炎部さんちのアーカイブス あるいは永遠的日誌Ver.3

日々是モノカキの戯言・駄文の吹き溜まり

【#キングオXギーツ】キングスゲーム:第5話②~叡智F/0.005秒と全力ダンス【クロスオーバー】

   -OHGER FINISH!-
   -VICTORY!-

 

トリガーを引かれ、バックル・ドライバー双方から必殺シークエンス発動音声が放たれる。しかし、その攻撃が向けられることが一向にない。

「何だ…?」

訝しげに視線を戻すナッジスパロウ…大智の眼前で、コバルギーツはオージャカリバーバックルを握りしめたままその動きを止めていた。

「…な、何が起きた!?身体が…動かない…?」

声を絞り出しながらコバルギーツがもがくように身体をよじるが、頭部からつま先まで、その身体はぴくりとも動く気配がない。

『…ハッキングしたんだよ、てめーのベルトをな』

ふよふよと飛んできたモニターシュゴットの画面に、ヤンマが現れそう告げる。

莫迦な!?お前のパソコンはハッキングとウイルスで無効化したハズ…!」
『ハッ!16年前と全く同じ手口でやられるかよ!ウイルスもちっともアップデートしてねえし…とっくに無力化してたっつの』

そう言って自分のノートパソコンをかかげてぺしぺしと叩いてみせる。

「だ、だとしても!このベルトはチキューの…いやンコソパのテクノロジーでハッキングできるような代物では…」
『ああそうだ。…そのバックル以外はな』
「まさか…ッ!?」

コバルギーツが使用しているオージャカリバーバックルは、その名の通りオージャカリバーの性能をレイズジャッカーで文字通り100%コピーしたものである。そしてその事実こそが、オージャカリバーの開発者でもあるヤンマにとってつけ入る唯一にして絶対の隙となった。

『こいつは力を引き出すために、守護神シュゴットとの連携…言っちまえば通信機能が備わっている。つまり、カリバーとシュゴットの間に通信回線が存在するわけだな。当然、重要な回線だからセキュリティは超最高クラスに設定してる…が、一定の操作手順を踏むタイミングで、0.005秒間、そのセキュリティに穴が空く』

その手順とはすなわち、先だってコバルギーツが発動を試みた必殺技オージャフィニッシュ発動のそれである。ヤンマはそのわずかな穴をついて、バックルに対しハッキングを仕掛け、そこを起点にライダーシステムを掌握した…というわけだ。

『これでも頑張った方なんだぜ?開発初期はたっぷり2秒穴空いてたからな』

開発者本人からすれば、認めたくない汚点そのものであろうそのセキュリティホールこそが、今この窮地を切り拓いた事実に、ヤンマは複雑な表情で肩をすくめた。

『さーて、さんざんオレらの国で好き勝手してくれやがったな…このスカポンタヌキがよぉ…ちょっくら踊ってもらうぜ…?』
「な、なにを…!」
『シオカラァ!』
『ほいきた!ミュージック…スタートっすー!!』

 

youtu.be

 

軽快なBGMがンコソパ中のスピーカーから流れだす。それに合わせて、コバルギーツの身体が動き始めた。

「うわっ、何だ?か、勝手に…?」
『おらおら…おらっと!』
「ヤ、ヤンマ…お前何を…!?」

キーボードを軽やかに弾くヤンマ。どうやらハッキングしたことで仮面ライダーの装備を遠隔操作しているらしかった。

「うおっ、ちょっ、待て…オイ…!」
『まだまだ…踊れ踊れコラァ!』
「うわぁ…」

強制的に踊らされるコバルギーツの姿に、痛みも忘れてドン引きする大智である。

『そろそろ曲も終わんなァ…んじゃ』
「や、やっと終わ…」
『てめーが寄越したコンピュータウイルス…ノシつけて返させてもらうぜ。ついでに改良もしといたから…』
「ひっ…」

 

  ━━遠慮なく…受け取りやがれッ!

 

曲の終了と同時に、高らかに掲げられたヤンマの人差し指がエンターキー目がけて振り下ろされ…

「あばばばばばばばっ!!!」

全身に強烈な電流が走り、コバルギーツの全身がスパークする。中身のメーガ・ネーウが絶叫した。

「ってちょっと待て!そんな衝撃を与えたらコアが…!」

大智が慌てて止めようとしたその眼前で、デザイアドライバーの中央部でいやな音がした。

 

 ・
 ・
 ・

 

「…で?な・ん・で!おめーは!なんっにも覚えてねーんだよスカポンタヌキ!この惨状は!てめーが!やったんだぞオラァン!?」

変身が解け、意識を取り戻した仮面ライダーコバルギーツ…否、今はもうただのメーガ・ネーウなわけだが…に詰め寄るヤンマに対し、当のメーガは困惑しきりだ。

「知らない…僕は何も…!なんだよデザイアグランプリって?ゲームマスター?何の話だ?」
「…無駄だよヤンマ王。今の彼はデザイアグランプリに関する記憶をすべて失っているんだ」
「ああん!?」

プレイヤーの証であるライダーコアIDは、破損することでプレイヤーとしての資格を失う。と同時に、デザイアグランプリに関する記憶のすべてを失ってしまうのだ。

「もっとも、別のプレイヤーのIDコアに触れれば記憶は取り戻せるハズ…」
「そーいうことは早く言え!おらメーガ!触れ!んで思い出せコラ!」

シオカラに包帯を巻かれながら、大智が自分のIDコアを取り出したのをヤンマがひったくり、メーガに無理やり握らせる。

「…?」
「なんでだオラァ!!?」

結局無反応なメーガにキレ散らかすヤンマ。その様子を眺めながら、大智は首を傾げる。

「…ゲームマスターが違うからか?いや、僕たちのデザグラも何度かゲームマスターは変わっているけど記憶は継続しているし…舞台になっている世界が違うからか?」

━━このデザグラ、一筋縄ではいかないかもしれない。

砕けたコバルギーツのIDコアと、焼け焦げた見慣れない小型バックルに視線を落としながら、大智が思考しつつ眼鏡のズレを直した。

 

 

   -つづく-

 

 


というわけでキングスゲーム、ンコソパ・叡智編完結!思いついたネタの多さは他メンバーより多いんですよね…ひとえに大智とヤンマとシオカラくんが愉快すぎるせいだが(他責

次回は番外編予定!黒幕組ばっかり出張ってすっかり忘れ去られている神様とゆかいな仲間たちサイドをちょろっとできれば。

その後は本編で祢音にクローズアップ!彼女が訪れる国は果たして…?