった。


  *


「……恥ずかしいです」
「まぁまぁ」
 ひとしきり照れまくるみゆきさん。というかその前に俺のこと通学路で抱きしめると言う、さらに上いく恥ずかしさを披露してるはずなんですけど。他の生徒にも確実に見られたよ? 全力でウワサのネタにされるよ?
「それでも、まぁ」
「?」
「それだけ、みゆきさんに大切に思われてるってことが、すごく嬉しい…かな」
「……ゆうきさん」
 繋いだ手を中心に、腕が絡み合う。お互いの体温が行き来して、すごく心地いい。


「…あのー、おふたりさん? 世界作ってるところ恐縮なんですけど…」
 こなたさんが遠慮がちに声をかけてくる。
「もうすぐ予鈴鳴るよ~?」
 その言葉に、時計を見る。うわ、マジだ!
「い、急ごうみゆきさん!」
「は、はい!」
 俺が先行して走り出し、みゆきさんを引っ張っていく。一瞬よろけたみゆきさんは、それでも体勢を立て直して俺と一緒に走る。その隣で、こなたさんたちも続く。

「今日も、楽しいことあるといいね!」
「…はい!」

 二人、笑いあって校門をくぐる。
 底抜けに青い青い秋空が、太陽に照らされていた。



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 久々に書いたらなにがなんだかって感じがするんだ。そーいう顔してるだろ?(知らんがな

 つーわけでみゆきで掌編ですよっと。胸おっきいコでいちどやってみたかった“胸窒息”ネタをば。
 というか、男にとっては理想の死に方の一つじゃね? とか。 胸に挟まれて窒息死……いや苦しいか。
 台詞回し等、最近ハマった某リリなのSSの影響が見え隠れ…そのせいかみゆきさんがヒロインなのにこなたとの会話が多い件orz
 まぁ、みゆきさんは少ないセリフでキメる人なんだよ! と脳内補正しておく(こらこら




 しばらく特撮系で「燃え」に走ってたのが飽きて来たので「萌え」に転向したらこのザマだよ!(何
 ちょっと萌え補給してくる! 幸いにもわが職場、萌えには事欠かねえ!!

6/27:一部加筆修正しますた。