炎部さんちのアーカイブス あるいは永遠的日誌Ver.3

日々是モノカキの戯言・駄文の吹き溜まり

【#キングオXギーツ】キングスゲーム:第3話②〜叡智IV/突入!ペタ城【クロスオーバー】

「いやいやいやいや…なんなんすかこれぇぇっっ!!?」

見慣れたはずの、ペタ城に続く道。それが異形の怪人たちがひしめき合う地獄絵図を目の当たりにして、シオカラは悲痛な叫び声を上げた。

「ふむ…300といったところかな?」
「ってなにれーせーに数えてるっすか!あんな数いくら仮面ライダーでも無理でしょ!?どーすんすか!」

喚くシオカラに、「心配は無用だ」と大智がメガネを直す。

「実はこう見えて、僕はジャマトを操る力を持っていてね…道を開けさせるくらい造作もないさ」

シオカラは知る由もないが、かつて大智はその野望ゆめのためにジャマトの力を己が身に取り込んだことがある。その結果、ジャマトをと交信し使役する力を得ることができたのだ。

「彼らとの共生を求める今の僕にとっては、もう使うこともないだろうと思っていた力だけどね…さぁ、ジャマトたち!ぼくたちに道を開けてくれないか!」

手を振って声を張り上げる大智。その凛とした声はンコソパの摩天楼に反響し、幾ばくかのエコーを呼んだ。

一瞬、動きを止めるジャマトたち。

「…ね?」
「おお〜…おお?」

振り向いてドヤ顔を向ける大智に拍手を送りかけたシオカラだったが、再びその表情が歪む。

「…いや、また動き出してないっすかコレ?」
「え?」

ジャマト兵団に向き直った大智が、そのタイミングで振り抜かれた怪人の一撃にふっとばされた。

「ぐわっ!?」
「ダイチくん!」
「どうした…お前たち、僕の声が聞こえてないのか?止まれ!止まるんだ!」

殴られてズレた眼鏡を直しながら必死に声をかける大智だったが、ジャマトたちは一切耳を持たない。気づけばジャマト兵団の波は、大智たちを取り囲んでしまっていた。

「ど、どうすんすか!?囲まれちゃってるっすよ!?」
「…仕方ない。ジャマトに手を上げるのは不本意だが…変身!」

仮面ライダーナッジスパロウ・モンスターフォームに転じた大智が反撃に出る。そのアーマーがもたらす強靭な腕力で、ジャマト兵団を次々にKOしていくが…

「数が多すぎるっす!こんなペースじゃ城に着く前に夜が明けちまうっすよ!」
「その前に消耗してやられるのがオチだろうね…こんなことならマグナムバックルでも借りておけば良かったかな?」
「ゆってるバアイっすか!?」

モンスターのアーマーの効果で、腕を伸ばしてリーチを稼ぐこと自体はできる。しかし結局体力勝負であることには変わりがないため、他のライダーたちに比べればやや体力に難のある大智では物量戦は圧倒的に不利と言えた。

「むぅぅぅ…こーなったら…っ!」

意を決したように叫び、シオカラがナッジスパロウの前に躍り出る。その手にはいつの間にか持っていたのか、何かいい感じの棒が握られていて。

「シオカラくん?危ないからぼくの後ろへ…!」
「降臨するっす!デカダンゴムシくぅぅぅぅん!!!」

先ほどの大智の声より大きなそれが、摩天楼を震わせる。…否、本当に地面が震えている。

「な、何が起きているんだ…?」

突如心もとなくなった足場に、ジャマト兵団も心なしか焦りが見られる。少しずつ震えは大きくなり、それは単なる振動から、揺れへと変わっていった。

「…来たっす!」
「な、なにが…!?」

シオカラがいい感じの棒で刺した先で、高速で転がる"何か"が、後方のジャマトたちを撥ね飛ばした。

「な、なんだあれは…!?」
デカダンゴムシくん…もとい、ガーディアンローリングっす!オイラのもう一人の相棒っすよ!」

巨大なダンゴムシを指して「一人」と定義するのが正しいのか否か…などと見当違いな思考に走ってしまうほどに、その絵面は衝撃的であった。ガーディアンローリングはスピードを緩めることなく縦横無尽にペタ城に続く道を転がりまわる。その軌跡で撥ね飛ばされ引きつぶされ、「ジャマ~!?」と気の抜けた断末魔を上げて吹っ飛んでいくジャマト兵団の姿は阿鼻叫喚の具象化であろうか。

デカダンゴムシくーん、こっちっすこっちっすー!」

シオカラが手を振ると、ガーディアンローリングは気づいたらしく猛烈な勢いで彼の前に飛び込み、急ブレーキで止まった。

「ほら、乗るっすよ!」
「乗れるの!?」
「こーみえてコックピットあるっす!」

どこから入るんだ…と思いつつ、シオカラに引っ張られるままガーディアンローリングに乗り込む。

「飛ばすっすよ!しっかり掴まってーっ!」
「ちょ、いやどこに掴まれと…ぉぉぉぉぉおおぉ!?」

再び高速回転を始めたガーディアンローリングが、一気呵成にペタ城へと突っ込んでいった。

 

 

   -つづく-

 

 


シオカラがガーディアンローリング乗ってるのはゴットキングオージャーの件からの縁ですが、はたして原作でも個々で呼べるのかは…どうなんでしょうね?w
まぁそれぞれのシュゴットとはつながりがあるようなので、呼べば応えてくれそうな気はします。特にデカダンゴムシことガーディアンローリングはンコソパで開発?された経緯があるので。

TVシリーズラストでジャマトとの共生を夢見る好青年になっちゃった大智君ですが、ジャマト化した肉体やジャマトとの交信能力については残ってるのかなこれ…?
一応本作中では残ってることにはしてます。別にジャマト態に変身させる気はないですけどねー。