みさとの週末デートも、もう生活の一部になりつつあった。
最初はお互い照れくさかったけど、今じゃ親友以上っていうかさ。
そりゃ、学生の身分でいける範囲なんてたかが知れてる。
それでも、俺たちは。
一緒に遊んでる。その事実だけで、とても楽しくて…とても幸せなんだ。
「なーゆうき、今日はどこ行こっか?」
だんしんぐ☆ほりでー
みさが商店街をぴこぴこと歩いていく。
アメリカンドッグをパクつきながらのそれは、Tシャツとジーンズという組み合わせもあいまって、一瞬男の子に見えてしまいそうにもなる。
…もちろん、俺はそんなへまはやらないけどね。
でも、たまには女の子っぽい格好もして欲しいな…なんて思ったりして。
制服以外のスカート姿も、見るだけなら見てみたかったり。
…なんか、わがままになってきたかも、俺。
「んお? …へー、ここゲーセンできたんだなー」
ふと、みさが立ち止まり、俺もそれに倣う。
「そういえば、みさってゲームとかするの?」
「ん、たまにな。あんまウマくねーけど、楽しいから好きだゼ」
考えてみれば、デートでゲーセンは行った事なかったな。
…まぁ、デートスポットとしてはちょっと微妙だけど。
「入ってみよっか?」
「そだな。なんかおもしろそーだし♪」
ほら、はやくいこーぜっ! なんて言いながら、みさが俺の手を取って引っ張っていった。
*
「へー、結構いろんなモンがあんだな」
ひとくちにゲームといえど、そのジャンルは幅広い。
いわゆるクレーンゲームに代表されるプライズゲームや、家庭用ゲーム機をグレードアップさせたようなビデオゲーム。大掛かりな体感ゲームなどなど。
ものめずらしそうにあたりをキョロキョロしながら、自分のお眼鏡にかなうゲームを探すみさ。
…あ、あれとかいいかもな。
「みさ、こっちこっち」
「ん?」
俺が案内したのは、某有名メーカーのダンスゲームの筐体。
「すっげーな…ゲーセンのゲームってレバーガチャガチャするもんばっかかと思ってたぜ」
で、どーやって使うんだ? と首をかしげる。
「画面に音楽と一緒に矢印流れてくるから、タイミング合わせて同じ矢印を、足で押すんだ」
ま、百聞は一見にしかず。
「まずは俺がやってみせるから、見ててよ」
コインを放り込んで、プレイスタート。
可もなく不可もなくな難易度を選んで、説明しながらこなしていく。
うん、やるのはひさびさだけど、これくらいならなんとかなるかな。
「…どう?」
「ん、おもしろそーだな。やってみる」
俺に代わってステップに立ち、今度は彼女がスタート。
試しに俺が選んだのと同じ曲で。
「…お?」
2曲目は俺オススメの曲で。
「…おお?」
3曲目はみさの好みで。
「おおお~♪」
「なんだこれー! すげーおもしれー!!」
気が着くと、すっかりハマってた。
やっぱり、身体を動かすのが性に合ってるようだ。
それからはずっとみさのターン!
時折俺と交代しながら、ちょっと難易度の高いの選んで失敗したり、ダブルプレイで文字通りキリキリまいしたり…
時間と懐の許す限り遊んでいるうちに、なんだかギャラリーも増えてきた。
「はぁ、はぁ…み、みさ…そろそろ…終わりにしない?」
「なんだよー、もうヘバったのか? じゃ、次二人でやろうぜ。それで終わりにするからさ」
みさのお願いに、内心ジト汗かきながら頷く。
「そんじゃ、いくぜ!」
何度もプレイしているうちに、俺も以前のカンが戻ってくる。
基本的に動かすのは足だけだけど、メロディやリズムに合わせて腕とかも一緒に動かす。
たまーにすごい勢いでステップ踏みまくってる上級者がいるけど、あれは俺に言わせればちょっと邪道かな。
せっかく踊るんなら、全身使わないと。
踊りながら俺がそう言うと、みさが「そうそう、そーだよな!」って。
意見が合う。たったそれだけのことが、すごく嬉しい。
「なーなー、ゆうき」
「んー?」
不意にみさが俺の手を握る。
「せーので、入れ替えするぞ。いいな?」
「え? ええ?」
ニュアンスでなんとなく意図は察したけど…
できるのか?
「できるかじゃねーよ。やるんだよ♪」
…だそうな。
「んじゃいくぞ…せーのっ!」
曲の途中、メロディが一瞬途切れる隙間をぬって、手を繋いだ俺たちの身体がくるりと回転して、立ち位置を切り替えた。
おお~! と沸き立つギャラリー。ちょっと気分がいい。
ちらりとみさを見ると。にかっと笑ってVサイン。
やがて、曲が終わる。
最後のステップをスパっと決めた途端、ギャラリーの拍手が背中に降りかかって来た。
ちょっと照れくさいけど、それに応えて二人してサムズアップする。
「やったな、ゆうき」
「おう!」
向かい合って、ハイタッチ。
満足げなみさの笑顔が、スポットライトより眩しかった。
----------------------------------------------
スレ住人の希望に応えて、みさおSSをお届けする俺、参上!
…いや、単に書きたかったってのもあるんだけどね(ぉ
前2作がちょっとベタラブかった分、ちょっと今回はあっさり目かな…と思ったり思わなかったり。
まぁ、彼女本来の持ち味ってことでひとつ(何
つか、今後執筆予定の2本が輪をかけて甘くなりそうな予感ひしひしなので、ちょっとした箸休め的なものと思っていただければ(ぇ
http://webclap.simplecgi.com/clap.php?id=homurabe
↑全力でweb拍手だ!(謎