「な……な……なぁーーーーーっ!!!?」
ゴーカイガレオンのエンジンルーム。ドンを追って入ってきたマーベラスたちが耳にしたのは彼の驚愕に染まった大声であった。
「よお、直りそうか?」
そう声をかけるマーベラスの声が障ったのか、くるりと振り返るその形相は温和そうな風貌からはついぞ想像もつかないほどのものであった。若干涙目にもなってるのでその迫力はやや減衰しているが。
「どーしてこんなになるまでほっといてたんだよもうっ!!!」
エンジンルームのメンテナンス用モニターはさまざまなシステムトラブルを告げるアラートで真っ赤に染まり、それはさながらガレオンの悲鳴のようにも見えた。
「特にあのエナジークリスタルっ。めちゃくちゃな繋ぎ方してるから四方八方にエネルギーが飛び散ってひどいことになってる………ああもうああもう!」
早口でまくし立てながらコンソールのキーをたたくドン。バイパスがどうの、稼働率がどうのとぶつぶつ言っているが、マーベラスたちには半分も理解できない。
「で、どうなんだ。直りそうなのか?」
「当たり前でしょ! 僕が直せなきゃ誰だって直せないよ! っていうか気が散るから出てってよ! 出てっ、てっ、てばっ!!!」
鼻息荒くマーベラスたちをガレオンの外へと追い出し、ハッチのロックをかけた。
「……やれやれ、気難しいメカニックだな」
ジョーがため息混じりにつぶやく。と、ドックの周囲がにわかに騒がしくなる。ところどころ機械油にまみれたアームが数本ガレオンへと伸び、故障箇所の修復を始めた。
「はっは。追ンだされだようだの」
乾いた笑い声に振り向くと、ドクが苦笑いを浮かべていた。
「すまんな。あいつは腕はいいんだがどうにも人付き合いってのが不得手でのぉ……やはり男手ひとつで育てたんは間違いじゃったか」
「あいつ、あんたの息子なのか?」
ジョーの問いに「ま、そんなようなもんだ」と答え、目を細める。
「20年くらい前になるかの。赤ん坊が入ったカプセルを拾うたんは。何を血迷うたか、老いぼれが育てると言うた日にゃ、クルー総出で止めに入られたもんじゃ」
それで逆に火がついたらしい。ドクは自身の持つ技術をすべてドンに叩き込み、ドンもまたスポンジのようにそれを吸収していった。天性の才というのもあったのだろう。<赤き海賊団>から依頼を受けた艦の建造は、彼一人ですべて行ったのだという。
「へーっ。とっぽいボクちゃんかと思いきやってねぇ」
ルカが珍しく感心の声を上げた。
「……で?」
「うん?」
黙って聞いていたマーベラスがおもむろに口を開いた。
「あいつの身の上聞かせて、あんたはどーしようってんだ?」
「……伊達にヤツの後を継いどるわけじゃないようだの。マーベラスよ、あいつを……ドンをガレオンに乗せてやってはくれまいか」
「断る」
ドクの申し出を、しかしマーベラスはすっぱりと切り捨てた。
「そいつはあんたが決めることじゃねぇ。ましてや俺たちが決めることでもねぇよ」
そう言って、マーベラスは視線をガレオンに戻した。
-つづく-
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ハカセの幼少期に関しては完全にでっち上げなので信じちゃだめです。こーだったらいーのになー的なオイラの妄想。
それでも流石に「ハカセはかつてエイリアンハンターにさらわれた地球人だったんだよ!!!」「な、なんだっ(ry」はやりすぎかなーとか。うんその辺は自重しないw
しかし、最近会話パートがすげーgdgdになってる気がしてる。「なんか違うような気がする」のままでUPするのはどうなんだろうと自問自答しながら公開。
がんばれ、もっとがんばれ俺。