それは、知る者ぞ知る。
今では時代遅れと蔑まされる、昔気質の<船大工>たちが寄り集まった超巨大ドック艦。
今では時代遅れと蔑まされる、昔気質の<船大工>たちが寄り集まった超巨大ドック艦。
<宇宙(うみ)往く船に貴賎無し>のモットーを掲げ、いかなる船の開発や修理を請け負う、
侠たちの城。
<コミューン・グランデ>……暗黒粒子の渦の向こうに、それはあった。
*
「案外あっさり受け入れたわねぇ」
「ここの連中は、自分で手がけた船は無条件で受け入れるってルールがあるんでな」
「ここの連中は、自分で手がけた船は無条件で受け入れるってルールがあるんでな」
ゴーカイガレオンを停泊させた後、マーベラスたちはグランデの頭領に会うべく、艦内を闊歩
していた。
「……で、随分適当に歩いているように見えるが、頭領とやらがいる場所を知っているのか?」
「さてなァ。こんなもんは勘で歩いてりゃ行き当たるんだよ」
「さてなァ。こんなもんは勘で歩いてりゃ行き当たるんだよ」
根拠の見当たらない自信満々な発言に、ジョーとルカは軽く眩暈を覚える。
と、進路上のドアが不意に開き、中から機械の塊が飛び出してきた。
「おっと!」
「わわっ!?」
「わわっ!?」
の青年は大きく蹈鞴を踏んで盛大に転がった。
「あああ……ふぅ、よかった、壊れてないや」
転んだ拍子にぶつけたのか、額を僅かに切っているが、それより自分の抱えていた機械のほう
が心配だったらしい。無事を確認すると、マーベラスたちに向き直り「ごめんなさいっ」と頭を
下げて走り出そうとした。
「あぁ、待て」
「え?」
「え?」
それをジョーが止める。丸いゴーグルをかけたその顔立ちは若いというより幼さを感じさせた
。
「ここの頭領に会いたいんだが、どっちに行けばいい?」
*
「邪魔するぜ、<ドク>」
コミューン・グランデの最奥……コントロールルームに胡坐をかいて、ドクと呼ばれる老人が
そこにいた。
「……ほう、<赤き海賊団>とこのボウズか。顔ぶれが変わっとるの。あの全身真っ赤なアイツ
けると、しわがれた声で盛大にがなりたてた。
「おぉーい、ドン! どこに居る!? ドン・ドッゴイヤー!!!」
ややあって、伝声管の向こうから何かをひっくり返したような盛大な物音と、つぶれたような悲鳴が届いた。その声には妙に聞き覚えがある。
『な、何……ドク?』
ドクの背後の巨大モニターが光り、機械油に顔を汚した青年の姿が浮かび上がった。
「こいつ……さっきの?」
「おぉ。<ドン・ドッゴイヤー>……ゴーカイガレオンを造った男だ」
「おぉ。<ドン・ドッゴイヤー>……ゴーカイガレオンを造った男だ」
ニヤリ、とドクが笑って見せた。
『えっ、何!? ガレオン、戻ってきたの!!?』
ドンの声のトーンが跳ね上がり、ゴーグルを外した瞳がらんらんと輝く。ドクが首肯すると、ジャンクパーツを蹴散らし躓きながら居た部屋を飛び出していった。
-つづき-
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いきなりオリジナル要素が全力全開ですがしかたないね。
宇宙におけるドック艦というと、真っ先に浮かぶイメージがラビアンローズなガノタモドキですが
コミューン・グランデは名前の通り(?)さまざまな宇宙艦がゴテゴテくっついた集合体です。
イメージモチーフは「幻想水滸伝V」に出てきたラフトフリート。頭領のドクも、同じくラフトフリート提督のラージャがモデル。あっちおばーちゃんですけどね。
コミューン・グランデは名前の通り(?)さまざまな宇宙艦がゴテゴテくっついた集合体です。
イメージモチーフは「幻想水滸伝V」に出てきたラフトフリート。頭領のドクも、同じくラフトフリート提督のラージャがモデル。あっちおばーちゃんですけどね。
そしてこれまたオリジナル要素である「ドン・ドッゴイヤーがガレオン開発者」というネタ。
まぁ実際のところ開発者とまではいかなくてもガレオン建造には関わっているんじゃないかなーとか思ってます。さもなきゃ前科もこれといって特殊な出自もない彼が海賊戦隊に居る理由が思いつかないんですもの(妄想力が足りないといわれればそれまでですが)。