炎部さんちのアーカイブス あるいは永遠的日誌Ver.3

日々是モノカキの戯言・駄文の吹き溜まり

【エグゼイドSS】Game masterの水晶【ゲンム】

「そう、か……」

 檀正宗は、大きく息を吸った。

「ありがとう、と言うべきなのかな?」
「さてな」

 正宗の息子である、檀黎斗。その顛末を伝えに来た大我は、その問いに対し肩をすくめて見せた。

「とりあえず用件はそれだけだ。あんたにもいずれ減刑の沙汰が降りてくるんじゃねえか?」
「いや、それはないだろう……それに、そうだとしても私はしばらくここを出る気はないよ」
「どゆこと……?」

 いぶかしげに自分を見るニコに、正宗は自嘲しつつ呟く。

「確かに今の私は、黎斗の罪をかぶる形でここにいる。だが、バグスターの事を知っていながらそれを放置していたことは間違いなく罪だ。そして――」

 そう言って、正宗が瞳を閉じた。


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   仮面ライダーエグゼイド/EXTRA_STAGE
   Episode:GENM/Game masterの水晶





「お前は、水晶のようだな」
「水晶?」

 ノートパソコンにかじりつき新たなゲーム開発に余念がない、少年時代の黎斗に正宗はそう言った。

「お前の心がモニター越しにキラキラ輝いてるように見えるよ。その輝きは、ゲームクリエイターとしてはこれ以上ないほどの才だ」

 その頭をわしわしと撫で、その心を忘れるなと言い聞かせる。


 ――彼のもとに、ある子供からの手紙が届いたのは、その数日後のことであった。


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「……知っているかね?」
「うん?」
「水晶を通した光は、屈折するんだ。もっとも、ほかの宝石に比べるとそれほどでもないのだが」

 息子の心は水晶のように輝いていた。しかし、その輝きが折れ曲がってしまっていたことに気付けなかった。
 それが自分の最大の罪だと、正宗は独りごちた。

「宝条永夢のこと、見ていてくれたまえ。その輝きが、屈折しないように」
「はあ? なんで私らが……」

 頬を膨らませてみせるニコ。

「……フン、心配はいらねえよ」
「大我?」

 まさか応じるのかと噛みつきかけるニコを指先で制し、大我がニヤリと笑う。

「あいつは筋金入りのゲームバカだからな。ついでにどんな悪党でも……それがゲンムだろうと、患者であるなら救おうとするドクターバカだ」

 ――そんなやつを捻じ曲げる要素があるなら逆に見てみてえよ。

 そう言い放たれた言葉に、思わずニコも吹き出した。

「ぷくくっ……確かにっ」

 その様子を見て、正宗もふっと破顔する。

「……君は、まだ戦うのか?」
「当たり前だ。最後のバグスターを叩き潰すまで、俺の……いや、俺たちの戦いは終わらねえからな」
「そうか」

 看守からの面会終了の指示を聞き、正宗がゆっくりと席を立つ。

「私と息子の尻拭いを押し付けてしまうのは気が引けるが……よろしく頼む」

 そう呟くように言って、正宗が面会室を後にした。


  -fin-


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 本日放送の23話を見て一気に書き込みました。
 息子の最期を知り、父は何を思うのか。

 今回の着想のポイントはもう一つあって、永夢を水晶に例えた黎斗の心について。
 そも、心や人となりを水晶に例えたのって、黎斗が初めてじゃなくて、父親だったんじゃないかなーって。

 今にして思えば、きっと黎斗も水晶の心の持ち主だったんじゃないかと。

 でも……水晶の光って、屈折するんだよなぁ……って気づいて。
 ※文中でも言ってますが、その屈折率はダイヤなどに比べると決して高くはないのですが。

 屈折したまま、それでも心の輝くまま、純粋にゲームを愛し、ゲームを生み出すことを愛したがゆえに、狂気を孕んだ光を宿したのが、黎斗という水晶だったのかもしれませんね。

 なんてカッコよく言ってみたりして。


 さてさて、今回メッセンジャーに大我&ニコをセレクトした理由ですが……
 まあ、消去法じみてます(ぉぃ

 永夢は吹っ切って伝えるにはまだちょっと早いかなってのと(ラストシーンで泣いてたし)、飛彩もなんか違うかなーと。
 で、ラスト手前で大ニコが歩いてたシーンを観直して「あ、これ刑務所行ってね?」と考えてしまったわけですw
 結果的にいい感じな掛け合いになったかなーと思ったりなんだり。


 さあ、レーザーが消え、ゲンムが消えた「仮面ライダーエグゼイド」
 次回以降の展開、非常に気になりますね。二次モノカキ的にも

 心が躍るな……♪