炎部さんちのアーカイブス あるいは永遠的日誌Ver.3

日々是モノカキの戯言・駄文の吹き溜まり

【ディケイドSS】-13RIDERS ANECDOTE-【龍騎編】

 軽快に踊る指が、キーを次々に叩いていく。
 モニターには活字がかなりのスピードで走り、情報を“記事”というカタチにしていくのだ。

 ……あの“事件”から数ヶ月経つ。

 今、俺―――羽黒レンは、新たなライダー裁判の記事を書いている。




   仮面ライダーディケイド/A.R.WORLD STORY
   EPISODE:RYUKI-13RIDERS ANECDOTE-




 この“世界”には、13人の仮面ライダーが存在する。

 厳密に言えば、人を“ライダー”たらしめるための“カードデッキ”が、である。

 ひとたび事件が起これば、その事件の関係者や、裁判を担う弁護士や検事がライダーになり、己の言い分を通すために、鏡の向こう側…ミラーワールドで戦うのだ。

 ―――Atashiジャーナル編集長殺害事件

 先般起こったこの事件……現在では“なかったこと”にされてはいるが……の裁判に参加した俺は、思わぬ形で“相棒”と再会する。

 辰巳シンジ。彼から犯人ではないかと疑われた俺は一度は強烈なまでの害意を向けられたが、タイムベントで発覚した事実で、その誤解は解け、Atashiジャーナルに戻った俺と、ふたたびコンビを組むまでに至ってくれている。
 俺にとっては最高のパートナーだ。

「レンさん!」

 と、ウワサをすれば影だ。
 俺に割り当てられたブースにひょっこりとシンジが顔を出して来た。

「はい、写真。今回も自信作だぜ!」
 手渡された写真に目を通す。身内びいきではないが、彼の写真の腕はかなりのものだ。だが……
「…おい。また龍騎とナイトの写真ばかりじゃないか…。どれを使うかは俺が選んでおくから、お前は残りのライダーもちゃんと撮って来い!」
「あはは…いやー、つい、ね。つい」
 照れ笑いを浮かべるシンジが、「じゃ、行ってきます!」と、頭を引っ込める。

 まぁ、わからなくも無い。

 俺たちが<仮面ライダー>として体験したあの一件は、何事にも代え難いものになったからだ。

 ふと、視界の端が光るトロフィーを捉える。先日受賞したもので、俺とシンジ、そして<通りすがりの仮面ライダー>との一件の記事の切り抜きが、額縁に入って一緒に飾られている。
 あの飄々とした自称・弁護士の男は、元気でやっているだろうか。


 裁判以来、俺たちにとって<龍騎>はとても特別な存在となった。
 あれから何度か裁判が続き、そのたびに<龍騎>は別のものが変身していたが……

 やはり俺にとっては、龍騎=シンジだ。

 窓から外を見る。ちょうど玄関からシンジが飛び出していくのが見えた。
 その姿を、指で作った四角で、カメラのように収める。

 と、そんなシンジの姿に、もう一つの姿がオーバーラップする。



 ―――<鏡の中のヒーロー>仮面ライダー龍騎



 『変身!』と、彼の声が聞こえたような気がした。






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 勢いで書いた。反省はしない(ぉ
 つーわけで、ディケイドSSシリーズ。懲りずに続いております。

 今回は龍騎編。一番の悩みどころは、やはりというか「シンジたちはその後ライダーであり続けたのか否か」。
 「ディケイド」における「龍騎の世界」の設定を鑑みれば、事件自体が終わってしまった(というかなかったことになった)ので、彼らはライダーである必然性がなくなってしまっているわけで。
 
 というわけでの今回のエピソードなわけですが、龍騎はやっぱりシンジだろ!という視聴者(俺含む)の意見をレンに代弁してもらうカタチを取らせていただきましたw


 …なんかいつもより短い気がする…(呟