「さて、これからだが……どうするんだ?」
コミューン・グランデを発って数時間。漆黒の宇宙空間を往くゴーカイガレオンのサロンで、ジョーが思い出したように呟いた。
「そうだな……おいハカセ、なんかアテはねえか?」
「ハカセ……って、僕のこと?」
唐突にあだ名で呼ばれ、目を点にしながらドン…いやハカセが問う。
「ああ。初めて会ったときから思ってたんだが、お前に<ドン・ドッゴイヤー>ってな名前は立派過ぎる」
「ひどっ!?」
「まぁいいじゃねえか。自分で言うのもなんだが似合ってるぜ。機械強いしなお前」
「そーね。ドンって呼ぶより“らしい”わ」
「……だな」
そしてジョーとルカが追随し、反対者が自分しかいないと悟ると、ため息混じりにそれを了承した。
「もういいよ……で、アテだっけ? うーん……僕はずっとグランデにこもりっぱなしだったから、あんまり詳しくないよ?」
「ならしょうがねえ……困ったときのなんとやらだ」
マーベラスが手の中で弄んでいたダーツをおもむろに投げる。きれいな直線を描く軌跡の先に、止まり木に鎮座した鳥の置物があった。
「……痛っ!?」
鳥の置物が口を利く。目を赤く瞬かせ不満を伝える鳥……のロボットは、パタパタと羽を動かして飛び上がった。
「もー、いつもながらナビィ遣いが荒いよマーベラスぅ……」
「知るか。いいから占え」
傍若無人な船長に不承不承ながら頷いて、<ナビィ>と名乗った鳥ロボットが軽快に声を上げる。
「はいはい……コホンっ。レッツ・お宝ナビゲート~」
――りーりかーるまーじかーる てくまくまやこ~ん♪
なにやら珍妙な呪文じみた呟きを唱えながら。ナビィがサロンを飛び回る。
「……なんなの、アレ?」
「ナビィだ。俺たちの狙ってる<宇宙最大の宝>を見つけるための、手がかりの一つだ」
「ヒントはざっくりしててさっぱりわかんないヤツばっかりなんだけどねー」
怪訝そうに眉をひそめるハカセに、ジョーとルカが説明する。
「……ぴぎゃっ!?」
と、ナビィの悲鳴が妙な空気を途絶えさせた。サロンの天井に頭をぶつけた彼(?)は、ふらふらしながら床に軟着陸する。
「“零落の姫君が待っているぞよ”……コンナンデマシタケドー」
おどろおどろしい声で予言じみたメッセージを伝えたナビィは、再び元の能天気モードだ。
「零落の姫君……? なに、それ?」
「ボクに聞かれても解んないよー……っと、ところでキミ、新入り?」
初顔合わせの二人……もとい一人と一羽(?)が互いに挨拶を交わす。残った3人は、ナビィの言葉を基に、次なる目的地を模索していた。
「お姫様ねぇ……王政を布いてる星なんてそれこそ星の数ほどあるっての」
「零落ってのもな。ザンギャックの侵略でその地位を追われた連中も多い」
珍しく判りやすいヒントではあるが、如何せん手がかりが広すぎて逆に判りづらい。頭を抱えるジョーたちの耳に、ふと電子音が飛び込む。
「ええと……この辺の宙域で、かつ最近ザンギャックの侵攻を受けた、王政の星……っと」
コンソールのキーを叩きながら、情報を整理していくハカセ。と、めまぐるしく動くモニターが、とある星の情報をたたき出した。
「……ファミーユ」
やさしさ漂う、桃色の大気に包まれた惑星の画像が浮かびあがる。
「ここだってのか、ハカセ?」
「わかんないよ。さっきの情報から、条件に合うここから一番近い星を見つけただけ。とにかく、行ってみないとわかんないじゃない」
ハカセの言葉に、そりゃそうだと頷く。難しく考えるのは後でいい。先ずは進んでみるのが自分たちだ。
「よし、とにかくそれで行こうか」
――ゴーカイガレオン、全速前進!! 目標……<惑星ファミーユ>!!!
「あいあい、よーそろ!」
赤き帆船が、次なる冒険へと進む。
……勇気の旗に、自由の風を受けて。
-Befor GREEN・了-
駆け足で書きなぐった割にはそこそこいいのができてるんじゃね? と自画自賛(ぉぃ
たぶん読み返すと「だめだめだー!」って憤るんだぜきっとwww
さて、今度はコレをまとめてpixivに移植する作業をだな……