炎部さんちのアーカイブス あるいは永遠的日誌Ver.3

日々是モノカキの戯言・駄文の吹き溜まり

【#キングオXギーツ】キングスゲーム:第5話①~叡智VII/逆転のEnter【クロスオーバー】

「この国のシステムを再起動させたのは悪手だったようだね。周囲が良く見えるおかげで…きみのことも手に取るように…わかる!」
「くっ!」

俄かに明るくなった街を文字通り味方につけ、直撃弾と跳弾を駆使してコバルギーツがナッジスパロウを追い詰める。

「だけど…威力自体はこちらの装甲を貫き切れないのは間違いなさそうだね…!狙いが関節部…装甲の隙間なら防ぎようも、まだある!」

自分の身体を動かし、レイジングソードや自前の装甲で銃撃のダメージを抑えるが…

「その動きは…予測済みだ…よく見えているからね」
「何…うっ!」

ナッジスパロウの弾いた銃弾が、別途放たれていた銃弾や周囲の瓦礫に跳ね、再び襲い掛かる。行動パターンを解析したコバルギーツが、さらなる手数を追加したのだ。

「なんて奴だ…このまま間合いを詰めるのは難しそうだな…だったらこっちで!」

距離をとり、コマンドキャノンへ変形リボルブオン。主砲たるトロンキャノンの有効射程は13km。さらにマスクに追加されたゴーグルで照準は外さない。

「もともと僕はこういう戦い方の方が…性に合ってる!」

 

   -COMMAND TWIN VICTORY!-

 

ナッジスパロウが砲撃を放つ。当然躱そうとするコバルギーツだが、コマンドキャノンの砲撃にはホーミング機能が付与されており、ロックオンされた敵は逃さないのだ。

神様ギーツを追い詰めたこともある僕が…王様ギーツもどきに後れを取るわけが…ないだろう?」
「…なら僕は…神にもなれるということかな?」

コバルギーツが足元の地面に向け銃を乱射する。舞い上がった舗装が壁となって砲撃と衝突、爆散した。

「いくら僕を狙った砲撃でも、僕自身に当たらなければどうってことはないからね」
「遠近隙なしか…伊達に王様やってないね」

大智のわきの下を、いやな汗がよぎった。

 

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「…解析はあらかた完了したが」

愛用のノートPC…本人はボロと称する…に表示された結果に、ヤンマの脳内に勝利の手順が組み立てられていく。

「…だが、逆転の一手は…"そこ"しかねーわな、やっぱ」
「うわー、ものすっごイヤそうな顔してるっすねヤンマくん」
「…たりめーだろ。てめーの弱点さらすみてぇで気ぃ悪いわ」

不本意げに渋面を浮かべるヤンマが、モニターシュゴット越しにナッジスパロウとコバルギーツの戦いを見守る。時折画面が揺れるのは、コバルギーツの跳弾に巻き込まれているゆえだ。

「やるにしろやられるにしろ、しっかりしやがれ…ダイチ!」

逆転の一手を導き出すため、ヤンマの指がキーボードの上を走った。

 

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(厄介だな…こんなことならパンクジャックから他のバックルも借りとくんだったか…)

仮面の下で大智がひとりごちる。コマンドキャノンは威力こそ大きいが連射性や小回りに難がある。かといって他のバックルの装備でこの状況が打破できるかどうかと自問すれば、現状を鑑みても首を傾げざるを得ないが。

(だったら…攻めるしかないよね…!)

再びコマンドジェットへ変形リボルブオンし、ナッジスパロウがブースターを吹かせる。レイジングソードの切っ先が、まっすぐにコバルギーツへと向けられた。

「懲りないね…きみも!」

突撃を警戒し、コバルギーツは銃を撃ちばら撒く。様々な方向から飛び交う跳弾が、ほぼ同タイミングでナッジスパロウへと襲い掛かり…

「はぁっ!」

直撃の瞬間、ナッジスパロウはその身体をひねり、高速で回転させた。刀身や装甲で跳弾の雨をかいくぐり、至近距離まで近づいたところで、レイジングソードを大きく振りかぶる。

「させるか…!」

転瞬、盾のようにキングズウエポンを掲げ、コバルギーツがレイジングソードを止める。しかし、そこで止まるナッジスパロウではなかった。

 

   -REVOLVE ON-

 

「何!?」

目の前でコマンドキャノンへと転じられ、メーガが仮面の下で目を見開いた。

「この距離なら跳弾も関係ない!」

必殺シークエンスを発動し、腰部アンカーを射出する。それは地面ではなくコバルギーツの身体に取り付き、両者を固定した。

「もらった!」

強烈な閃光が二人の間で爆ぜ━━

「…どうなった!?」
「ダイチくん…!」

ペタ城で経緯を見守るヤンマとシオカラが目にしたのは…装甲がひび割れ、倒れ伏すナッジスパロウの姿であった。

 

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「バカな…コマンドフォームにはゼロ距離砲撃でも耐えうる特殊フィールドがあったはずじゃあ…?」
「ああ…さっき撃ったのは"そこ"だったか…なかなかに重要な装置だったようだな」
「なんだって…!?」

ナッジスパロウほどではないが、それなりにダメージを受けていたコバルギーツは、ふらふらと立ち上がりながら、起き上がれないスズメの仮面を見下ろす。

「手間をかけさせてくれる…僕のゲームの邪魔をするんじゃあ…ない!」
「ぐはぁっ!」

強烈な前蹴りが横腹を刺し、ナッジスパロウは悶絶しながら転げまわった。

「…これで終わりにしてやるよ」

コバルギーツの手が腰の…オージャカリバーバックルに触れ、その指が青いレバースイッチを三度弾く。

 

   -OHGER CHARGE!-

 

仮面越しにナッジスパロウを睨みつけ…自身の必殺技を放つべく、コバルギーツの指がトリガーを引き…

 

   -OHGER FINISH!-

 

「…終わンのはてめーだ、メーガ・ネーウ」

その瞬間、ヤンマ・ガストの人差し指がエンターキーを叩いた。

 

 

   -つづく-

 

 


しばらくパルデアを満喫しておりましたが、この度帰ってまいりました(爆

クロスオーバーにおいて、どっちの戦力も極端に強くさせたり弱くさせたりというのは、双方のファンに対して不義理と認識しているのですが、なかなか難しいもんです。この辺は永遠のテーマですねぇ。

…単純にどっちも活躍させたいという欲望だだモレなだけなんですが。

ちなみに、コマンドキャノンにおける至近距離での砲撃に耐えうる用の特殊フィールドについては公式です。肩の装甲部にあるようですね。文中では特に言及してませんが、事前にバックルの情報を知ってたので認識はしてたのかも?

さて、次回いよいよンコソパ編ラスト。変身できなくともヤンマくん大活躍っすよー!