炎部さんちのアーカイブス あるいは永遠的日誌Ver.3

日々是モノカキの戯言・駄文の吹き溜まり

【ARCHAIC ACTION】シーン2

「こちら、跳多リュウ(トビタ・リュウ)くん。あなた達と同じ、激獣拳使いで、スクラッチの特別開発室所属アスリートとしても登録されているの」
「よろしくな」
 気さくに声をかけるリュウに、ジャン、レツ、ランもそれぞれ応える。
「…それにしても、社員証を失くすだなんて…」
 呆れたようにリュウを見る美希に、彼は苦笑した。
「いやぁ、ココ来るのも久方ぶりでしたもんで。持ってるって思い込んじゃってましたよ。はは」

「ひさしぶりじゃのぉ、リュウ。息災であったか」
「マスター・シャーフー!」
 シャーフーに声をかけられ、リュウは手を合わせて会釈した。
「ご無沙汰しておりました。マスター・シャーフーもお元気そうでなによりです」
「まぁ、とりえのようなものじゃからのう。…ときに、あやつには会えたかの?」
 シャーフーから問われると、リュウは表情を暗くし、目を伏せた。
「…ふむぅ。あやつの放浪癖にも困ったもんじゃわい」
「あやつ、って誰だ?」
リュウのお師匠様よ」
 首をかしげるジャンに、美希が応える。
「マスター・シャーフーの弟子でもあった方だ。つまり、君らの大先輩だな」
 リュウが続ける。
「じゃあ、そのお弟子さんの、更にお弟子さん…」
「つまりリュウさんは…マスター・シャーフーの孫弟子、ってことですね」
 ランとレツの言葉に、リュウは大きく頷いた。
「まぁ、そういうことだ。…直接教えは受けちゃいないが、オレにとってはマスター・シャーフーも師匠みたいなものだな」
 そこまで言って、リュウは溜息をついた。
「5年前、急にオレや兄弟弟子たちをほっぽってどっか行っちまって…。オレたちは協力して師匠を探しに世界中を回ってたんだ」
 五大大陸は勿論、極地にまで赴き、師匠を探したリュウだったが、現在に至るまで、一向に見つからないのだそうだ。
「手がかりは残していくんだが、それを頼りにたどり着いたら、またどっかに行っちまってる。まったく困ったお師さんだよ」
「まぁ、あやつのモットーは“行脚の中に修行あり”じゃからのう。それも修行のうちじゃよ」
「師匠の場合、単純に放浪好きなだけな気もしますがね」
「ホッホッホ。違いないわい」
 シャーフーがカラカラと笑った。

「さて、せっかくここまで来たんじゃ。ちょいと、ワシの新しい弟子達の実力を見てくれんか?」
「オレが…ですか?」
「激獣拳に関してはおぬしの方が先輩じゃ。軽く揉んでやるが良かろう♪」
 シャーフーはネコながらひょうひょうとした雰囲気で、トライアングルを鳴らしてみせた。



  -つづく-


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