炎部さんちのアーカイブス あるいは永遠的日誌Ver.3

日々是モノカキの戯言・駄文の吹き溜まり

【#キングオXギーツ】キングスゲーム:第4話①~叡智V/ナッジスパロウ、怒る!【クロスオーバー】

ドタドタと荒っぽい足音がメインルームに近づく。

王の力を奪い、ンコソパ総長に成り代わったメーガ・ネーウが見据える中、出入り口を蹴破って飛び込んできたのは…ンコソパ国内…ひいてはチキューのインフラを担うシステムの再起動に必須なもう一人のカギであった。

「…自らここに戻ってくるとは、豪胆なのか頭が足りないのか」
「うっせーわ!アンタをボッコボコにノシてやる、すっごい用心棒見つけたんすから!あんたがその玉座に座ってられるのは、もうここまでっす!…さぁ、ダイチくん、出番っすよ!…ダイチくん?」

意気揚々と用心棒を呼ぶシオカラだが、その当人が出て来ない。たっぷり2分ほど経った後、ようやく大智が転がるようにやってきた。

「…うぷ」

ペタ城に突入する直前に乗り込んだガーディアンローリングの高速回転で全身をかき回され…仮面ライダーナッジスパロウこと五十鈴大智は、端的に言えば…酔っていた。

「だ…大丈夫っすかダイチくん」
「も、問題ない…」

頭を振って、一度二度深呼吸してから、大智は改めてメーガと対面した。

「…きみがこの世界の仮面ライダープレイヤーかい?」

大智からの問いかけに、メーガが小さく首を振って、オージャカリバーの柄を模したレイズバックルを取り出した。

「…いいや…僕は"王"さ。その証も…ここにある!」

 

   -Tone Boyトンボ

 

オージャカリバーバックルの青いレバースイッチを起動し、気取った動作でそれをデザイアドライバーへと滑り込ませる。

「…王鎧武装へんしん

 

   -You are the KING, You are the You are the KING!

 

赤いレバースイッチを弾くと同時に荘厳な音声が鳴り響き、プレイヤージャケットをまとった瘦身の男に蒼い鎧が纏われた。

 

   -TONBO OHGER!

 

「改めて名乗ろう。僕は【トンボオージャー】であり…ンコソパ総長にして叡智の王メーガ・ネーウ。そして…」

その頭にいただくマスクを目の当たりにして、大智は目を見開く。

仮面ライダー…コバルギーツだ」
「蒼い…ギーツ…?」

ややくすんだ青色に彩られた狐面が、漆黒の双眸をナッジスパロウへと向けていた。

 

   *

 

向かい合ったまま、無言でにらみ合う二人のライダー。

「…!」

その沈黙を破ったのは、メーガ・ネーウ…コバルギーツの方だった。手にしたキングズウエポン…その銃モードが撃ち放たれたのだ。

「っ!」

その銃口がシオカラに向いていることをつぶさに見抜いた大智は、腕を広げてその銃撃を防ぐ。レイズバックルがもたらす装備の中では極めて高い防御力を誇るモンスターの剛腕は、その攻撃を難なく受け止めて彼を守った。

 

  ━━rrrrr!

 

と、シオカラの持つキングスホットラインが鳴る。ヤンマからの着信だ。

『着いたみてーだな…よし、じゃあダイチ…手筈通りに頼むぜ』
「手筈…ね。あいつと戦って戦闘データを取れって言うんだろう?それは構わないけど…」

そう呟きながら、ナッジスパロウは今装備しているモンスターとは別のレイズバックルを取り出す。

「…そのまま倒してしまっても文句言うなよ?」
『はっは!やれるもんならやってみな。ヤツがコピーしてる装備はこのオレが作ってんだよ。そうそう仮面ライダーなんぞに遅れは取らねーぜ?』
「いや敵の戦力絶賛してどうするの…」

苦笑しながら、大智がバックルを入れ替える。

 

   -SET
   -GREAT!

 

「そのバックルは…!」
「…へぇ、知ってるのかい?」

眼前でフォームチェンジするナッジスパロウに、「ゲームマスターが親切でね」と返すコバルギーツ。モンスターフォームの装甲が霧散し、次に現れたのは、剣を携えただけのシンプルな姿なナッジスパロウであった。

「…レイジングフォーム。身軽な装甲と、剣撃に特化したスタイル。しかしその真価はそこではなく…その剣に封印されているもう一つのレイズバックルとの連携だ」

 

   -OHGER SHOOTING!

 

その真価を発揮される前に倒す!とコバルギーツが銃を乱射する。それらは余すところなくナッジスパロウを穿ち…

「ダ、ダイチくーん!?」

着弾と同時にスパークと噴煙がナッジスパロウを包み込む。ややあって煙が晴れたその中では…

「そう、このバックルの真価を発揮させないためにはこの時点で僕を全力で叩き潰す必要があった。だからこそ、この攻撃は正しいよ。おかげで…」

 

   -FULL CHARGE

 

無傷のナッジスパロウが剣をかざす。その刀身がオレンジ色に輝き、レイズバックルの封印を解き放った。

「…チャージの手間が省けたわけだ」

レイジングソードに封印されているもう一つのレイズバックルを取り出すためには、一定回数以上の斬撃を繰り出すことで刀身にエネルギーをチャージする必要がある。大智は、ナッジスパロウの視界と、レイジングフォームによって強化された剣撃スキルを駆使し、飛び交う銃弾を切り捨てることでそれを賄ったのだ。

「…きみにはそう見えないかもしれないけれど…僕は今、少々…怒っている」

 

   -TWIN SET

 

バイザー越しに睨みつけられ、知らずメーガの背筋に冷たいものが走る。

「僕はこう見えて、ジャマトと人間の共存を夢見ている。少しずつそれが形になっていくのを実感しているんだよ。でも君は…そんなジャマトたちを僕にけしかけた。僕に戦わせた…!」

無論、大智自身が一から育てている個体ではない以上、共存可能でないことは知っている。しかし、そんなことは今の大智にとって問題ではないのだ。

「君には関係ない話だろう。そのジャマトを用意したのも、ゲームマスターとやらだろうしね。ただ…」

 

   -TAKE OFF COMPLETE
   -JET AND CANNON

 

「僕の苛立ちの責任を…取ってもらうよ!」

 

   ―READY…FIGHT!

 

コマンドジェットフォームへとチェンジしたナッジスパロウが、怒りの切っ先をコバルギーツへと向けた。

 

 

   ―つづく―

 

 


これが書きたかった…!っていう場面の1つですw

というわけで本編に出てこなかったので本邦初お目見え、もはや本作オリジナル形態と言っても過言ではないでしょう、【仮面ライダーナッジスパロウ・コマンドジェットフォーム】!
…いやまあベルト遊びや装動なんかで再現は可能だとは思いますがね。バイザーは兎も角。

結局本編ではモンスター止まりでフィーバーすらなかったもんなぁ…まぁその分マーレラジャマトで補った感じもありますが。