炎部さんちのアーカイブス あるいは永遠的日誌Ver.3

日々是モノカキの戯言・駄文の吹き溜まり

エピソード・オブ・ディメンジョンポリス:プロローグ



 高層の建物が無数に聳え立つ未来科学都市国家……<スターゲート>。

 その堅牢なビルディングが何の前触れもなく砕け、融け、斬り裂かれていく。

 摩天楼を縫って、巨大な身体を持った怪生物……いわゆる“怪獣”がその姿を現す。スターゲートの街並みを破壊しているのは、この怪獣たちなのだ。

「くっ……」

 現場に駆けつける。目の前の惨状に、一瞬頭がかっと煮えたぎり、すぐさま冷える。オーケイ、暑くなるのはハートだけで十分だ。

「怪獣どもめ、これ以上お前たちの好きにはさせん!」

 ギリ、と握り締めた拳を眼前の巨大な敵に突きつける。いつの時代も、何処の世界でも、人に仇なす悪意に立ち向かうのは、我々……“ヒーロー”なのだ。

「ギャシャァァァッ!」
「何ッ!?」

 不意に、自分のすぐ傍の壁が爆ぜる。弾けとんだガレキの向こうから現れたのは、目の前に居た怪獣より二回りほどサイズダウンしてはいたものの、怪獣だ。

「しまった!」

 虚を突かれ、崩された体勢を整えようとする私の目の前で、怪獣の口が赤白く光る。強烈な熱量を持つ破壊光線を放つスタイルだ。
 万事休す……!

 飽和したエネルギーが解き放たれる。刹那、怪獣の前に立ちはだかる鋼の巨体。

「はぁっ!」

 巨体が掲げた盾が、熱線を受け止め完全に防ぎきる。怪獣がブレスを吐ききった隙を突いて、今度は巨大な剣が閃き、気合とともに異形を一刀の元に叩き斬った。

「油断大敵だぞ、グレンダー!」
「済まない、助かったよ……ゴーユーシャ」

 私を<グレンダー>と呼んだ巨体……否、巨大ロボット<ゴーユーシャ>が「ふふ……っ」と薄く笑う。

「?」
「いや……“あのとき”とは逆になったな、と思って……な」
「……あ、確かに」

 つられて笑う。そう、全ては“あのとき”から始まったんだっけ。

「おっと、あまりおしゃべりもしていられんか……」
「……そのようだな」

 いつの間にか巨大怪獣たちが私たちの周囲を取り囲んでいた。上空から睨みつけられる多数の目は、正直あまり気持ちのいいものではない。

「敵は多いな、グレンダー……」
「ああ、だが……たいしたことはないさ」

 ゴーユーシャを見上げ、視線を交わす。

「今ここに、君……次元ロボがいる」
「そして、マスクドポリスがいる」

 ここに、ヒーローがいる。

 それだけで充分だ。

「往くぞ、友よ!」
「応ッ! ……トランスディメンジョンッ!」

 ゴーユーシャの張り上げた声に呼応し、4機の巨大マシーンが集結する。ゴーユーシャのボディに、鎧をまとうかのようにマシーンが組み重なり、その身体をさらに巨大にしていく。

「超次元合体……ダイユーシャァァァッ!!!」

 超巨大ロボとなったダイユーシャが、巨大怪獣に立ち向かう。

「お前たちの相手は、私が担う……トォッ!」

 そして、私ことグレンダーも、立ちはだかる悪意を打ち砕くべく、跳ぶ。

「燃え上がれ、正義の心! 響け、正義の絆! 必殺……グレン・スマァァァァァァッシュ!!!」

 放たれた右足の一撃が、怪獣の巨体を貫いた。


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 ――これは、惑星クレイに住まう、勇者たちの物語。

 “私たち”が、ヒーローに至る、戦いの記録である。




     カードファイト!! ヴァンガード/クレイ・ヒストリーズ
     エピソード・オブ・ディメンジョンポリス~勇者たちの凱歌~






 リアル友人からのリクエスト、「カードファイト!!ヴァンガード」より、ディメンジョンポリスをモチーフにした惑星クレイの物語がいよいよスタート。

 リクエスト自体は厳密には「次元ロボと鋼闘機(メタルボーグ)のストーリー」とのことですが、鋼闘機はアニメ4期からの展開なので、そこまでストーリー吹っ飛ばすのも勿体無い。
 ということで、ディメンジョンポリスの初登場時期のクレイの時系列に(なるべく)あわせてストーリー展開する予定。あくまで予定。予定はm(略

 や、だってЯダイユーシャとかやりたいやん?(そこまで続くかどうかはともかく

 まぁ、ストーリーじわじわ追っていけるほどユニット設定が充実しているわけでもないので、時間軸はわりと飛び飛びになるとは思いますけどね、ええ。

 とりあえず私が言いたいのは唯一つ。

 公式でやらないでくれ!(蝶切実