炎部さんちのアーカイブス あるいは永遠的日誌Ver.3

日々是モノカキの戯言・駄文の吹き溜まり

【#キングオXギーツ】キングスゲーム:第3話〜叡智III/謎のバックル【クロスオーバー】

闇夜に紛れ、ンコソパの街を駆ける影が2つ。

「…やりすごしたっすよダイチくん!こっちっす!」
「すごいな…ドローンがあるのかこの世界は…」

厳密にはテントウムシ小型デミシュゴットがカメラを持っているだけではあるのだが、この国のテクノロジーを把握しきれていない大智は興味深げにデミシュゴットが通り過ぎた先を眺めていた。

「ああもう、いちいち驚いて止まんないでくださいっす!」
「ああ、すまない…この件が終わったらしっかり調べさせてもらうよ」
「知識を得ることに貪欲っすねぇ…」

ヤンマくんみたいっす、とシオカラがつぶやく。そのシオカラの案内で、大智はいよいよペタ城へと近づきつつあった。

と、シオカラの懐から電子音が響く。彼の持つ通信端末…キングスホットラインが着信音を鳴らしたのだ。

「ヤンマくんからっす!…もしもしっ!ヤンマくん無事!?」
『おうシオカラ、おめーも無事か。これが繋がったってことは…いまペタ城の近くだろ』
「そうだけど…ってあれ?今システムダウンしてるから通信とか使えないんじゃ…?」
『忘れたのかスカポンタヌキ?キングスホットラインの通信は他の通信インフラとは独立してんだ。まぁ今は盗聴を避けるための高セキュリティモードに設定してっから、通信範囲がかなり限定的になっちまってるがな』

ともかく無事がわかり、シオカラがほっと胸をなでおろした。

「これは…スマートフォンかい?驚いたな…ドローンと言いこれといい、違う世界なのにテクノロジーによって生み出されるものにここまで差異がないなんて…」

大智が感心しきりと言った面持ちで画面を覗き込んだ。

『…あん?おいシオカラ、だれだこのメガネは?』
「あ、この人は…仮面ライダーっす!」
「はぁ?」

 

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『なるほどな、とりあえずそっちの事情はわかった。オレらにとっても、あのスカポンタヌキをどうにかできるならそれに越したことはねぇ。おい、ダイチっつったか。ちょっとそのベルトをオレに見せろ』

こうかい?と大智がデザイアドライバーを外してキングスホットラインのカメラに近づける。ヤンマがモニターごしに「…なるほどな」とつぶやきながら解析をしていた。

「カメラに写しているだけでなにかわかることがあるのかい?」

『はっ、オレを誰だと思ってやがる。叡智の王の二つ名は伊達じゃねえ。形状や材質からでもだいたいのことは…ってマジか』

解析結果が出たのか、ヤンマの表情が固まった。

「どしたんすかヤンマくん」
『なんだこのベルトは…ンコソパのテクノロジーで100年…いや1000年以上かけても届く気がしねえぞ…お前らこのベルト、どこから手に入れたんだ?』
「手に入れたというか配られたというか…もともと、デザイアグランプリは僕たちのいる世界の、はるか未来の時代からもたらされたものでね」

具体的な年数は大智にも知る由はない。ただ自分たちの生きている年代を、ギャラリーはしばしば古代と呼んでいたことを鑑みれば、途方もない年月が経った先なのだろうとは推測しているが。

『…クソッタレ!どーりでこっちのハッキングが通らねえわけだ。技術レベルの差がありすぎんだろ…!』

ヤンマが頭をかきむしる。キングスホットラインの画面でポンパドールがふわふわと揺れた。

『ダイチ、今は少しでも情報ちしきが欲しい。おめーらが使ってるそのベルトと仮面ライダーのこと、知ってる限り全部話せ!』

 

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『デザイアドライバーに…レイズバックルか。なるほど、拡張性に特化しつつ、特定のパラメータに突出した手段も取れる…よく考えられたシステムだぜ』
「もっともゲームで使う以上、お目当てのレイズバックルを得られるかどうかは割と運だけどね」

サポーターでもいれば話は別だが、と大智はひとりごちる。

『んで、だ。オレが見た、"相手の装備を奪う槍型の武器"ってのは見たことねえ…で合ってるか?』
「ああ。僕もそれなりの期間デザグラには関わっているけど…そんなバックルなんて噂にも上ったことがないね」

相手の装備を無効化しつつ同一の装備を得ることができる拡張装備を有したレイズバックルなど、対人…対ライダーを想定しているとしか思えないアイテムである。本来ライダー同士の直接戦闘はペナルティ対象であることを考えれば、実在していても封印対象であっただろう。
しかし事実として、現在ンコソパを掌握している仮面ライダーは、眼の前にいるリーゼントヘアの王様から彼の力を奪い、玉座に君臨しているのだという。

『肝心の情報は得られなかったが…同じ仮面ライダーなら対処のしようはあんだろ?』
「確約はできないけど、善処はしよう。ここにいるシオカラくんの願いでもあるからね」

願い‥?とヤンマとシオカラが似たような表情で首を傾げた。

『…まぁいいや。じゃあ悪いが、アテにさせてもらうぜ?とりあえずペタ城まで向かってくれ。こっちはこっちで…それなりに作戦練ってるからよ』

そう言って通信が切れ、ふたたびあたりに静寂が…戻らない。

「な…なんか騒がしくないっすか?」
「本当だ。さっきまで静かだったのに…捕まってるっていうンコソパの人が脱走でもしたかな?」
「いや…それにしちゃなんか声が…きもいってゆーか…ぁ」

声のする方を見たシオカラが、硬直する。

「あ…あぁああぁぁぁぁぁあぁぁ!何っすかあれえぇぇぇ!!?」
「どうした!?」

顔面蒼白のシオカラが指差す先に…

 

 ━━ジャマ…ジャマ…

 

「嘘…だろ…?」

視界を埋め尽くさんばかりにひしめく、ジャマトの大軍勢がいた。

 

   -つづく-

 

 


プロットの段階で、初手がンコソパ編なのは決まってたんですが、特に理由はなかったんですよね。単純に展開を思いついた順と言いますか。
ところが蓋を開けてみると大智とヤンマの頭脳派二人のお陰でまだお出しできなかった設定が描写できたのでコレほんと結果オーライ案件w
黒幕二人に幕間ごとに喋らすのも限界がありますからねぇ💧

次回、ひしめく大量のジャマト兵団に、大智とシオカラはどう立ち向かうのか‥?