炎部さんちのアーカイブス あるいは永遠的日誌Ver.3

日々是モノカキの戯言・駄文の吹き溜まり

【ウルトラSS】ULTIMATE CROSS SCRAMBLE!!/シーン6

「ウワッ!」

 猛烈な光度に、思わず目をそらすDASHの面々。そんな中、カイトだけが、その輝きと、その中心をじっと見据えていた。
 光の本流は、波打つ輪を描き、さしずめそれは、数学記号の“∞”にも似て、そして…

メビウスの…輪…」

 カイトの呟いたそれにも、似ているようであった。


「…!」

 やがて光が収まると、その場には、一体の銀色の巨人が立っていた。

「ウルトラ……マン?」
「でも、マックスじゃない……?」

 巨人…未知のウルトラマンの姿に驚くミズキ。

(マックス……あのウルトラマンは君の仲間かい?)
(いや……確かに私のいたM78星雲の住人に姿は似ているが、あのような戦士は見たことも聞いたことも無い……)

 自らのうちにいるウルトラマンマックスに問いかけるカイトだが、彼自身も知らない巨人の存在に、目を丸くする。

(今…彼が変身していたよな…? ミライくん……)

 ミライと、今目の前にいる巨人が同一人物(?)であることを本能的に察知した彼は、ダッシュマザーに通信を送る。

「ヒジカタ隊長。とにかく、<ウルトラマン>を援護しましょう!」
『よ、よし! 各機、ウルトラマンを援護だ!』

 ヒジカタの指示に、ウルトラマンの姿に目を奪われていた面々が慌てて了解の意を示した。


 ・
 ・
 ・


《ハッ!》

 一方、超獣…<ボガールジェネ>と対峙するウルトラマンメビウス

(姿が変わってる…他の怪獣の能力を取り込んだって言うのか? …でも!)

 負けるわけにはいかない。その想いが、彼に力を与える。

《ハァァァ…デュア!》

 左腕のメビウスブレスから光の剣・メビュームブレードが顕れる。それに対抗するかのように、ボガールジェネが背中の器官から何本もの触手を出す。

 
《ヘアッ!》


 パンチの連打のように遅い来る触手の応酬を、メビュームブレードで躱しつつ、懐に飛び込む。


《ハァッ!》

 メビュームブレードの刀身を腹部につきたて、押し込むと同時に、拳に光を集め、追撃を繰り出す。


「すごい…!」

 ショーンが感嘆の声を上げた。

「こっちも追撃だ!」

 すかさずコバが操縦桿を動かし、ダッシュバード2号をボガールジェネの背後へと飛ばす。

「コイツがグランゴンのマグマコアなら…これでっ!」

 冷凍弾を放つ。背部に露出した瘤が急速に冷やされ、ボガールジェネにダメージを与えた。

「今だ! 全機、一斉攻撃ッ!」

 ヒジカタの号令で、ダッシュマザー、ダッシュバードの全ての砲門が開放される。その猛攻に、ボガールジェネがその体を大きくふらつかせた。

ウルトラマン!!!」

 カイトの呼びかけに、メビウスが大きくうなづき、両腕に光の力を溜める。

(メビューム……)

 彼の必殺技・メビュームシュートを放たんとした、まさにそのときである。

『戦闘空域に、強力な震動波を確認』

 不意にモニターに現れたエリーが、淡々と告げた。

「なんだって!?」

 ヒジカタが空を見上げる。と、雲ひとつなかった青空が突然ひび割れ、ガラスの如く砕ける。

 その向こう側に見える赤い空間は、ただそこにあるだけで、DASH隊員たちの心に恐怖を植えつけた。

「あ、怪獣が!」

 ミズキが声を上げる。見ると、傷だらけのボガールジェネが、割れた空の向こう側に引き寄せられていた。


(逃がすわけには…!)

 メビウスがジャンプし、それを追う。が、タッチの差でボガールジェネは赤い空間に消え、割れた空は元に戻ってしまった。


(……そんな)


 意気消沈するメビウス。その輪郭が光とともにぼやけ、数秒の後に、その巨体が掻き消える。


「…怪獣、およびウルトラマン、両者の反応、ロスト……」
「……仕方が無い。一時帰投する」

 ダッシュバード二機がマザーに格納されたのを確認し、ヒジカタはベース・タイタンへと進路を定めた。



   -つづく-



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 劇中でメビウスがやったのはメビュームブレードとライトニングカウンター・ゼロのコンボ技。本編ではやってないので探さないようにw

 その姿を消した超獣とウルトラマンメビウス。DASHは、そしてカイトはこの異変にどう立ち向かう…?