炎部さんちのアーカイブス あるいは永遠的日誌Ver.3

日々是モノカキの戯言・駄文の吹き溜まり

【#キングオXギーツ】キングスゲーム:第4話②〜叡智VI/逆襲の青狐【クロスオーバー】

下半身のアーマーに備わったブースターが点火し、それと同時に最高速に達したナッジスパロウがコバルギーツを捕まえ、一息にペタ城を離脱する。

「ぐっ、何を…!」
「ダイチくん!?」
「シオカラくん!きみは王様と合流して!この国のシステムを再起動するんだ!」
「わ…わかったっす!」

シオカラが部屋を出たのを確認し、大智は抱えていたコバルギーツを放した。

「なっ…このっ!」

ペタ城のメインルームは最上階にある。その高さからの落下は、たとえ仮面ライダーとて、あるいは王様戦隊の装備を纏っていたとしても、重傷は免れ得ないだろう。メーガはこの事態を突破すべく…キングズウエポンを爪モードに変形させて壁に突き立てることで減速に成功した。

「悪いけど、容赦はしないよ!」

 

   -REVOLVE ON-

 

ナッジスパロウがベルトごとボディを反転させ、コマンドキャノンフォームに転ずる。揚力を失い自由落下をはじめながら、肩に備わった主砲をコバルギーツに向けて撃ち放った。

「くっ!」

コバルギーツは壁面を沿うように落下しながら、盾モードに変形させたキングズウエポンでそれを防ぐ。返す刃で銃撃を放つが、コマンドフォームの堅牢な装甲の前には焼け石に水だ。再度コマンドジェットフォームに変形リボルブオンしたナッジスパロウは、急加速してすれ違いざまにレイジングソードでコバルギーツを斬り裂いた。

やがて地面が近づく。落下の勢いを殺せないままコバルギーツは地面に激突した。他方、ナッジスパロウはブースターを器用に動かしてふわりと軟着陸してみせる。

「うん?照明が…どうやらシステムが再起動できたみたいだね。今頃は王様も開放されている頃だろう」
「ちぃっ…」

よろよろと瓦礫を崩しながらコバルギーツが立ち上がる。

「ふむ…存外タフだね。しかし助かったよ。異世界だというから魔法的なものを警戒していたが、蓋を開けてみればいつものデザグラと大差ない」
「何…っ」
「王様戦隊とやらの装備を纏っていい気になっていたようだが…僕はこれでもデザグラの優勝候補にまでは上り詰めている。昨日今日デザグラにエントリーしたようなヤツに遅れを取るつもりは…ない!」

 

   -LOCK ON-

   -COMMAND TWIN VICTORY!-

 

ブースターを噴かせ、コマンドジェットフォームの必殺シークエンスを発動させる。これが決まれば大智の勝利は確定するだろう。

「…喰らえっ!」

跳び蹴りライダーキックが放たれようとしたその瞬間、乾いた音が直ぐ側で響き━━

━━そう感じた刹那、ナッジスパロウの脚部が爆ぜた。

 

 ・
 ・
 ・

 

「うわっ!?」

激痛と衝撃にバランスを崩し、ナッジスパロウの体が着地もできず転がる。ダメージは軽微だったため、どうにか起き上がった次の瞬間、今度は肘に激痛と破裂音が響いた。

続けざまに四肢を襲う激痛に、大智は思わず膝をつく。この状況で攻撃を仕掛けてくるのであれば、それは相対しているコバルギーツにほかならない。しかし彼はほぼ微動だにせず、唯一の武装たるキングズウエポンは銃モードのままであったが、その銃口は所在なく地面に向かっている。

「一体…何が…?」
『…よう、大口叩いた割には苦戦してねえか?』

着信音の後、ナッジスパロウの肩に小さなクモ型のメカが乗っかった。デザイアグランプリのプレイヤーに配布される通信端末・スパイダーフォンが変形したものだ。念のため説明しておくが、この通話はハッキングではなく、事前にIDを交換し合ったうえのものである。

「…王様か。予想外の攻撃に驚いただけさ…説明してくれるかな?」

現在、ンコソパ国内で動いている人間は大智とメーガ…コバルギーツの二人だけである。他の国民はメーガによって捕らえられており、ヤンマ王とその従者シオカラはペタ城の中だ。よって第三者が攻撃を仕掛けてくる可能性は低いだろう。強いて言えばジャマト兵団による攻撃が考えられなくもないが…

「僕が攻撃を受けたのは装甲じゃない。すべてその隙間…関節部分だ。まぐれ当たりで何発も当たる場所じゃあないし、彼が差し向けたジャマトでは十中八九無理だろう。何より…あいつの銃口から硝煙が上がっている以上、攻撃を仕掛けたのはコバルギーツ自身だ」

仮面ライダー自身の能力でなければ、コバルギーツが纏っている王様戦隊…すなわちトンボオージャーの装備に由来するものであろう、と大智は推理し。それはヤンマの首肯により事実となった。

『…王様戦隊の装備は、そいつを纏う各国の王に合わせたカスタマイズをしてる。オレトンボオージャーの場合は…解析能力と演算能力の特化だ』

メーガ・ネーウはこの機能を用いて自分の周囲の環境、地形を瞬時に解析。更に超速演算によってそれらを利用し、大智の視覚外からの攻撃を成功させたのだ。

「つまり…跳弾か」
『そーいうこった。とはいえ元々オレが使うことを想定して組み込んだ機能だ。それを使いこなせるメーガ・ネーウの能力も大概とんでもねえ。伊達にオレと総長おうさまの座を争っちゃいねえのさ』

それだけの実力がありながら、なぜあの時コンピューターウイルスなどに手を染めたのか…とヤンマは心のなかで毒づいた。

(だが、ダイチのやつを追い詰めてる要素はそれだけじゃあねえ)

ヤンマの見立てではキングズウエポンの通常レベルの攻撃力であれば、初期装備たるエントリーフォームでさえ、ダメージは多少与えられるとしてもライダーの装甲は抜けないはずだった。ましてや跳弾により威力は格段に落ちているはずであるとも。

(なぜだ…?)

画面越しに表示された解析結果は、トンボオージャーの性能がバックルのオージャカリバー含め100%コピーされているということと…

その出力が、本来の性能より40%ほどUPしている…という事実であった。

 

 

   -つづく-

 

 


この作品限定のメタな話ですが、作中におけるライダー勢とキングオージャー勢の戦力差としては、各ライダーの基本形態(デュアルオン形態を除く)と素の状態の王鎧武装が大体同レベルで、中間形態(コマンドフォーム、ブーストマークII等)相手だと苦戦必至、始祖光来したキングクワガタオージャーで圧倒できるけどギーツナイン、ブジンソード級がくるとトントン…くらいを想定してます(あくまで装備の戦力なので中身によって差は出ますが)。

そのうえでちょっと強敵感出てるコバルギーツですが、この辺の理由は…また幕間かなぁ…ゲームマスターに頼りきりなのもどうかとは思いますが💧

各王鎧武装が変身者に応じたカスタマイズを施している…というのは当然ですが二次設定です。まぁあってもおかしくないかなとは思ってますが。デカレンジャーみたいに連携を想定してないでしょうしねー。

第4話はここまで。一応ンコソパ編は次回…厳密には次々回(叡智VIII)あたりがラストになる予定。チュートリアルも兼ねてるんで、多分各章では一番長くなるだろうなぁ…

 

テクノロジーの国ンコソパ

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